『94歳のゲイ』から自分を見つめ直す
ドキュメンタリーを観るようになったのと、当事者性を持たずして研究することの是非を考えるようになった時期は同じだったように思う。大学に入って、自分を囲む環境も人間関係も大きく変動した。それだけガラリと変わった状況において、「研究」が日常に入ってきた。自分語りが必要でない論文を書くこととなり、相当に困惑した。教養がない私は、自分が経験したことしか語れなかったからだ。
ここでは、わざわざセクシュアリティを明言はしないが、ジェンダーをはじめとする社会的事柄を調べていると、自身の当事者