見出し画像

主体的に学習に取り組む態度って?どうやって見取る?

※できるだけ簡潔になるよう、要点を絞りつつ、わかりやすく書こうと試みています。
※どちらかというと、教育関係者向きです。


 「主体的に学習に取り組む態度」…言葉としては定着してきていると思いますが、実際、評価するとなると、どのようにしたらよいか、という声を多数耳にします。


 できるだけわかりやすく、かつ正確に書いてみようと、チャレンジしてみます。



1 主体的に学習に取り組む態度って?


 小学校では2020年度、中学校では2021年度より実施となる学習指導要領で、目標及び内容が資質・能力の三つの柱で整理されました。このことを踏まえ,各教科における評価の観点については、「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理されています。

 このうち、「知識・技能」や「思考・判断・表現」は、比較的イメージしやすいと思います。(とは言っても、深掘りしていくと結構奥は深いですが…)

 難解なのは、「主体的に学習に取り組む態度」です。言葉だけ聞けばなんとなく分かる感じですが、実際にはどのような態度なの?とか、評価する場合は子どものどんなところを見るといいの?という話題になります。

スクリーンショット 2021-09-25 173330

 国立教育政策研究所「学習評価の在り方ハンドブック」(2019)より引用

 


 この「主体的に学習に取り組む態度」、国立教育政策研究所「学習評価の在り方ハンドブック」(2019)によると、次のように評価するとされています。


 知識及び技能を獲得したり,思考力,判断力,表現力等を身に付けたりするために,自らの学習状況を把握し,学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら,学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価します。(p.6)

 「主体的に学習に取り組む態度」の評価については、①知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面と、② ①の粘り強い取組を行う中で、自らの学習を調整しようとする側面という二つの側面を評価することが求められる。(p.9)

 

 つまり、課題に取り組む中で、子ども自身が…
・学習状況について、どの程度理解しているか
・学習の進め方について、様々な方法を試しているか
・学習の仕方を、より適切なものにしているか
といったところを見取り、評価するものといえそうです。


 とてもざっくりしたイメージですが、
・「知識・技能」「思考・判断・表現」…子どもが学習内容ついて考え、理解しているか
・「主体的に学習に取り組む態度」…子どもが学習内容を身につける中で、どのように学習しているか
と、自分は捉えています。


 そうすると、子どもが自分の学習を客観的に把握することになるので、いわば「メタ認知」しているかどうかを見ることにもなります。メタ認知は、「主体的に学習に取り組む態度」に含まれるとされているので、「主体的に学習に取り組む態度」を見取ろうとするとき、子どもが自分の学習をメタ認知しているか、として見ると(それが全てではないですが)見取りやすいかもしれません。


2 「主体性」とイコールではないところに注意


 教育現場でよく使われる言葉に「主体性」があります。
 「主体的に学習に取り組む態度」は、学習における「主体性」の表れのごく一部のようなものです。うっかりすると、「主体的に学習に取り組む態度」=「主体性」と捉えてしまいがちなので、注意が必要です。
 

 じゃあ、そもそも主体性って一体何でしょう?
 辞書には「自分の意志・判断によって,自ら責任をもって行動する態度や性質」等と定義されていますが、実際は、様々な意味を含んで使用されている場合が多いように感じます。
 
  
 教育現場でも、使っている人によって幅があるように見受けられます。そのため、「主体性」の定義については、使用頻度に比べて、実は結構あいまいです。たぶん、これといった定義づけをして「主体性」という言葉使っている人は少ないというのが、肌感覚ではあります。

 心理学的に定義された「主体性」には、その中身に「自己表現」「自己決定力」「積極的な行動」「知的好奇心」「方向付け」等が含まれるとした研究もあります…これ以上書こうとすると本筋からずれるので、ここまでにします(笑)


 大事なのは、「主体的に学習に取り組む態度」は、その子の主体性(と見られる資質・能力)のごくごく一部を切り取って見て、評価しているに過ぎない、という意識をもつことだと思います。



3 どうやって見取る?


 では、「主体的に学習に取り組む態度」…具体的には、

①知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面
② ①の粘り強い取組を行う中で、自らの学習を調整しようとする側面

という二つの側面は、どのように見取れば良いのでしょうか。


 
 ごくシンプルに考えれば、単元(学習のまとまり)の中で、子どもが「粘り強い取組を行おうとする」場面や、「自らの学習を調整しようとする」場面を設定し、そこでの表れを見取るのが適切です。

 もう少し具体化すると、例えば、2時間かけて何かを調べる時間を設定したとします。その1時間目が終わりそうな段階で、「今日の自分の学習はどうだったか」「次の時間は、何について、どのように調べたいか」等を、ふり返りで記述する時間を取り、その記述から、どのように自分の学習を捉えているかを読み取ることで、「自らの学習を調整しようとする側面」が見とれるかもしれません。

 その次の時間に、実際にどのように取り組んでいるか…粘り強く調べようとしているか、前時を生かして、調べ方を調整しているか、といった表れを見取ることもできそうです。


 単元の始めに学習計画を立てる授業も一般的になってきましたが、そのような学習計画を見直す時間を設定することも、子どもが「自らの学習を調整しようとする側面」を見取るのに適した場面といえそうです。


 低学年では、やはり取組そのものを見取ることが、発達段階に即しているかと思います。生活科などでイメージしやすいかもしれませんが、大きなテーマに対して、「今日はどんなことをしたいか」といっためあてを個別に立てさせ、それらと照らし合わせて活動を見取ることもアリだと思います。

 これらについては、様々なところで実践や分析がなされていますので、興味関心のある分野…学校関係者であれば、特定の教科や発達段階等にあったものを探されるのが一番かと思います。



4 終わりに


 いかがでしたか?評価にかかわることなので、いい加減なことを書いてはいけないと思いつつ、分かりやすく…述べてきましたが、もし分かりにくかったら、ごめんなさい(笑)

 しかしながら、3つの評価観点では、最も重視されるべきではないかと、個人的には思います。目的を達成するために、粘り強く取り組んだり、方法を調整してみたり…大人でも発揮しなければならない場面は多々あります。
 

 何より、そんな子どもの姿を見ているのが、この仕事をしていて良かったと思える瞬間の1つだったりします^^



 最後までお読みいただきありがとうございました^^

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?