「つくねのお口チャックできる？orできない？」の話

私はこの世の中の
「ナイショ話、ここだけの話」
の大半は
別に誰かに話してもいいものだと思っている。

そんな大した事じゃない……
大概は。

大体、誰にも話してはならない話を
つくねに言うなよ。

って思うんだ……

私の口が重いと勝手に思うなよ？

ただ。

たまーにある
リアルガチのシリアスなヤツだけは
口が裂けても言うまい
と心に決めている。

カッコいいな？
（そうでもない……か……）

ウチの会社の事務員さんは
私と同い年。

仕事が終わり事務所に寄ると

「これ、絶対ナイショよ？」

と言って、会社の色んな話を教えてくれる。

「うん」

私も心得たと少し真剣な表情をする。

実際、会社の中で揉めた事だとか
そんな大した事ないような気もするけど
ごく稀に

「えーっ！？マジで！？」

という時もある。

クッソどうでもいい：どうでもいい：マジで？＝1：8：1

こんな感じ。

その日も

「これ絶対ナイショよ？」

シリアスな表情で彼女が言った。

「うん……」

私もそれにならう。

「私な……竹野内豊がめっっっちゃ好きなんよ」

「んんっ？」

「でも、ダンナが知ったらヤキモチ焼くから……ドラマ見る時もあんまりじ～っと見んようにしとんよ……」

「うへー……面倒くさいな。私は竹野内豊をこっそり愛さねばならん生活はごめんだわ」

ま、家族のあり方は人はそれぞれ。
何が幸せかなんて、千差万別ですわな。

そんな私を試すかのような試練がやってきた。

題して

「315事件〜我が家のジュニアに彼女ができました」

息子から、小学校を卒業する時期に
受験して違う中学へ行くNちゃんと
付き合い始めたと告げられたつくね。

「かっちゃんにもおばあちゃんにも言わんでよ！」
　
「ワカタヨ！（仲良しお隣りの）Fさんには言ってもいい？」

「う〜ん……Fさんならいいよ」

「なんで？」

ソッコーFさんに話した。
会社の人にも話した。
子供会の人にも話した。
noteでも記事にした。

息子の認識できない所では
しゃべりまくった。

しかし。
かっちゃんには言わなかった。
幾度となく
　
（あぁー……話したい。アレもコレも話したい。1から100まで話したい）

と思ったが、ささいな事かもしれんけど息子の信頼を失いたくない……

というのもあったし

（どーせ、かっちゃんには言ってしまうんじゃろ、どーせ）

そんな無意識の息子の声が聞こえた気がしたので。

私はお口チャックした。

私の意志はゆらぎこそしたものの
チャックは思いの外、固かった。
噛んでたのかもしれない。

そして。
その時が来た。

私はここんとこ我が家のカエルにハマっているのだが。

このしくじりの一連の流れをかっちゃんに話すと

「その記事読みたい」
と言うので

「はらつくね　noteで検索すりゃいーよ」
と言って、寝た。

次の日の朝。

「いつの間にか彼女が出来てたんだね」「え……」

「あっ！あの記事読んだな！」
「うん」
「あぁ……かっちゃんにはナイショにしといてって言われたのに……」

落ち込むつくねに
かっちゃんはこんな言葉をかけた。

「大丈夫。つくねは言ってないよ。かっちゃん、読んだだけ」

「……そういう一休さんみたいなトンチ系の話と違うんじゃけど……」

「そうなん？」

「うん……」

今のトコロ、息子にはバレてる様子はない。
かっちゃんにはこのまま
この記憶だけを消してもらいたい……