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映画『フランシス・ハ』素敵な音楽で彩られたモノクームの映像

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」「レディ・バード」を監督したグレタ・ガーウィグ主演、共同脚本の作品です。大好きなガーウィグの作品といえど、モノクロで、しかも小じゃれた題名。これはもしかして、実験的な尖がった、おしゃれ過ぎ映画なのではないか?と不安に思いながら観ました。観始めてすぐに、大丈夫、むしろほほ笑ましい、かわいいとこ満載の作品だと安心。グレタ・ガーウィグは、つき放したりしないのです。

ノア・バームバック監督、共同脚本。2012年製作。アメリカ映画。Amazonプライムビデオで鑑賞。

ニューヨーク、ブルックリンに住む27歳のダンサー志望、フランシスをグレタ・ガーウィグが演じます。収入は少なくても楽しい日々。のはずでしたが、ボーイフレンドと別れてしまい、そして親友ソフィともルームシェアを解消することに。さあ、困った。でもなんとかなる。そんな彼女の生活を気負うことなく描いています。

フランシスの年齢が27歳という設定が良いです。まだまだ若いけど、周りの友人たちは、そろそろ人生の方向を決め出していたり。

フランシスがチャイナタウンを疾走するシーンがあります。27歳女性、住む場所も仕事も不安定。その彼女が走る。そこに、デヴィッド・ボウイの「モダン・ラヴ」(1983)が流れます。短いシーンですが、すごく印象に残りました。

フランシスは彼女なりに真面目に生きているけど、何か器用さに欠ける性格です。友人達との会話でも微妙な空気が流れたり。親友ソフィの事を、離れて暮らすようになっても凄く気にかけていたり。優しいところのある、いいヤツではあります。

ダンスのクリスマス公演の仕事を失なったフランシスは、故郷であるカリフォルニア州サクラメントに一時帰宅します。「レディ・バード」では一刻も早く脱出したい場所として描かれていたサクラメントですが、本作の都会でがんばる27歳には故郷は温かな場所でした。フランシスの両親を演じたのはグレタ・ガーウィグの実際の両親ということです。帰れる場所があるということは強いことだと思います。

イームズの椅子がある部屋に住む男子役が、アダム・ドライバーでした。存在感があり、魅力的。フランシスの人生に大きく影響することは何も起こりませんでしたが。

「フランシス・ハ」という映画の題名の由来が、ラストに出てきます。それが、可愛らしくて気取りがなくて、フランシスという女性そのものの様な気がします。ほんの小さいエピソードなんですけど、とても気に入っています。

モノクロームの映像の中に素敵な音楽が詰まった作品です。





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