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愛しい過去と希望の未来と共に今を生きる『アルケミストー夢を旅した少年』

「夢」をテーマに薄めの文庫を探していて出会った本。
読んでびっくり。
タイムリーに心に響くメッセージが溢れてて、
こんな真理に満ち満ちた物語があったなんて!
調べてみるとどうやら世界的な名著でした。

『アルケミストー夢を旅した少年』
  パウロ・コエーリョ 著 山川紘矢 山川亜希子 訳

アルケミスト

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この世界の創造の秘密

彼は小さい時から、もっと広い世界を知りたいと思っていた。(P13)
結局、彼がいつも望んでいたのはそれだったのだ。
新しい場所を知りたいということだった。(P51)

少年のシンプルな望み。
その望みに呼応するように、
宝物を見つける不思議な夢を少年は見るようになった。

「自分の運命を実現することは、人間の唯一の責任なのだ。
 すべてのものは一つなんだよ。
 おまえが何かを望むときには、
 宇宙全体が協力して、
 それを実現するために助けてくれるのだよ」(P29)
「宝物を見つけるためには、前兆に従って行かなくてはならない。
 神様は誰にでも行く道を用意して下さるものだ。
 神様がおまえのために残してくれた前兆を、 
 読んでゆくだけでいいのだ」(P36)

と、不思議な夢の夢説きをする不思議な老人と出会い、
少年の旅は始まった。

羊飼いという仕事を手放し、
生まれ育った国を離れ、
言葉のわからない異国の地で全財産を失い、
新たな職を得て働くうちに夢を忘れてしまったり、
命の危険に晒されることも幾度かあって、
少年の旅は順風満帆というわけにはいかなかった。

ただ、夢見た宝物と夢説きの老人の言葉と、
旅の道中で出会う錬金術師の言葉を指針に、
一見不幸と思えるようなことが起きても、
今、目の前で起こる出来事の中に「前兆」を発見しながら
少年は旅を続ける。

「秘密は現在に、ここにある。
 もしおまえが、現在によく注意していれば、
 おまえは現在をもっと良くすることができる。
 そして、おまえが現在を良くしさえすれば、
 将来起こってくることも良くなるのだ。
 未来のことなど忘れてしまいなさい。
 そして、神様は神の子を愛していると信頼して、
 毎日を神様の教えにそって生きるがよい。
 毎日の中に永遠があるのだ」(P122)

人と出会い、
その都度、自分が進む道を選択しながら、
少年は旅の中で大切な宝物を一つずつ手にしていく。

そんな少年の旅を通して、
私たちは夢の実現と、この世界の創造の法を知っていく。

そんな不思議な物語。

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一番大切な夢に気づく

「おまえの心に耳を傾けるのだ。
 心はすべてを知っている。
 それは大いなる魂から来て、いつか、そこへ戻ってゆくものだから」(P151)
「おまえの心があるところが、おまえが宝物を見つける場所だからだ」(P152)

物語の中で、錬金術師の助言に従い、少年は自分の心と対話を試みるのだけど、
現実世界で、私にとって、自分の心と対話するのは難しかった。

私は書くことが好きだ。

好きなことで人の役に立っていけるものが、
私は書くことなのだと気づくことができたはずなのに、
書けない。

あれ?私、書くことが好きなの?

考えすぎだよ、とにかく書いてみたらいいじゃない、
とも思うのだけど、書けない。書かない。向き合えない。

「時々私は不満を言うけれど」と心は言った。
「私は人の心ですからね。
 人の心とはそうしたものです。
 人は、自分の一番大切な夢を追求するのがこわいのです。
 自分はそれに値しないと感じているか、自分はそれを達成できないと感じているからです。
 永遠に去ってゆく恋人や、楽しいはずだったのにそうならなかった時のことや、
 見つかったかもしれないのに永久に砂に埋もれた宝物のことなどを考えただけで、
 人の心はこわくてたまりません。
 なぜなら、こうしたことが本当に起こると、非常に傷つくからです」(P154)

この言葉に出会い、
ああ、書くことは今の私の一番大切な夢なんだな、
と自覚することができた。

本当は好きじゃないんじゃないの?
何かプロフェッショナルなものがほしい!
と言って書くことから逃げてたのはそういうわけだ。

こわい、という自覚すらなく逃げてたけど、
向き合いたくないくらい大切な夢だったのか。

と、同時に、
ああ、こうして私は無意識のうちに、
自分で願いを上げることをしないようにしてきたんだな、
ということにも気がついた。

たとえば最近、
ほしいものがある。
応援したい人がいる。
会いに行きたい場所がある。
それを叶えるために、もっと稼ぎたい。

という願いが出てきた。

この願い自体は1年前からあったものの、
「稼ぎたい」を言葉にするには、
自分が願うほど稼いでいない自分を認めることが必要で、
「稼ぎたい」と望むほどの努力をしていない自分を認めることが必要だった。

望むほど努力していない自分を認めるのが嫌で、
願いを上げることに蓋をした。

できる範囲の稼げる範囲で、こうして生きてて、十分幸せじゃない。
それはそう。
確かにそう。
そう。
なのだけど、
願いを上げるのを止めた時点で、
今以上の喜びも幸せも、成長も成功もなくなった。

気づいたら「つまんない女だな」と自分で自分に悪態をつく始末。

「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだと、
 おまえの心に言ってやるがよい。
 夢を追求している時は、決して心は傷つかない。
 それは、追求の一瞬一瞬が神との出会いであり、
 永遠との出会いであるからだ」(P154)

錬金術師の言葉は私の心に響いた。

願いを上げることを止めないように。
夢を追求することを諦めないように。
幸せであることを遠慮しないように。

今、心から思えてないとか、
理解できてないとか、
実践できてないとか、
今の自分で至らないことは多いけど、
だからといって身の丈超えた願いを上げちゃいけないわけじゃない。

今の自分のレベルで至らない分、
願いに合わせて自分を成長させていけばいいだけの話。

私は書くことが好きで、
みんなと分かち合いたい喜びがあって、
実現したい世界がある。

書くのに時間がかかるなら時間をつくろう。
書くために人との出会いが必要なら人と出会おう。
言葉にならないなら言葉になるまで向き合おう。
そうして難なく自然と言葉が出るようになるまで書き続けよう。

未来の自分を信じて、今、できることに専念する。

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今に生きる

いつか今朝のこともただの思い出となるだろう。
しかし、大切なのは今という時間だった
ーらくだ使いが言ったように人生はパーティだったー
彼は過去の教訓と未来の夢と共に今に生きたいと思った。(P102)


過去の出来事は変えられないけど、
今の思い一つでその記憶は灰色にも黄金色にも変えていける。

未来の出来事はわからないけど、
今の思いと行い一つで着実に未来を切り拓いている。

すべて「今」に繋がり「今」から始まるのだから、
私は愛しい過去と希望の未来と共に今に生きたいと思う。


ここには書ききれないほど、叡智溢れる本でした!
悩みの渦中にある方、
何か新しい挑戦をしている方にとって、
今、必要なヒントがもらえる一冊として、
オススメします!

紹介する本が、たくさんの人に読んでもらえたらいいなと願い書いてます。
気になる本があったらぜひ読んでみていただけたら嬉しいです。

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