見出し画像

今注目の「非定型業務マネジメント」とは?

上司からの無理難題、他部署からの催促や要求、部下からの悩み相談……すべて集中するのがミドルマネジメント層だ。一方で、今やマネジャー職は、全ての時間をマネジメントのみに費やす人は少なく、組織統括の責任も負いながら、自身のプレイング業務に忙殺されてしまう場合も多いだろう。

ミドルはまさに組織の要であり、次のようなマルチな役割が求められる。

・上司と目標や方針をすりあわせ、上位目標を具体的にメンバーに展開する
・チームの責任者として、組織成果を出すためのマネジメントを実行する
・メンバーの活動を評価すると共に、成果実現の為のアクションを指南する
・メンバーの能力・意欲アップに力を注ぎ、個々の成果実現をサポートする
・関連部署と折衝・調整しながら、チームの組織内役割を完遂させる
・自らの日常業務は問題なく実行し、将来に向けた動きも推進する

抱えきれないくらいの仕事量になるかもしれないが、重要なのはマネジメントとしてなすべき事を整理し、しっかり認識することだ。

本来分離不能だが、便宜上マネジメントを「人」に関するものと「業務」に関するものに分けると分かりやすい。案外この弁別が出来ぬまま、マネジメント側が混乱しているケースも散見される。今回は「業務」に関して、特にその質の追求について取り上げよう。

業務は大きく、定型・定常業務と非定型・非定常業務にわけられる。定型・定常業務は、人によって成果のバラツキが少ない業務のこと。多くの場合はマニュアル等があり、なすべきことがある程度決まっていて、実行することが求められるものだ。たとえばSaasのリード獲得に際する作業は、定型・定常業務の部類に入るが、これはいかに正確かつ効率的に行うことが求められる。再現性を好む人材により成り立つ業務でもある。

一方、非定型・非定常業務は、人によって成果のバラツキが大きい業務を指す。このような業務はプロセスを管理するのが難しく、成果でマネジメントすべきものだ。

提案型で受注獲得をするような営業は、1件ずつ提案の工夫が必要となり、効率化や量産化が難しい。もちろん、1件の工夫に膨大な時間を費やすと、他のビジネスチャンスを逃すことになるので、成果に見合う投資コストになるようマネジメントしていく事が必要になる。

実際の仕事は定型と非定型業務が混ざっていることが多いが、定型業務を担当しているほうが「楽」なことも多い。どの程度時間をかければどの程度の成果があがるか予期しやすいため安心感が持て、かつ動いている感覚も持てるからだ。

そこでマネジャーがやりがちなのは、自分が担当者のときと同じ感覚で作業型の定型業務に時間を費やしてしまうことだが、それでは組織成果を高めるのは難しい。

画像1

組織成長に向けて必要な打ち手は、定型型の延長からはなかなか生まれてこない。非定型業務にはイノベーションや創造的なものが含まれている。自身の定型業務時間を、出来るだけ空けるように業務分担やリソース配分を工夫し、未来に向けた非定型の動きを意図的にとっていくことが必要になってくる。

採用難の時代でもあり、「人が足りない」という悲鳴は各社各部署から聞こえてくる。採用担当者としては、現場から要望を受ける前に経営方針に沿った採用施策に動き、要望に応じた採用活動を迅速にすることが大事である。しかしCHROとしての立場なら、迅速な採用体制を整えると同時に、経営視点で組織内のリソースを考えることが必要になるだろう。  

その時に把握することが望ましいのが、各部署、各現場でのマネジメントの実態だ。現場のマネジメントは、上記に即すると両輪が回っていることだといえる。ひとつは非定型的な業務を定型的な業務へのシフトし、効率・安定的に成果を出せるようにしていくこと。もうひとつは自律的に非定型的な業務が出来る人材を育てていくことである。

さて、これを経営全体で見た際に、はたしてどの部署や業務が効率性を発揮し、どの部署や業務が創造性を発揮していくべきか見えているだろうか。業務とマネジメント者の適正を整理して、CHROが経営戦略を具現化しているひとつの見方といえよう。

CANTERA第6期 申込受付中
CANTERA1on1マネジメント研修 申込受付中

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?