【分かりやすい資料の作り方】18_[グラフ]グラフを見やすくする工夫
『分かりやすい資料の作り方 ~構造化のススメ~(基本編)』は全19話の記事で構成しています。
最初の記事に全体概要とこれまでに掲載した記事のインデックスを記載していますので、ご興味を持って頂けましたら、こちらからご覧ください。
今回は、作ったグラフを分かりやすくする工夫についてお話していきます。
グラフを作る場合、Excel等の表計算ソフトを使用する方が大多数だと思います。
ですが、これらのソフトに数値を入力して出力したグラフそのままですと、いまひとつ見にくい場合が殆どです。
前回お話したように、グラフは「数値を視覚的に一目で分かるようにメッセージ性を表現」するものです。
そして、当然ですがそのメッセージは場合により様々です。
そのため、どんな時にも分かりやすい画一的な表現方法があるわけではなく、貴方が伝えたいメッセージに合わせて最適な見やすくなる工夫を施していく必要があるのです。
これから、例を用いて解説していきます。
1.重要なのは「伝えたいメッセージ」
まず、前回の例でも使った販売計画の収益値について、Excelで棒グラフを出力してみます。
このような形になりました。
この時、あなたがグラフを使う「シチュエーション」と「伝えたいメッセージ」が重要になってきます。
グラフを使うシチュエーションが、じっくり資料を読み込んでもらえる場合であれば、タイトルや単位、凡例を付けるくらいで問題無いと思います。
ところが貴方が置かれたシチュエーションが、多くの聴衆に対して限られた時間で行うプレゼンテーションだったとします。
その場合、あたなは3秒で伝えたいメッセージを伝えないといけません。
今回、あなたが伝えたいメッセージは「年度末(3月)には売上を年度当初(4月)の6倍以上に伸ばします」だとします。
このメッセージを3秒で伝えるためには、
「必要の無い情報をそぎ落とす」
「必要な情報のみを強調する」
という2つの工夫が必要になってきます。
今回はそれぞれについて解説していきます。
2. 余計な罫線は消してしまおう
まずは「必要の無い情報をそぎ落とす」ポイントについてです。
例で挙げた伝えたいメッセージ、
「年度末(3月)には売上を年度当初(4月)の6倍以上に伸ばします」
の強調するにあたっては、グラフの細かい目盛、罫線が不要になります。
目盛と罫線があることで、例えば7月や12月時点での売上はどの程度を予定しているのか、といった情報は読み取りやすくなります。
しかし、想定するプレゼンテーションの場では、聴衆によるそこまで細かいグラフの読み取りは想定していません。
4月時点の売上が59万円、これが3月には372万円になる、ということが伝われば良いのです。
これを伝えるために不要な情報は削除、必要な情報のみを強調してみましょう。
そのため、目盛や罫線は全て削除します。
代わりに「必要な情報のみを際立たせる」ために、4月時点と3月時点の売上額を数値で大きく表示しましょう。
そして、その数値を矢印でつなぎ、『売上高6倍以上」と誰もが分かるようにメッセージを表示するのです。
これで、余計な情報が排除され、あなたが伝えたいメッセージのみが3秒で相手に伝わるようになりました。
3. 色を使った強調
色にもこだわって、伝たい情報の強調に使いましょう。
3章の図の描き方でも述べましたが、色はむやみに多用するのではなく、意味性を持たせて使うことが重要です。
例えば貴方の会社のコーポレートカラーがブルーだったとします。
この場合、グラフで使う色はブルー基調の寒色系で統一します。
その中で、強調したい部分のみ暖色系で表現する、というルールを設定します。(このルールは資料の始めから最後まで守り抜いてください。)
そして、グラフの伝えたいメッセージ部分のみを色を使って強調してみましょう。
先ほどの売上の棒グラフでいえば。3月時点で達成する金額を表す棒のみ
暖色系で強調する、というのもあると思います。
また円グラフや帯グラフでも、全体の色は寒色系で統一感を出しつつ、
強調したい部分だけを暖色系で目立たせる、というのが有効になります。
第四章の表を伝えやすくする工夫と同様で、少しの工夫の積み重ねが大きな分かりやすさをもたらします。
細かい部分が多いですが、是非実践していただけると有難く思います。
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