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リーダーは動かないでうまくいった成功体験を積み上げる

こんにちは。企業や組織の個性を見つけ潜在力を引き出す、オートパイロット経営コンサルタントで中小企業診断士・司法書士・メンタルトレーナーの小野司です。

リーダーが現場に行かないと作業が滞るのをなくしたい、経営を自働化したいという、若手リーダー、経営者様にそのヒントをお届けしています。

現場の自立・創造を高めるため、私が主に取り組んでいるのがカイゼン活動(小集団活動、グループワークなど)です。

そのカイゼン活動の事例を紹介します。

ワイガヤ(関心事を出し合うグループワーク)を行い、現場の関心事の書き出しをしました。

それを整理し、分析結果を伝えました。
多くの課題が見えてきました。

これを受けて、メンバー全員に感じたことを話ししてもらいました。

最も多かったのが、「どれから取り組めばいいのだろう」という声でした。

最初は、コンサルタント(私)に対して、
「決めてください」
「指導してください」
「お手並み拝見」
などの空気を感じました。

メンバーのココロの中は”依存”が多い状態でした。

これを”自立”に変えていくにはどうしたらいいでしょうか?

簡単です。


「何に取り組めばいいと思いますか」とメンバーに順に聞いていくだけです。

1周目の回答は、
細かいものから大型の設備導入など大がかりなものまでありました。

1周してみんなの考えていることが分かってくると、落としどころいうか、カイゼン活動としての現実的な取り組みをそれぞれが考え始めました。

そして、2周目に入りました。

「今まで他のメンバーのお話を聞いて、
改めて、何に取り組めばいいと思いますか」
と聞いてゆきました。

そうしますと、設備投資はすぐにはできないので、
上司と部下のコミュニケーションのカイゼンに取り組もうというアイディアが多く出されました。

この会社のコミュニケーションの状態は、

・仕事が課長・係長などの役職者に集中し、部下とコミュニケーションする時間を確保できていなかった。
・部下は、作業に手待ちが生じていて、もったいないと感じていた。
・役職者も部下とコミュニケーションできていないことをなんとかしたいと思っていました。

そして、

部下は、役職者に聞きたいことがあっても、忙しそうにしているので、手を止めさせては申し訳ないとのことでした。

役職者の”話しかけないでオーラ”が出ている状態でした。これはよくあります。

あるメンバーから、
「聞きたいことを紙に書きためておいて、時間を作って役職者に一度に聞く」
というアイディアが出されました。

多くの人が共感しているようでした。

もっといい方法はあるかもしれません。

しかし、最初はこれでいいのです。これがいいのです。

現場のメンバーが自分たちで考え、自分たちでアイディアを出す。
それに多くの人が共感している。
その課題にみんなで取り組む。

これがいいのです。

これが、自立的で創造的な組織作りの第一歩なのです。

難しいことは考えなくていいのです。

リーダーが、リーダーシップを発揮しようとがんばるほど、
リーダーは”自立(能動的)”になっていきます。

ある心理学によりますと、

一方(リーダー)が”自立(能動的)”になると
他方(メンバー)は”依存(受動的)”になる

ようです。

もちろん、リーダーからすれば、
・その方法ではうまくいかないよ
・もっといい方法があるよ
と教えたくなる時はあると思います。

しかし、リーダーは、何もしないでじっと待ちます。
ココロの中でエールを送り見守るのです。


ある事例を紹介します。

A社で、課題Xがありました。

それ以前、私は、他社で同じ課題Xに取り組み、うまくいった経験がありました。
業務内容、メンバー構成(男女比、年齢構成、パート比率など)もほぼ同じでした。
同じように取り組めば、うまくいくと思っていました。

一方、A社のカイゼンメンバーからは、別のアイディアが出されました。

私は、他社での成功体験がありましたので、それを強めに紹介しました。
結局、私の案が採用され、取り組んでみました。
しかし、多くのメンバーに違和感が生まれました。うまくゆきませんでした。

次に、A社のメンバーから出されたアイディアに取り組みました。

その結果、スムーズに進み、うまくゆきました。

私は、自分の成功体験にしばられていたと気がつきました。

それ以降は、現場のアイディアを優先してやってもらうことにしました。
それでうまく行かなかった場合に、自分のアイディアを示すことにしました。

現場のアイディアを聞いて苦戦しそうだなと思っても、現場の考えを優先して取り組んでもらっています。

そうしますと、うまくいく事例が増えてきました。
たとえ、初めはうまく行かなくても、次のリカバリーも早いです。

・仮にうまく行かなくても、現場の経験値は上がります。
・なにより、自分たちで考え、自分たちで決めて、自分たちで取り組んだという経験ができます。
・これは、”依存”から脱却になります。”自立”への一歩になります。


この考え方は、リーダー、そして専務や社長にもあてはまります。

リーダーが動くと、メンバーは頼るようになります。
リーダーが動かないと、メンバーは自分で動こうとします。

そして、リーダー自身も、
自分の成功体験にとらわれているかもしれません。

ですから、リーダーは、
動かない(「言わない」も含む)
でうまくいったという成功体験を積んでゆきます。

この話は、まじめにがんばってきた創業社長や
ベテラン作業員には、には伝わりにくい傾向にあります。

何もしない(手を出さないで)で、ココロの中でエールを送ることは、サボっているように感じるそうです。

また、動かないと、自分の存在感がなくなり、さびしく感じるそうです。

外見的に動いていないようでも、ココロの中でエールを送り続けることは、内面的にはかなり動いています。

外見的に動かないで成果を積み上げ、存在感を増しているリーダーはたくさんいます。

みなさまのヒントになりましたら、とてもうれしいです。

拙著『ちっちゃな「不」の解消から始めるカイゼン活動』日刊工業新聞社刊 p168も参考にしていただければうれしいです。

オートパイロット経営(自動操縦経営)は、
①現場の自立性・創造性を高めること
②会社や組織の個性を活かした設計図(事業計画など)を作ること
の2本柱で取り組むことです。

ご興味がございましたら、コメントあるいは「クリエイターへのお問合わせ」などに記載いただければうれしいです。

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