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ニューヨークでの住まい、あれこれ
数えてみたら、ニューヨークに住んでいる8年の間に、実に12回も引っ越していた。
スタッテン島、ブロンクスには住まなかったけれど、
マンハッタン、ブルックリン、クイーンズのNYCの3つの区に住み、ニュージャージーにも何回か住んでいた。
今から20年弱前でも、NYの家賃はバカ高くて、
学生はもちろんのこと、薄給の社会人にとっても、一人暮らしなど夢のまた夢であった。
なので、ルームシェアをするのだが、3人のルームメートでトイレ・バス一つをシェアしたとしても、月々800ドル以上の家賃の分担だったりして、1ドル100円計算だとしても、都内でも一人暮らしできそうな額を払っているのに、どうして…と、割り切れない思いだった。
カリフォルニア、ハワイも当時からNY並みに家賃は高かった。
しかし、NY以外と他の北米の家賃の高い町たちとは決定的な差があった。
それは、同じ800ドルの家賃を払うなら、他の町だったら、断然きれいで、広くて、新しい物件に住むことができるのだった。
他の町だったら、自分の部屋に洗濯機がなかったとしても、アパートに共用のランドリールームがあるのがまず普通だ。
しかし、ニューヨークだと、多くのお手頃値段の古いアパートだと、備え付けのランドリールームはないので、最寄りのコインランドリーを利用しなければならないのだ。
それまでカナダの3都市、ハワイ、グアム、カルフォルニアに住んできていて、NYの住宅事情の悪さを、受け入れ、慣れるのは本当に大変だった。
まだ20代、せめて30代前半だったらよかったかもしれないけれど、
離婚後の30代後半で、一回り以上年下の若い学生の子たちとルームシェアをするのは、時としていろいろしんどい面もあった。
半面、同世代の社会人のルームメートがいるシェアハウスに住んでいた時は、大家さんが折に触れて、バーベキューなどのイベントを開いてくれて、みんなで楽しく過ごせた思い出がある。
最初に就職した日系会社に、リーマンショックの時にリストラされ、
その後、3年間の看護学生生活、
看護免許所得後も、まさかの就職難に非正規雇用…と、
生活コストの高い町に住んでいるのに、ろくに稼げていないので、
一人ぐらしは望むべきもなかった。
それでも、何年にも及ぶルームシェア生活の中で、いつかは一人暮らしをしたいと、常に切望していた。
当時でも、NYで一人暮らしする場合は最低でも1000ドルはしたし、
他の町のようなまともな物件だったら、月1500ドル以上の家賃を覚悟しなければならなかった。
で、1500ドル以下の物件はどんな部屋なのかというと、極端に古いか、汚いか、不便なところや、治安の悪い場所にあるような物件になってしまっていた。
そんな中、治安のいいとされているエリアで950ドルという、破格の家賃のワンルームの空き部屋の広告をみつけた。
早速、内見を申し込んで見に行ってみると、想定していたようにものすごく古い物件だったけれど、安全できれいなエリアにあるアパートだった。
当時、4人でルームシェアしていて800ドルを払っていたので、150ドルの差で一人暮らしができるなら、願ったりかなったりだ!
と思い、内見のその場で申し込み、入居審査を経た後、念願の一人暮らしをかなえることができたのだった。
NYに引っ越してきて、4年の月日がたっていた。
以降、ずっと一人暮らしをしているのだけれど、
NYで一人暮らしができることになったあの日の嬉しさは、今になっても本当に格別だったと思う。
学生の頃に住んでいたブルックリン、クイーンズがこんな感じの街並みだった。
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