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待ち遠しくて待ち遠しくて

三か月以上楽しみに待っている物がある。ベッドだ。引っ越しは終わったのに、ベッドはずっと入荷待ち。やっと今月納品される。今はとりあえずフローリングにずっと使っていた布団を引いて寝ている。

生れてこのかた半世紀、ずっと畳と布団で育ち暮らしてきた。家賃の安い古い物件を渡り歩っていたからだ。だからベッドは子どもの頃から憧れなのだ。
おしゃれ、お姫様、優雅、お金持ち、というのが私のベッドに対するイメージだ。長すぎる憧れがどこかでこじれている気もする。

私が特にベッドに強く憧れるようになったのは、前の家の狭さ故だ。
前の家では生活空間はダイニング兼リビング兼寝室の6畳一間。コタツのすぐ横に布団がひいてあり、起き上がればその場で食事ができた。夫がテレワークをしているとなりで私がご飯を食べている、なんていつものこと。頭の上には鴨居に渡したロープに洗濯物が干してある。布団を踏まないとトイレに行けない。
働いているときは至極利便性の良かった部屋が、伏しがちの病人とテレワーカーの二人がずっと家にいる生活では、狭すぎると感じるようになった。

物がゴチャゴチャある狭い部屋にずっといると、ベッド以外の物がない寝室が欲しくなった。すっきりきれいに整頓された寝室が。

郊外に見つけた今の家は、寝室専用の部屋がとれる。

こうして、ついにベッドで寝られる身分(?)になった。早くベッドが来ないかな、まだかなまだかな、ワクワクしながら首を長くして待っている。ベッドはクィーンズサイズ。このクィーンズサイズというもの、特別感があってなんか嬉しい。同じベッドで夫婦で寝るなんて、外国映画のようだ。
夫婦で同じベッドというのは、私にとって仲睦まじい夫婦の象徴、なのだ。「同じベッドがいい」と言ってくれた夫に感謝している。

私は横になっている時間が長いので、寝具にはこだわりたい。前のシーツや毛布は破けるまで使った。軽く10年以上だ。長く使えるものだから、少々お高くても素材にこだわりたい。ネットでシーツや掛け布団をあれこれ見るもの楽しい。

ベッド一つでこんなに楽しめると思わなかった。
日常生活にはきっと、ワクワクの種が隠れている。
それを見つけるのは私の気持ち次第。なんて幸せなんだろう。

ベッドとともに私の春がやってくる。


お読みくださりありがとうございます。これからも私独自の言葉を紡いでいきますので、見守ってくださると嬉しいです。 サポートでいただいたお金で花を買って、心の栄養補給をします。