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「ずっと大好きだったもん!」の話

Nちゃんは息子が保育園の時からの同級生。

どっちかといえば肉食系女子だけど、キツくないし、しっかりしつつもいい感じの抜け感があると言いますか……

割と私もお気に入りの女子でして……

仲良く遊んでるのをNちゃんの母君と見て

「仲良しやなあ」
「結婚しちゃいなよ〜」

とのたまう我々。

小2の時に、息子が私に小さい声で話しかけるんだ。

「お母さん、あんな、かっちゃんには言わんでな?」
「ん?」
「おばあちゃんにもよ」
「何でしょう」
「〇〇な……Nちゃんと両思いなんよ!」
「えっっ!!」


そんな事があったんだ。

ただNちゃんは割と恋多き女子っぽいというのも母君から聞いてはいたので

(ま、小学生とか、好きな人、毎年変わるよなー。二人も三人も好きな人おったりするしなー)


たまに

「今もNちゃん好きなん?」
と聞いては……
迷いなく
「うん」

と答える息子に

(やーん!この子、一途!)

とニヤニヤしていた。

ある日。

「Nちゃん、中学校違うんだって」

としょんぼりして話す息子に

「そりゃ寂しいなあ……」

チョコレートとかもらってる気配もなし……

(Nちゃん、もう他の恋してんのかもなー。「息子、失恋する」なーんて……フフフ……アオハルってヤツかー)

で、特に何もないままに卒業式を迎えた。


この後、事態は思わぬ展開を見せるとか、誰も予測してなかったんだ……


先日、仕事中に息子から電話がかかってきた。

「おかーさん、スマホが欲しい」
「あー……うん。近いウチに買いに行こう」
「今日行こう!」
「えーと……仕事終わってその時になってみんと、正直分からん」


キッズケータイはあるので、さほどスマホスマホ言わなかった息子。

夏休みになったらね、とかその場しのぎで誤魔化し、うやむやな感じにして…… 
クリスマスとか、3月のお誕生日辺りにでも買うかー、という算段にしていたのだけど。

少し恥ずかしそうにこう続けた。

「さっきNちゃんから手紙がきたんよ。電話番号が書いてあって……だから電話したいなーって」

私は瞬時に答えた。

「はわわわ!そんならスマホ買わんとなあ!」

ふふふ……
我ながらチョロい。
チョロ過ぎだぜ。


で、仕事終わって、スマホを買いに行き

帰宅後。
「電話してくる!」
と2階へ行く息子。
私もドキドキしてしまう。

「つながらんかった……」

しょんぼりした息子が降りてきた。

「あー……もしや知らん番号じゃからか?Nちゃんのお母さんにラインしてみるか」

するとすぐ返事が来た。

「スマホ電源切って寝てるみたい〜」

「ま、明日また電話しなよ」
「うん」
「スマブラしよっぜ〜!」
「うん!スマホ……ま、2階置いたままでいーか」

次の日の朝。

息子のスマホを見て
寝てる息子をたたき起こす。

「ちょっ!Nちゃんから夜に着信あった!」
「ええっ!」

飛び起きる息子。 

「帰ってきたら電話しよ〜」
「ヒュ〜ヒュ〜♪」

帰宅後。
「電話してくる!」
「いってらっしゃーい!」

「出んかった……」

またもしょんぼりする彼に

(やーん、すれ違う二人……いいぞ~)


〜♪

「きたっ!」

2階へ走る。

楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

(やべー、私もニヤニヤしちゃうな)
 
15分ほどで話を終え、ウキウキで降りてきた息子。

「嬉しそうですなぁ」
「嬉しいよ!だって……

ずっと大好きだったもん!!」



「くーっ!エンダァァァーーーっ!!!」



「Nちゃんのどういうトコが好きなん?」
「何か……心惹かれるんよ」


だってなんだか〜
だってだってなんだもん〜♪

「手紙見せてよ〜」
「えぇ〜」
「ちょっとだけ!」
「えぇ〜」
「お願いします!」
「いいよ〜」

ドキドキ……

(うぉぉ!字ぃちっさ!読みづらい!)

暗号化されたかのような文書……
5割ほど解読し

「え……二人付き合ってんの?」
「うん!もうおしまい!」
「キャーーーっ!!」


「かっちゃんには言わんでよ!」
「えーっ!何でよ!」
「恥ずかしいから」
「じゃあ私はこのトキメキを!キュンを!誰と分かち合えばいいんよ!」
「Fさんならいーよ」
「何で?そうなん?」

隣の仲良しのFさんと分かち合う事になった。

あー……

こっそりかっちゃんに話そうかなー。
どうしようかなー。
いやでもなー。

あー……





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