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『人は違和感が9割』(松尾貴史・著)

 「どこかで見たようなタイトル…」、題名の「違和感」そして著者が気になって手にした『人は違和感が9割』(毎日新聞出版・刊)です。

 毎日新聞に掲載のコラム「松尾貴史のちょっと違和感」から3冊の“違和感”が発刊されていたのを知りませんでした。本書は第4弾の単行本でした。

 白地の表紙に、横向きの頭部が描かれ、驚いたような表情に見えます。その頭に黄色い脳が見え、そこに白い花が咲いている印象的な表紙です。
 “違和感”は、白い花でしょうか、脳が見えることでしょうか…。この表紙でしょうか…。

 毎日新聞日曜版の人気社会派コラム「松尾貴史のちょっと違和感」書籍化第4弾!
 コロナ対策の「やってる感」、政治家たちの欺瞞、テレビ番組や街角で耳にしたちょっとおかしな物言い、振る舞い......。鋭い視点であぶり出した「日常の違和感」を柔らかな筆致で綴る。我慢が当たり前になった昨今、「これって怒ってよかったのか!」と、全方位で気づきを与えてくれる一冊。

 新聞に掲載した時系列でコラムが収録され、最後に、脳学者 茂木健一郎氏との対談が掲載されています。

 一つの記事は3ページ、すぐに読み切れます。
 記事の終わりに“執筆日”が書かれているので、その頃の出来事を思い出しながら読むのはいかがでしょう。
 また、見出しから、気になるものを選んで読むのも、自分の“違和感”を探ってみるのも、愉しい読書になりそうです。

 本書を読み終え、ジャニーズ性加害問題、内閣改造などについて、これまでと違った“違和感”があるかもしれません。
 みなさんにお薦めの一冊です。



 読書メモ「違和感」

○ 高齢者の自動車事故を大々的に取り上げるのは、日本の経済が落ち込む中、自動運転機能が付いた車の販売促進を図るための情報操作だと見る向きもある。
○ 「こども庁」というネーミングには、子供のことを第一に考え、子供を社会の中心として捉える意識があったのではないかと思う。(略) わざわざ「家庭」という「型」を押し付ける意味が分からない。
○ ワイドショーという呼称に抵抗を感じる関係者が増えたのか、最近は「情報番組」と総称されることが多くなったような気がする。情報番組という言葉に対する違和感は…
○(略) 季節物なのだろう「丹波赤鶏と芹のつけそば」なるものを見つけて注文してみた。
 「芹が入っていますけど、大丈夫ですか?」と、不思議な質問をされた。(略) 自分の口で注文しているのに、芹は大丈夫かと聞かれることに…
○ 新型コロナウイルスのまん延や、ロシアのウクライナ侵攻など、世界中が情報を深刻に受け止め、正確さを求めている時に、何かのバイアスがかかった拙いコメントや論評を聞かされることに疑問が湧かないはずがない。ことに、報道する側にそういった危機感がないことが一番の危機ではないだろうか。
○(略) もちろん感染予防になっているとは思うが、ただのセレモニーと化している感もなくはない。
○ テレビから聞こえてくる「緊急○○」という言葉にも辟易する。(略) 実は緊急でも何でもなく、ただ思いつきに箔を付けようとしているものばかりだ。
 (略) 「完全○○」なども有り得ないのに平気で叫ぶ。よく「○○に潜入!」という企画もあるけれど(略) 許可を得ての取材や撮影ならば「潜入」ではない
○(略) それを聞いて「よし産もう」と思う人がどれだけ増えると思っているのか。そのあまりにもいびつな想像力は、自分たちの利権にしか発揮しないようだ。
○ 容赦ないっていうか。日本の場合だとなあなあでしょう。「まあ、いろいろお立場がありますから」みたいな感じで。
○ 「そういう企画は当たらないよ」って言う先輩とか権力者がいっぱいいるからね。
○ でも僕は、加点主義で何千点、何万点もとれるけれど、日常生活は全然ダメみないな人が世の中を変えていくと思いたい。

   目次

はじめに
第1章 2021/11~2022/2
第2章 2022/3~5
第3章 2022/6~8
第4章 2022/9~11
第5章 2022/12~2023/3
対談 茂木健一郎×松尾貴史 「違和感」対談

【関連】
  ◇松尾貴史のちょっと違和感(毎日新聞)
  ◇松尾 貴史 (@Kitsch_Matsuo)(X・旧Twitter)
  ◇松尾 貴史(@kitsch.matsuo)(Instagram写真と動画)

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