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猿場つかさ
2020年4月18日 23:07
軽やかな電子音を鳴らして、ナナコの住むマンションのエントランスのガラス扉が開く。音が明確な警戒の色彩と形状をしていて、切っ先が侵入者である僕の鼓膜に突き刺さるように思えた。僕は拒絶される時の痛みに近い何かを感じてヌメリとした汗を拭いながらエレベータで上に上がり、目を瞑って力を込めて鍵を回した。音もなくナナコの部屋のドアノブはなめらかに回り、僕を中に招き入れた。ドアを背にホッと一息ついて、鍵屋