100歳の末期ガン患者を1日延命するために、何円まで払うか

「人命は地球より重い」という言葉があります。真っ向から否定するのは困難ですが、そのまま認めると地球が沈んでしまいます(笑)。冗談はともかくとして、現実を見つめれば、100万円あれば助かる命が失われていく例もあるでしょう。アフリカへ行けば、1万円で助かる命も数多くあるでしょう。そうした中、建前論を忘れて、本音の議論が必要です。

100歳の末期ガン患者を1日延命するために、1億円必要だとします。国(国民健康保険、税金等々一切を含む)が払うべきでしょうか。そのために、あなたも費用の一部を負担する用意がありますか?

日本人は、国の支出は自分と無関係だと考える傾向が強いので、可哀想な人を見ると「国が助けてやれ」と安易に言う人が多いようです。「殿様に年貢を納めた以上、あとは知らない。それとは別に、殿様が困った民を助けるのは当然だ」、といった当事者意識の欠如が原因かも知れません。また一説によれば、所得税の源泉徴収制度の「おかげ」で、痛税感が乏しいため、政府の金の出所が自分である事を忘れている、とも言われています。

地方自治よりも国の財政になると、大勢で負担するため、ますます自分の負担という意識が薄くなるとも言われています。「1億円必要です」と言われても、「1人あたり1円なら、俺も負担するよ」と安易に考えてしまう、というわけです。実際には、何万人の患者を何百日も延命する可能性があるのに。

P.S.

私は「末期ガン患者は見殺しにしろ」などと言っているわけでは決してありません。単に、議論が必要だ、と言っているだけです。そんな事を言ったら、本当の「経済暴論」になってしまいますから(笑)。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO19810300Z00C17A8EA2000/

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