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  • ベトナム放浪記

    途切れ途切れの記録ではありますが、 私のベトナム放浪記です。

最近の記事

ベトナム放浪記5

 3月18日。早朝。 午前5時ごろ、昨夜サパから出発した夜行バスがハノイに到着した。弱い雨がしとしとと旧市街のアスファルトを濡らしている。 辺りには、早朝バスから降ろされ特にすることもなく、小腹を空かせた観光客の腹を満たすような小さな店がちらほらと営業しているだけだ。ご飯を食べる気にもならなかったのでとりあえずスーツケースを預かってくれる場所を探すことにした。  営業していようがしていまいが周辺のホテルを手当たり次第回って少しでも安く荷物を預かってくれる場所を見つけようと企

    • ベトナム放浪記4

       3月17日 。 ベトナムに来てから2か所ほど、いわゆる観光名所と言われるような場所へ訪れてみたがいまいち心惹かれるものがなく、それよりかは街の人たちの生活や建物やらを観察しながら歩き回っている方が私にとってはよっぽど面白い。  しかしこの風景にも多少の慣れが出てきてしまい、私の中の面白探知機のセンサーがビビビっと反応することが少なくなってきてしまった。 どこか面白そうなところはないか、と1人宿泊先の部屋でGoogleマップを開いて小さくなったサパをあちこち行ったり来たり

      • 文章をかくこと

         中学生の頃から部活の時につけていた練習日誌が、高校生の頃にだんだんと日記のようなものに変化していき日々頭の中で悶々と考えているあの、黒い糸がぐちゃぐちゃに絡まったような感覚に耐えきれない時、全部言葉にして書き出してしまえばその絡まった糸が多少解けていく気がしてそれが気持ちよかった。 だから文章を頻繁に書くようになった。  noteに投稿するようになり誰かに見てもらうということで私の感じたことや見たものがどの言葉を使えば伝わるのか考える必要がある。伝えるためにひとつずつ言葉

        • ベトナム放浪記3

           3月15日。夜 荷物を預けたイエンヴィエン駅へ、ラオカイ行きの寝台列車に乗るため、もう一度向かう。  今朝は、人気のないがらんとした駅の窓口に1人で座っている女の人にスーツケースを預かってもらった。  彼女はカツラなのかと疑うほどのボリューミーな茶髪のおかっぱで、何やら乾燥させたニンニクのかけらのような物の皮を剥きながら、それをぽりぽり食べていた。 ふと彼女が使っている机に目をやれば、ニンニク以外にもお菓子の袋や果物の皮など、食べかけのものが雑破に広げられている。 よ

        ベトナム放浪記5

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        • ベトナム放浪記
          5本

        記事

          ベトナム放浪記2

           3月15日。ベトナム2日目。 夜はGoogleマップでたまたま見つけた美味しいと有名なフォーの店へ行くことにした。  バイクと人と車とでごった返した道をぐんぐん進む。今朝に比べたらこんな人まみれのマナーも何もない道路を歩くことにずいぶん慣れてきていた。 ふと、大股でずんずん進んでいく自分に気づく。逞しくなったじゃん、と心の中で鼻を鳴らす。  歩くこと20分、ようやく目当ての店を見つけた。 確かに賑わっているし注文する場所が少し並んでいた。(ベトナムに並ぶという概念は存在

          ベトナム放浪記2

          ベトナム放浪記1

           3月14日。昼下がり。 花粉症による鼻の痒さと、頭がふわふわするようなぽかぽか陽気に春の訪れを感じる。 空は雲ひとつない。 昨日遅くまで飲んでいたせいか、花粉のせいか、それともこの陽気のせいなのか、なんとなく冴えない脳みそと、瞼の上にぴったりくっついてくる眠気と共に私は家を後にした。  いつもの通り最寄り駅まで歩きいつもの通り特に何も考えないでいつも乗る電車に乗っていた。 電車が動き出して一駅過ぎたところで私ははっとした。 乗る電車を間違えたのだ。脳みそなんて使わない

          ベトナム放浪記1