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映画『ヤング・アダルト・ニューヨーク』会計伝票を完全スルーするおしゃれ男子に気をつけて!

20代と40代の二組のカップルが仲良くなる設定で、その世代間にあるギャップで楽しめる作品だと思っていましたが、ちょっと苦い風味のお話でした。

「フランシス・ハ」のノア・バームバック監督・脚本。2014年製作。アメリカ映画。Amazonプライムビデオで鑑賞。

舞台はニューヨーク・ブルックリン。ドキュメンタリー映画監督のジョシュ(ベン・スティラー)は講師を務めるアートスクールでジェイミー(アダム・ドライバー)とダービー(アマンダ・サイフリッド)の若いカップルに出会います。なんと、ジェイミーはジョシュのドキュメンタリー映画のファンだと言ってくるのです。そこから、ジョシュの妻コーネリア(ナオミ・ワッツ)も交えての二組のカップルの交流が始まります。

ジョシュとコーネリアは40代。二人で自由な生活を楽しんでいます。でも現状維持で良いのか、少し不安もあります。

ジョシュの撮っているドキュメンタリー映画は、こだわるあまり8年も完成していません。インタビューしているジョシュの顔が、8年の間で老けてしまって映像に違和感が生じる笑えない状況です。資金も不足しています。

そんななか、自分の映画に強い関心を持って、憧れで目をきらきらさせて話を聞いてくれるかっこいいジェイミー。嬉しすぎます。いい気分です。

若いカップルのレコードやレトロな文化を愛するライフスタイルは新鮮で、ジョシュとコーネリアは影響を受けていきます。

コーネリアがヒップポップ・ダンスを習ったり、ジョシュが自転車を買って足を痛めたり。

ここらへんまでは、楽しい展開でした。ジェイミーが食事のあと、会計伝票を完全に無視するところが気になりましたが。

ジェイミーもアフガン帰還兵である友人をテーマにしたドキュメンタリー映画を撮影するのですが、8年もの間難航しているジョシュの作品と違い、成功をおさめます。

若く魅力的で実は野心家だったジェイミー。近づいてきたのは、ジョシュのバックにあるものが欲しかったからで、ジョシュ自身を尊敬していたわけではないのでは。生じる疑惑。

ジョシュのドキュメンタリー映画に対する思いは純粋ですが(だからこそ8年も完成しない)ジェイミーは多少のヤラセもやります。

しかも、ドキュメンタリー映画の大先輩である義理の父もジェイミーを高評価し、ジェイミーのやり方で良い、と言うじゃありませんか。

もう、40代になっても純粋な人の好いジョシュが気の毒でした。

ジェイミーに出会った最初の頃、有頂天になった自分を思い出すと恥ずかしいでしょうし。

自信を失い、迷っている時に「尊敬してます。すごいです」と来られると、人は扉を開くのでしょう。

ジョシュにとても良いパートナー、コーネリアがいたことが救いです。

アダム・ドライバーの人たらしぶりが実在の人物のようでした。映画を観終わってからも、そんなに悪い人じゃないかも。自然にそうなってしまったに違いない。と思わすような。

この作品は、とても大切にしているものを、優しい顔をした誰かが持って行ってしまうというお話でした。

世代は関係なく。

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