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失恋墓地【ショートショート】
「こんな所に呼び出して何? 私とあなたはもう他人でしょ? ……ちょっと、頭を抱えてないで何とか言いなさいよ」
「そんなこと言わないでさ、ミイちゃん。ずっと連絡しないで悪かったと思ってる。合わせる顔がなかったんだ。首が回らなくてね……。なんとかしようとしたんだけど、しまいには首が飛んでさ」
「でも、首の皮一枚の時でも相談してくれたら良かったじゃない! ……それで今はどうなのよ?」
「ほら、こう見えて俺も昔は顔を売ってただろ? 先輩に顔を貸してくれる人がいてね、何とかね」
「ふ~ん、それでこれ? 面の皮が厚いことですこと! もう!」
「おいおい、そんなに噛みつくなよ、反省してるんだ。先輩の顔を潰したくはない。でも、君も何食わぬ顔をしてのこのこ付いて来て……好きだねぇ」
「はぁ? あんた自分の立場分かってる? どの口がそんなこと……ププッ」
「え……? あっ、あははははははは。とにかく、今のは失言だった。失言というか『失口』というか、口が裂けてもそんなこと言うべきじゃなかったよ」
「もう口がうまいんだから!」
「借り物だって言ったのに……。あっ、落とすなよぉ。先輩の顔に泥を塗るわけにはいかない。こうなったら俺も。我慢できない!」
「欲しかったら私を捕まえて」
「あっ、コイツぅ。……ほら、捕まえた! って、もう残ってないじゃないか」
「ゾン君……」
「ミイちゃん。本当に今回はごめん。だからやり直そう!」
「だったら指切りして」
「分かった。ふふっ、ミイちゃんは本当に食いしん坊だなぁ」
「あっ、またそんなこと言って! 怒るからね!」
「ごめんごめん、指切りするからさ。……ほら」
「……お調子者なんだから、まったく。まあ、先輩の顔とゾン君の指切り、そしてこの素敵な場所に免じて許してあげる」
「ありがと。頭を切り替えて頑張るから、俺。その時は……キスしようね」
こちらの企画に参加しています。
国語が苦手なので、作中の慣用句やことわざの使い方に違和感を持たれることがあるかもしれませんが、ご容赦くださいませませ。
爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!