見出し画像

『「若者の読書離れ」というウソ』(飯田一史・著)

 図書館の書架に『「若者の読書離れ」というウソ』(平凡社新書1030)があり、手にしました。

 マスコミが「読書離れ」を取り上げているのを耳にすると、「そんなことはない」と思うことがしばしばありました。

 この20年間で、小中学生の平均読書冊数はV字回復した。そんな中、なぜ「若者は本を読まない」という事実と異なる説が当たり前のように語られるのだろうか。
 各種データと10代が実際に読んでいる人気の本から、中高生が本に求める「三大ニーズ」とそれに応える「四つの型」を提示する。「TikTok売れ」の実情や、変わりゆくラノベの読者層、広がる短篇集の需要など、読書を通じZ世代のカルチャーにも迫る。

 書名の「ウソ」や内容紹介にある「なぜ」への答えを期待して読んでいくと、すっきりしませんでした。
 それは、裏付けとする゛各種データ”が、次々に登場し、その正体を探ったり、読み取りを確かめたりして、混乱してしまったようです。

 副題の「中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか」に関わって、第三章で、いろいろな本が、カテゴリ、ジャンル別に紹介されています。
 ライトノベル、ボカロ小説、なろう系、5分後…。
 第三章から読んで、他の章へ進むのもよさそうです。


 本書で何度も登場する、学校読書調査で上位にあがる本から推察する「三大ニーズ」と「四つの型」。

1. 正負両方に感情を揺さぶる
2. 思春期の自意識、反抗心、本音に訴える
3. 読む前から得られる感情がわかり、読みやすい

a. 自意識+どんでん返し+真情爆発
b. 子どもが大人に勝つ
c. デスゲーム、サバイバル、脱出ゲーム
d. 「余命もの(死亡確定ロマンス)」と「死者との再会・交流」

 まず、図書館司書や担当の先生にお薦めします。
 本書で取り上げていると図書、作家の本を集めたコーナーを設けてはいかがでしょう。
 児童や生徒が、それを求めるか、好むかどうか分かりませんが、これまでと違った選書になりそうです。

 先生、いかがでしょう。

   目次

はじめに
本書の方法論 マクロのデータ+本の内容を分析
第一章 10代の読書に関する調査
第二章 読まれる本の「三大ニーズ」と「四つの型」
第三章 カテゴリー、ジャンル別に見た中高生が読む本
第四章 10代の読書はこれからどうなるのか
あとがき
巻末資料 今の学年になってから読んだ本
主要参考文献

【関連】
  ◇飯田一史 (@cattower)( X )

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?