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「あなた」を名指せば世界はたちまち色鮮やかにクッキリする

vol.70【ワタシノ子育てノセカイ

不安を感じるのはよいこと。不安を感じられないほど、物事は手遅れになってしまう。

だからちょっぴり不安を感じた時に、するっと動いちゃえばいい。不安が安心で、危機が安全なんだ。不安が小さなうちに危機を脱し、安心が大きなうちに安全を整えにいく。

心の安らぎがあるほど、不安を的確に感じられるんだろうな。

ところで私には「実子誘拐」で6年間離れて暮らす、10代のふたりの息子がいる。

2024年2月中旬。長男タロウとも次男ジロウとも、10日以上触れあわない日々を過ごしている。学校がある時期にこれだけ会わないのは、久しぶりかもしれない。

3連休明けの火曜日。密会交流すべく下校するジロウを迎えに行くと、姿がなかった。まぁ、そんな日もある。

気を取り直して翌日の水曜日もお迎えに向かう。だけどジロウはいなかった。なにかあったのかとグルグル考えるけど、もちろん答えなんて出てこない。

と思いきや夕方に情報が回ってくる。インフルエンザで学級閉鎖になっているらしい。ジロウは大丈夫なんだろうか。

実子誘拐からの7年以上、我が子の病気を知る術はない。まぁ、今の日本は、そんな国である。

ジロウのようすについては、タロウにLINEすればたぶんわかる。だけどタイミングが悪かった。別件でタロウとのLINEが滞っていた直後だったんだ。

タロウは高校受験を控えていて、三連休初日の10日は、滑り止め受験が終わったばかり↓↓

受験や三連休の感想はLINEでやり取りできたけど、水曜日にはまた連絡が滞る。ちょうどジロウの体調を確認したい日だった。だけど交わしたLINE的に、メッセージを重ねるのはよろしくないと判断し、週末へ突入。

そもそも重大な何かがあれば、タロウが連絡してくれるはずなんだ。私が不安になっているのは、ジロウの状況がわからないからなので、いってしまえば単なるエゴである。

実際、ジロウがインフルエンザになっていても、私の看病を環境が許さない。聞いたとて、何もできないんだ。

母の不安を解消するために、しつこくLINEがくれば、思春期の息子氏からすればウザい。あ、思春期じゃなくてもウザいか。

とはいえ「お母ちゃん心配やねん」といえば、タロジロは素直に応えてくれる。だからこそ甘えてはいけないし、タロウにもジロウにも、リスペクトをもって丁寧に対応したい。

私たち親子は、暮らしを分かち合えていないのだから。

日本という国では「対話」を学ばない。教育の仕組みが単独親権制度つまり家制度だからだ。

同じときに同じことを同じようにすればよいので、目の前のことに疑問をもたず、言われた通りにこなし、言われたものを出せば評価を得られる。

社会は同じと違いの2種類しかなく、同じが善で、違いが悪。なので会話手法はYESかNOでこと足りる。だから同じじゃない違いは駆逐すべく、社会から排除するんだ。

排除が嫌なら同じであれ。同じが嫌ならどうぞ出てゆけ。

考えないですむからとても楽。だけど楽だけに言葉はどんどん廃れてゆく。本当はみんなして、美しい言葉を奏でられるのに。

教育とは洗脳で、日本人は長らく、教育されない教育を受けているらしい。結果、なんだか怯えて不安を抱える。

どうだった?には「別に」と反応する。なんで?には「そういうものだから」と反応する。子どもが話をしてくれない、なんてちょくちょく耳にするけれど、しっかりと教育を受けている証なんだ。

人生で出逢った言葉の数だけ、心は厚みをおびてゆく。放つ言葉が誰かに響いて、自分の元へ帰ってくるから。

一方通行ではなく「あなた」と「わたし」で言葉が行き交うほど、放つ不安が安心で帰り、おもしろいほど人生は豊かになってゆく。あなたもわたしも大切に扱うことを、対話というのかもしれないな。

教育とは、違いを尊び、人を尊び、手を繋ぎ、社会を育てていくための、子育てみたいなもんなんだ。

ジロウの体調は18日18時現在もまだわからない。タイミングが見えたので、note書く前にタロウにLINEしてみた。今のところ既読になっていない。

学級閉鎖を知った水曜日から5日も経ったから、もしインフルエンザにかかっていても、もう元気になっているんだろうな。てかたぶん、ジロウはかかってないだろうから、学級閉鎖を謳歌したに違いない。

会えないことが普通になって、会えない寂しさが淡くうすらぎ、うすらぐ寂しさに切なさをおぼえる。親子が引き離される狂った日常は、こうやって粛々と77年間つづいてきたのかな。

親をあなたとみなさず、子をあなたとみなさず、ソレと指さす家制度社会は、私たちの世代で終わらせたい。

なんてことを考えてnoteの筆を止めてたら、タロウからLINEがきた。

「ジロウ元気」

ジロウの無事で、母は一気に安堵する。タロウが応えてくれたおかげだ。想い合う一言ひとことが、小さな不安を摘んでゆき、今に未来の花を咲かす。



2016年地球征服中
←タロウ7歳 
 ジロウ3歳→


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