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企画参加〜春の恋バナ祭り

あたしは完全に浮かれていた。
地に足がついてないってこういう事か。

ウッフフフ……

あー……
駄目だ、仕事に集中。
イヤ、しかし。

エッヘヘヘ……

駄目だ、こりゃ。
脳内でレジェンドのツッコミが冴え渡る。

何年ぶりかの
「彼氏」
という存在に、あたしは完璧に浮かれまくっていた。


「結婚を前提に付き合って下さい」


そう電話で言われたのが、つい二週間ほど前。

こんな嬉しいもんかね。
あっ、そうだ!
お父さんに連絡しよう。

母は数年前に亡くなって
田舎で一人、のんびり暮らしている父に電話をかける。


数ヶ月前に、ふと思い立って

「婚活するわ」

と決意表明すると、周囲はざわめいた。

「えっ……彼氏とかすっ飛ばして?」
「結婚願望あったっけ?」


「なかったけど、ふと思いついて」


本当にそうなのだから、仕方ない。


何コールかして
「もしもし、お父さん」
「おぉ、どうした?」 
「や……何か、あたし結婚前提にお付き合いをしてる人が出来まして……」
「はあ?そりゃまた……どんな人?」
「うーん……お父さんと真逆?」
「そりゃ……めちゃくちゃイイ奴だ」
「ふふっ。それは間違いない。で、来週の火曜日にその人と一緒にお父さんとこ行こうかなと思ってるんだけど」
「おぉ……そうか、分かった」


こんなやり取りが出来るようになるなんて
お父さんも丸くなったもんだわ。
あっ、あたしもか。
昔はさー……

とりとめなく物思いに耽っていた。


そうだ、忘れないうちに。

「来週の火曜日に一緒にあたしの実家に行こう。お父さんに会って欲しくて」

取り敢えず、彼にメール。

しばらくして

「いいよ〜」

嫌がる訳はないとは思っていても
快い返事にホッとした。 


数日後。


〜♪

電話がかかってきた。

彼だ!

「もしもしっ!?」
「もしもし〜。今ちょっといい?」
「いいよ!どしたん?」
「明日、お仕事休める?」

明後日は私も彼も仕事が休みでお父さんの家に行く予定。

「んん?なんで?」

「5/24とか5/25 とか好きな数字だから……明日、入籍しよう!」
「えっ……ええぇぇっ!!??」

ちょっと意味が分からん。

「や、あの、えーと……」
「ダメ?」

電話の向こうで彼の少ししゅんとした声を聞いて。

「いーや、ダメじゃない!よし、結婚しよう!」
「わーい!ありがとう」
「こっちこそ、ありがとう。で、それはそれとして。私としては、父に会ってもらってから入籍したいので……お父さんのとこ行ってから入籍という流れで、どう?」 「いいよ〜」



「って事がありましたなぁ……」
「そんな事が……」
「付き合って2週間。出会って3ヶ月……瞬発力あるよな……」
「それ、本当にオレ?」
「オレなんよ」


そう。
それが今の夫、かっちゃんです。


てる子さんのオモシロ企画!
ありがとうございます!!



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