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豊かな心の育ちには、同じ世界でひとつになれる言葉を響かせればいいのかな

vol.40【ワタシノ子育てノセカイ

相手を幸せにすることで自分も幸せになれると、人生はポカポカするのかも。

似て非なるのが、自分を幸せにするために相手を利用すること。相手をツールにした「あなたのために」で、自分の不安を解消するんだ。

損得なく、ただ尽くせる相手がいれば、人の心はあたたまる。大切な人を幸せにする喜びが、生きる喜びなのかもしれないな。



ところで私には「実子誘拐」で5年以上離れて暮らす、10代のふたりの息子がいる。

2023年7月16日の日曜日。

長男タロウから鬼電履歴。「ご飯一緒に食べれる?」というお誘いだった。実子誘拐から6年目にして、休日の連絡は初めてかも。

油断して仕事の打ち合わせを入れていた私は、タロウからの連絡に気がつかなかった。履歴を見つけて大慌てで電話しようとした瞬間、またタロウから着信がきて、ようやく私たち親子は繋がる。

日曜日に、親子で、ご飯を一緒に食べられるなんて。生きていると、いいことがあるもんだ。

タロウがスマホを持った13歳頃から、数ヶ月に一回くらいのペースで鬼電はやってくる。メッセージを残すでもなく、架電をくり返すタロウの心情に、私は毎回あれこれ想像してしまう。

だけどすべての鬼電は、母と「会える」瞬間を、タロウが自らつくる連絡なのは間違いない。子が親に「今すぐ会いたい」想いも、間違いない。

そんなタロウに私ができることは、タロウの心が乾かないように、心が溺れないように、愛を注ぐことくらい。とはいえ注ぐ量が、あっているかは謎である。

タロウはうちに着くやいなや、前日の総体の話を興奮気味にしてくれた。二試合あった一試合目で逆転ヒットを打ったらしい。小学生からつづいているタロウの野球生活は、どうやら終了みたいだけど、よき思い出になったようすが伝わってくる。

アレコレ聞こうとする私に、タロウは次男ジロウの話を被せてくる。「昨日はジロウも試合でな。満塁ホームラン打ったみたいやで!すごいやろ!?」。小5のジロウも野球少年。

自分のヒットは遠慮しながら話すのに、ジロウのホームランは遠慮なく自慢するタロウがこそばゆい。

饒舌なタロウの語り口調から、むくむくと想像を膨らませているうちに、いつしか会話が高校の部活へと移る。タロウはもう入部先を決めていて「ワンダーフォーゲル(山岳)部」に入りたいらしい。厳密には「クライミング」に興味がある。

タロウが自らしたいことを見つけて、教えてくれたのは初めてじゃないかな。

7大陸最高峰「セブンサミッツ」の
Tシャツをご着用のタロウさま
会話中の疑問をググってる

中学生になってから、タロウはボルタリングが趣味になった。転校してきたお友達に誘われたのが始まりで、それ以降、週に1回以上遊びに通っているらしい。「お母ちゃんも一緒に行こ!」と誘ってくれたこともある。

ワンゲルやクライミングの話は、これまでの母子の会話に何度か登場させてはいた。タロウに合ってるスポーツだと私が感じていたから。ついでに「山中で身体性を養う原体験をしてほしい」というちっぽけな親心もある。下心?

少しでも心動かせる環境に身をおいて、自己という「内」と、環境という「外」を、行ったり来たりして「見えないナニカ」を想像できる、しなやかな心を育んでほしいんだな。

「ワンゲルえーやん!タロウに向てるんちゃう!?クライミングますます上達するなぁ」という私に、タロウは「お母ちゃんは手が長いから、きっと上手やと思うで!」とニコニコしながら両腕をのばす。

入部どころか入学もしてませんが、ワンダーフォーゲル部にありがとう。

引っ越してきたお友達もありがとう。
ボルタリングのお店もありがとう。
通わせてくれるお父ちゃんもありがとう。

なんかもう、我が子に関わるすべてにありがとう。

海の日の翌日の火曜。ジロウとの密会日じゃなかったけど、なんとなくいつもの場所で下校するのを待ってみた。夏休み前の短縮授業は水曜から。給食がない日は、ジロウの下校先が代わるから、そのまま私たちは会えなくなってしまうんだ。夏休みは下校がないので。

私を見つけたジロウは、さもアタリマエみたいな雰囲気で、車にスルンと乗り込んできた。いつもみたいに車の中で、今日あったハッピーを分かち合う。

本日のジロウのふたつ目のハッピーは「習字を上手く書けた」だった。『広がる夢』というお題だったらしく、「これから夢が広がるなぁ」と私が相槌をうつ。だけどジロウは「いいや」と否定するから、「なんで?」と尋ねてみると、車窓から川を覗いていたジロウがこっち向いて笑う。

「もう夢は広がってるから」

あぁ、私はタロジロから教わってばかり。

母のお家にて。おやつを一緒に食べながら、タロウがジロウのホームランを、私に自慢した話をジロウに伝える。ジロウはすました顔で聞こうとするけど、嬉しさがこみあげてくるらしく、ちょいちょい顔がほころんでしまう。

そういえばジロウが「夢」名言をとばした直後にも、ジロウは私を感動させる言葉を紡いでくれた。過去一ぐらいの感動だったのに、私はなぜかその言葉を、ジロウを送り届けるとともに忘れてしまったんだ。タロジロとの思い出の言葉を忘れるなんて、今までなかったのにな。

だけどジロウの言葉でよろこぶ私に、ジロウが嬉しそうにはにかんで、柔らかい空気に包まれた瞬間は忘れそうにない。

まぁ、それで、ええか。

なんやようわからんけど、私たち親子は相手の幸せに、自分の幸せをかみしめている。



コロコロの付録広げて
異世界にご出立した
2023夏休み目前のジロウさま

県は、〈1〉事実婚でも子の共同親権を認めるなど婚姻に準じる登録制度を創設し、民法改正など必要な法整備を行う〈2〉出生届の嫡出、非嫡出の記載廃止など婚外子差別につながる法制度の見直し

上記添付記事一部抜粋

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事実婚親は離婚親と類型的に同じで「婚姻外」の親。現在、法務省にて議論されている、共同親権導入の議論がまさにこれ↑↑、、であってほしい。

離婚後を含む「婚姻外の共同親権」をどうするかが議論の本質のはず。つまり「日本の家族のカタチ」をどうするか。

しかし、法制審でも報道でも共同親権の論調を、「離婚後」に特化させるから、国民に本質がきちんと伝わっていないように私は感じています。

子どもたちが子育てする「日本のカタチ」を今つくりなおし、軸ある礎を未来に贈れるといいな。

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