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誰かを愛したあの瞬間がいつかの自分も包みこむ

vol.65【ワタシノ子育てノセカイ

道に迷うと目的地すら見失うことがある。目的地ではなく道を探そうと必死になるから。

迷子で不安だから正解の道で安心したいのかも。近視での狭い世界から、正解を見つけようと迷走するんだ。迷ったときこそ、目的地を見定めて、選んだ道を正解にもっていけばいい。

方向さえあってれば大丈夫。いつかきっとたどり着くから。

ところで私には「実子誘拐」で6年間離れて暮らす、10代のふたりの息子がいる。

新学期。朝の親子時間がささやかに再開する。

次男ジロウとは田畑を挟んだ500m間で、長男タロウとは2階の窓と真下の道路で。平日に毎朝会える、尊い瞬間に、改めて感謝なんだ。

新学期の二日間は短縮授業。タロウからランチ会の連絡はなく、ジロウは別宅へ帰宅のもよう。どんな風に3学期がはじまったんだろうと、ひとり空想の子育てを楽しんだ。

実子誘拐から7年目になった私は、子どもがいなくても子育てするスキルがある。我が子に届いているかは謎めくが、子育てはしょせん親の自己満足みたいなもん。

子育てする親としての自分を、ありのまま認められるのであれば、それでええねん。自分を信じられないと、子どもを信じることもできないんだから。

2023年の11月12月はボーナス月で、タロジロと私の母子時間は、2021年からの2年間で最大級にあった。

私の祖母が亡くなり、葬式や49日で、いつもより会う口実ができたからだ。おばあちゃんの命が親子の時間となったんだ↓↓

タロウは週1で2時間くらいは決まって会いに来てくれて、ジロウとは平日に5日も会える週があった。だけどクリスマスイブの祖母の納骨日に、49日のお参りは終わり、冬休みへ突入してしまう。

未熟者の私は、ちょっぴり寂しくなってしまったんだ。会えない冬休みはもちろん、新学期が始まればもう、会う口実はなくなっているから。人は欲深い生き物である。

ジロウとの下校密会は、1月11日に再会する。祖母のお参りのために変えていた集合場所が、いつもの神社のふもとに戻った。

私の車を見つけた登校班の子どもたちが、ジロウより先に駆け寄ってきて、賑やかなお喋りがはじまる。

ジロウはみんなを眺めるように、のんびり歩きながら登場した。「おかえり」と私がジロウを迎えると、子どもたちは通学路へ戻ってゆく。うん。ジロウと私の日常だ。

実はジロウは下校時のお迎えについて、私に連絡することになっていた。だけど連絡がなかったんだ。

私は少し悩んだものの、木曜日に迎えに行ったわけだけど、ジロウは当然のように車に乗り込んだ。私が来ると信じているらしい。もはや今は、母が家みたいなもんやしな。

とはいえこういうことを曖昧にすると、期待とズレたときに不安を抱えることがある。

親と分断されている子どもたちは、会えない親に「捨てられた」としばしば勘違いを起こす。すなわち「自分は大切じゃない」と思い込むんだ。

絆をつくる時間の曖昧さは、ときに自分を喪失させてしまう。

単独親権家庭の子どもの問題行動が、割合高くなる大きな理由のひとつだろう。もちろん共同親権家庭でもよく起きる。

だけど曖昧からくる不安は、コミュニケーションがあれば避けられる。言葉は、なんてありがたいツールなんだ。

私たちの価値観を創造するのは、社会制度。人間は社会の中で生きるから。そして社会の営みの礎は「親権制度」で、日本の基礎価値観は「単独親権制度」になる。

単独親権制度とは家父長制の家制度のことで、本来であれば、戦後憲法の樹立により、民法から撤廃されるはずだった。単独親権制度は「個人の尊重」も「男女平等」もない、差別制度だから。

だけど約80年後の2024年まで継続させ、今の日本ができあがる。世界に類をみない「男女格差大国」と「実子誘拐大国」になった。

男女差別と子ども差別が、呼吸するように日々起きている。現に私の声はこの6年間、どこでもほとんど理解されず、ときに善意として不憫なキチガイ扱いもいただいた。お返し迷うやん。

のどかな国内をよそに外圧により、家族法制の見直しが始まるも、出てくる国の意見は、単独親権制度の温存。家制度が臣民を赤子とするように、日本国は今、国民をアホだと勘違いしているんだろう。

赤ちゃんこそ、親の大切さ、わかってんねん。

日本を根底から再生させる、社会の枠組みを創造できる瞬間に、なんで私はたまたま生きているんだろう。しかもなんで原因も解決策も知ってしまったんだ。

知識とは諸刃の剣で、身の丈に合っていないと、絶望感に押しつぶされそうになる。

私はただ、我が子とおはようとおやすみを交わし、喜んだり、怒ったり、哀しんだり、楽しんだりして、ふつうに子育てしたかった。

でもまぁ、知ったもんはしゃーないな。

ジロウと私は3学期の下校密会の計画を、きちんとすり合わせることにした。

ジロウの意見を3秒ほど待つ。夢みたいに会えていた平日が、これにて確実に幕引きかも、と私は少々センチメンタル。

「ん?毎日来てよ!」

金曜日だけ予定が変動するので、別途連絡すると教えてくれた。2学期末の特別枠を、そのまま継続するらしい。

ジロウにとっての11月と12月は、特別な母子時間じゃなかったらしい。習慣をただ創りだした、ただ普通の時間だったっぽい。あぁ、なにもかもを特別のように感じてしまう、私の余裕のなさと、過去を生きる切なさよ。ジロウは続ける。

「毎日会いたいやん。会えるんやから」

私がくり返しくり返し、幼いタロジロに語りかけてきた言葉が、ジロウの口からつむがれた。

大丈夫。私はまだまだ頑張れる。



2017実子誘拐後に初めて再会したとき
←ひっつき虫5歳ジロウ
ちょける8歳タロウ→
疲れ切ってる母まどか

世界標準の共同親権制度を、子どもたちに贈るためのアクションを始めました。まずは養育費の側面から国の是非を問うています。

今国会に提出が決まった家族法制の「要綱案の歪み」を直すための第一歩です。現状の要綱案は単独親権制度のままで、今より迫害的な親子差別が起きる可能性が温存されています。

タロジロと私のように会えない親子を、生き別れになる親子を、これ以上、日本社会でつくりだしてはいけない。

そしてなにより「親子がただ親子であれる国」を子どもたちに贈りたいです。

↓↓以下の子ども家庭庁の政策に対する問
政策内容簡略「子どものお金を弁護士にあげる支援」
養育費アクションの経緯や目的
国の議論に対する問題/課題/対策などをお喋り。
教育や子育ての歪みの種のお話です。

↓宗像さんは共同親権国賠の原告で実子誘拐問題の第一人者↓


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