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スルースキルの次に身に着けるのは『エレガントな毒の吐き方』中野信子著

昨今は、論破できる人がカッコよく見られている風潮があります。ズバッとモノを言えたらいいなというのは、昔からの憧れでありました。特に看護師として勤務していた時は、この論破力が強い人ほど仕事ができているように思っていた部分もあります。

でも、論破力は相当巧妙な技術がなければ、人間関係にヒビが入りまくりです。嫌われたっていい、別に好かれなくたっていいと割り切れる関係ならどんどんやってもいいと思うのですが。そうもいかない関係性の方が多いのが事実です。

私は論破できる技術は持ち合わせておりません。これイヤミかなぁと思うことは、とにかくスルーするようにしています。論破まで手が届かなくても、せめて言い返そうと思っていても、それだけで関係性が最悪になってしまうからです。あくまで私の場合は、ですが。

スルーする。実は、こちらもものすごく技術を要します。かなり努力をしています(笑)アンガーコントロール、体調管理、時間術。これらを駆使し、スルーしてなんとかやり過ごしているのです。そうなんです、心と体の調子が良くないと、スルーはできません。

それもそのはずで、人間には「言い返したい」本能が備わっているそう。つまり、スルースキルというのは、本能に抗う行為なのです。

本書の面白いところは、「ノー」とは言わず、「ノー」という思いを伝えることも、これからの時代を生き抜くには必要な力であると述べているのです。そう、私みたいに言い返す力がないけれども、スルーすることに少なからず、ストレスを抱える人間にとっては、非常に価値のあるお話です。

「言いにくいことを賢く伝える」これは「我慢はせずに伝えられた」ということ。人間関係はそのままで、自分の想いに蓋をせずやり過ごせた。本心は伝わらなくてもいいのです。今より少し楽になれることが目的です。

私は頭の回転が良くないので、結局スルーを選びそうですが…。でも、「言いにくいことを賢く伝える」言葉を、自分の中にストックしておくだけでも、これまでとは違う生き方ができるような気がしています。

著書を読むと、コミュニケーションに正解などないということがよく分かります。自分にとっての正解を見つけていくしか他ならないと思いました。

さて、それってどんな言葉なの?と思った方は、ぜひ本書を手に取って確認してみてくださいね。京都人に学ぶはんなりとした返しをモチーフにしているので、読んでいて心地が良いですよ。


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