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【つくり手紹介① 山梨市 志村農園】美容師から桃職人へ。“いい桃”をつくり、桃産業を革新する

「ここにはほとんどいい桃しかないよ。売ろうと思えばどんな桃でも売ることはできるけど、それってプロの仕事じゃないよね」

そう語ってくれたのは、山梨県山梨市にある、志村農園の志村和希さんです。

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志村和希さん(36) ※2020/8/5現在
山梨県甲府市生まれ。27歳まで美容師として活躍ののち東京からUターン、山梨市の農業法人で2年の研修を経て、独立。現在は3歳児の父親としての顔を持ち合わせつつ、桃栽培に携わっている。

志村さんはとても社交的で親しみやすく、頼れる兄貴的存在。
そんなお人柄と内部に秘めたるクラフトマンシップに、私たちは惚れ惚れとしています。
つくり手紹介の第1回目は、味や見た目だけではない”いい桃”づくりにかける、志村さんの想いに迫ります。

つくるのは、”いい桃”だけ

収穫まであと1週間という桃畑にお邪魔すると、可愛いピンク色の桃がたわわに実り、ほわっと甘い香りに包まれました。

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志村さんは周りの農家とは違う、独自の栽培方法をとっています。

「よくない桃がたくさんある中からいい桃を探すんじゃなくて、最初からいい桃だけをつくる」

通常、桃の良し悪しは収穫後の選果で仕分けていきます。しかし、志村さんは収穫に至るまでの各段階で桃を見極め、最終的にはいい桃しか木に残っていない状態を目指します。

「袋をかけたり外したりする作業があるんだけど、必ずその時に一つ一つ見る。そして、ダメになりそうな怪しい桃はその時点で土に返してるよ」

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袋をかける、外す。誰にでもできる単純作業のため、たくさんの人を雇って一気に終わらせてしまう農園も少なくありません。

しかし見方を変えればこれは、一つ一つの桃と向き合える大事な時間。志村さんは手伝いの人を雇うことなく、全ての桃を1から10まで一人で手がけます

「大量生産される工業製品としての桃じゃなくて、一つずつ丁寧に時間をかけた、一点物としての桃をつくりたい」

”いい桃”は、知識と経験に基づいた志村さんの感性と技術で磨き上げられていくのです。

畑はアトリエ。独立して歩んだ”桃職人”への道

このやり方を始めたのは、つい3年前のこと。農業法人での研修を終えて独立し、初めて桃づくりへの意識が高まってきたのだそうです。
研修時代のことを、志村さんは笑いながらこう振り返ります。

「桃には触れていたけど、機械的にただ言われたことをこなすだけだった。研修生という肩書きで勉強に行ってたはずなんだけど、全然頭を使ってなかったな」

当時はただ手を動かして単純作業をしているだけで、一つ一つの工程に何の意味も見出していなかったようです。
しかし自分の畑を持ってしばらくすると、桃の出来がよくない年が続き、今までと同じやり方では通用しないことに気づきました。そこで志村さんは、目の前で起きている現象に自分なりの答えを見つけ始めます

「たとえばこれ、俺が見落としていたダメなやつ。みんなは天候のせいにするんだけど、あるとき本当にそうなのかなって疑ってみたんだよね」

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志村さんはそう言って、惜しげも無く白い桃をもぎとりました。本来はこの段階にくる前に取っておくべきものだったようです。

「他のはちゃんと色がきてるじゃん? よくよく考えると、もし天候が原因なら、すべての桃に色がこないはず」

突き詰めた結果、本当の原因は別のところにありました。
“いい桃”はなんとなく栽培していたらできる偶然の賜物ではなく、志村さんによって導き出される必然的なもの。
探究心を忘れず、美容師時代から培ってきたスペシャリストとしての美意識は、桃農家としての今の姿にも映し出されている気がします。

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「自分が販売する素材は、すべてこだわったものを扱いたい。それが、プロだよね」

畑というアトリエでそう語る志村さんの背中はたくましく、桃職人としての芯の強さが感じられました。

桃産業の革新へ

「農家だってイケてる生活を送れることを、みんな知らない。だから俺は、桃だけじゃなくて、ライフスタイルを売りたい

いわゆる”農家”と聞いてイメージすること。自然に囲まれた広くて大きな古民家に住み、毎日同じような野良着を着て、移動はいつも軽トラック……? 
志村さんは実際に友達と話をしていて、いわゆる3K(きつい・きたない・かっこわるい)な農家像をぶつけられることが多いのだとか。

「もう、何回否定したことか(笑) 俺はアパート住まいだし、ブランドの服だって着るし、普段は好きな車に乗ってるし。桃が忙しい時期は限られてるから、それ以外は趣味や家族との時間もたっぷりつくれる。この自由なライフスタイル、結構憧れる人もいるんじゃないかな」

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高齢化が進み、年々減っていく桃農家。志村さんはこれから産地を担っていく一員として、産業を育てていく必要性を感じています。
そのためにも自身がカッコよくあり続けることで農家のイメージを変え、桃産業全体の革新を試みているのです。

「研修時代の俺みたいな農家が増えればいいわけじゃない。ちゃんとクラフトマンシップを持って、誇れるライフスタイルを送る、前向きな仲間を増やしたい

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職人として、真剣に桃と向き合うこと。
ヒトとして、カッコよくあり続けること。

すべては”いい桃”をつくりだすことに繋がっています。

「自分が食べておいしくないと思ったら、その時は正直にお客さんに伝えます。今年の桃はまずいよって」

お客さんと一対一で誠実に向き合い、信頼性を築くことは、美容師時代からずっと大事にしてきたモットーです。
志村さんが納得してつくりあげる桃に、中途半端なものはいっさいありません。

味や見た目だけでなく、産業への想いも乗せた”いい桃”で、最高の体験をお届けします。

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志村さんの桃はこちらです!

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