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52歳の入学式

今年、仏教系の学校の通信教育部に入学した。

私は不安が強く、コロナのピークの夏には、怖くて怖くてたまらなかった。

今、もし私の体に何か起こったら…119番もつながらず、救急車も出払っている時に脳梗塞のような重い病気になったらどうしよう。

こんな考えが頭の中をぐるぐる廻っていた。私は自分の不安に押しつぶされそうになっていた。心が潰れそうで堪らなくて、何かにすがりたいと思った。ちょうどその頃は、仏教系学校の通信教育部の出願受付期間だった。

そうだ、仏教を学んでみよう。今までお寺巡りはしていたが、学問としての仏教を学んだことはなかった。学費は月に割り返せば8千円をきる。払えない金額ではない。自宅で一人でちゃんと学習を進められるか、少し心配でもある。

でも、少しでも生きるのが楽になるかもしれない。私は出願した。

秋になり、私は仏教系の学校に入学した。通信教育部でもオンラインで入学式があり参加(視聴)した。私は52歳。この歳になって入学式を迎えるなんて、くすぐったいような嬉しさを感じた。33年ぶりに学籍番号をもらったことにちょっと感動した。ああ、これで私も学生だ。大学にもう一度戻って勉強するのが私の夢だ。夢が半分かなった。

追って、テキストとCDが届いた。テキストには新しい世界が詰まっている、知らなかったことが書いてある。CDには僧侶が読経したお経が入っている。未知の扉が開いたことに感慨を感じた。
基本はテキストとCDで自分で学習し、年数回レポートを提出する。
何歳になっても新しいことを学ぶのはわくわくする。

私はろくに外出できない障害者である。それでも通信教育なら学ぶことができる。ありがたいな、としみじみ思う。私の在籍する学校は通信教育を50年前から実施している。さまざまな事情があって通学できず、自宅でコツコツと学習した人も多いだろう。コロナ禍ではオンライン授業も増えた。学びの形態は一つではないのだなと、実感している。

何かを学びたい人が学びに容易にアクセスできる。そんな世の中になればいいと願っている。
何歳からでも学ぶことができるし、学ぶのはとても楽しく、人生の新たな道が開けることなのだから。





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