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上京物語、としてのニューヨーク

離婚後、南カリフォルニアの日系企業に就職できたものの、
当時のガソリン価格の暴騰などのせいで、生活が立ち行かなくなり、
引っ越した先はNYであった。

車がなくても暮らしていける町は、アメリカではごく少数になってしまうが、一番の候補に挙がるのは、NYであろう。

しかし当時の私はNY、シカゴ、シアトルの3つの間で、どこへ引っ越そうかと散々悩んでいた。

何故NYにすぐ行こうと決められなかったというと、生活コストの高さ、住宅事情の悪さ、町の汚さのために、気が進まなかったのだ。

とはいっても、日本人向けの仕事がみつかる確率はNYが圧倒的だったし、
無職の身としては、そもそも悠長に住む町を選べる身分ではなかった。

というわけで、オバマ大統領就任の年にNYに住み始め、
トランプ大統領就任の年に引っ越すことになったので、ちょうど合計8年間住んだことになる。

日本の故郷を除いて、平均一つの町に半年ぐらいしか住んだことのない私にとって、8年も引き留めたという、NYという町は、本当に特別な存在である。

私にとっては、第二の故郷、
自分にとって帰る場所、と考えると、「やっぱりNYになるのかな」と、
思うのがこの町だ。

というわけで、住んだ年月も長く、思い入れも格別の町なので、
NYについては、いくつかの記事で書かせていただきたい。

もちろん私ごときがどう思うか以前に、NYという町がそもそも、特別な町なのは言うまでもない。

首都圏育ちの私にとって、東京というのは電車で1時間ぐらいで行ける、日帰り前提の場所だった。
なので、フィクションや地方出身の友達から聞く、「上京物語」的なものを、私はずっと実体験できずにいた。
魔女の宅急便的な体験に対する憧れのようなものが、常にあったわけだ。
カナダでそれっぽい体験は部分的にできたとは思うが、東京に比べるとカナダの町は小規模すぎた。
さながら、それはきっと、地方支店に転勤になった会社員の体験に近かったような気がする。

そこへ来ると、実際の町の規模は別にしても、NYは東京以上の文化的地位がある。
東京は日本の中心だけれど、今のところNYはなんだかんだ言ってもまだ世界の中心的な都市ではあると思う。
日本で最先端を目指すなら東京に行くように、
世界規模で頂点を狙うなら、(全ての分野ではないにしても)、NYが世界中からの目的地となっているのだ。

東京でいろいろな地方出身からの人たちとの出会いがあったように、
NYで世界中様々な出身の人たちと知り合う機会が得られた。

そして、ずっとしたかった私なりの「上京物語」がここでかなったのだった。

私がNYに来る5年前にリリースされた曲だけど、このPVが当時のNYの雰囲気を本当によく表してくれていると思っている。

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