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『便箋と年月』

先日、素敵な喫茶店に行ってきました。
ここでも何回か書いてきましたが、私は手紙を書くのが好きでその喫茶店は、それにまつわる場所。
私が手紙好きと知っていて連れて行ってくれました。

【手紙の文化を残したい】というコンセプトのお店。

店内は、広くなくこじんまりとした雰囲気。カウンターの他に2人席がポンポンと並んでる。1人でも来店できるようにと、気遣いが感じられる奥まったところに1人用の席も。

明るさも程よい感じで、地下なので窓がなく
店の空間だけに浸れる、そんな場所だった。

手紙の文化を残したいという目的に合わせ
そこには誰もが手紙を書けるようになっている
システムがあった。それを注文すると、その店を訪れて書いた見知らぬ人からの手紙を受け取ることができるものだった。
(他にもいくつかシステムがあったけど…)
それを読んで、その手紙に返信を書きたいとなれば書いて店に置いてこれるというもの。
店に渡した手紙は、店の人がその書いた人に連絡をして渡してくれるという形になっている。

私は、返信するかどうかは考えずとりあえず手紙を受け取る注文をした。もらった手紙には…
『受け取ってくれてありがとうございます。○/〇』
と日付まできちんと書かれていた。
封筒ではなく折りたたんであって、開くと素敵な文字が並んでいた。綺麗な字とまとまった文章。
それが第一印象だった。

手紙の内容は、ここには書かない。概要だけでも…とも思ったけど、私の中で大切にしたいと思ったから。

読み終えると返信したいと思った。
素直に書かれているその人の想いに、私の投げかける言葉がちょっとでも役に立てばと。私も飾ることなく、素直に文字を書き綴った。今考えれば、私の書いた返信がその人の求めるものであったかは、わからないけど…見ず知らずの人から届く言葉を
どう受け止めてくれるのか。
その知らないところで、知らずに繋がりを
1度きりだけど持てる…
しかも、手紙という素敵なツールで。
手紙ってやっぱりいいなって…思わせてくれた。

喫茶店は、滞在2時間という制限があった。
時間は十分な時間のように思えたけど…手紙を読み、その空間に浸りそこにある便箋選びに時間を費やし
時の流れを忘れ返信を書くのに没頭する。
そうしていたら、2時間なんてあっという間だった。一緒に行った相手となんて会話らしい会話を交わす時間もないくらいに。

それくらいその空間に身を置き、浸り、手紙という自分の好きなことに向き合える。私には、最高の場所だった。近くにあれば何度でも行きたいと思わせる場所だった。

連れてきてくれた人にもその2時間の時間を使って手紙を書いた。連れてきてくれた感謝と、その人へ贈りたい大切な言葉たちを数多くある便箋の中から
その人が好みそうな便箋を選び、綴った。

その人には、今までも何通となく手紙を書いてきている。今回の手紙もその中の1通になるだろう。
でも、その空間が書かせてくれた言葉は、いつもより飾り気がなく、素直に伝えたいことを綴ることのできた手紙になった。

手紙の用途はたくさんある。

でも私は、その中に書き手の想いが…
選んだ便箋からペンから文字から文章から伝わってくるその紙の中の全てが手紙の良さだと思っている。どんな表情で書いていたのだろうか
どんな気持ちで綴っていたのだろうか
どんな想いでこの言葉を選んだのだろうか。
そんな想像を膨らませることができるのも
手紙の良さなんだと思う。

だからこれからも、私は手紙を書いて
自分の想いを伝えていきたい。
大切にしたいと思う相手に…

これからも、その手紙たち増えていくから
よろしくね。













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