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夏の終わりから秋の夜長にかけて

この季節がやってくると、私の中で無性に聴きたくなる一枚がある。それはジェームス・イハというアメリカのアーティストが2012年に発表した「Look To The Sky」というアルバムだ。

「Summer Days」や「4th Of July」といった題名から夏を感じさせる曲や、星を連想させる「Dark Star」に「Gemini」という曲など、全体を通してアコースティックな楽曲が目白押しである。

何よりも今こうして、秋の到来を告げる涼しい風が吹き込む中を感じながら、ヘッドホンなどを通して聴くに最もふさわしい一枚だと思っている。

リリースされた当時、たまたま父と一緒に「ベストヒットUSA」という音楽番組を視聴していた。その時にリード・タイトルとして収められている「To Who Knows Where」のPVが流れているのを見たことを機に、彼の存在を知るようになった。

元々はスマッシング・パンプキンズというオルタナティブ系ロックバンドのギタリストとして活躍している日系アメリカ人だが、番組内で特に関連した情報はほとんど出ていなかったと思われる。

やがてWikipediaに掲載された記事や、YouTubeで公開されているその楽曲に自ら触れるまでそうとは露知らず、今どき珍しいフォーク系シンガーだと思い込んでいた。

98年ごろにリリースされたデビューアルバムも含め、バンドとソロの曲を比べてあまりにも世界観サウンドが異なっており、素直に同一人物であることに対してなかなか受け入れられなかったからだ。

それはまるで河村隆一をきっかけに、後からLUNA SEAを知った感覚とどこか似た気がしている。

そして視聴した数日後には、地元のCDショップに出向いてそのアルバムを購入したのである。それまで私は、スガシカオやGRAPEVINEにBUMP OF CHICKENなどの邦楽しか、CDを購入もしくはレンタルしていなかった。

大の洋楽好きである父や母が持っていた、U2やレニー・クラヴィッツ、バックストリート・ボーイズなど、数多くあるCDのうち何枚かを借りては聴いて過ごしていたため、自らお店でそれらに触れることはあまりなかったのである。

だがそんな両親よりも先に、なおかつ自分自身洋楽アーティストのCDを衝動的に手に取ったのは、いずれもはじめてのことだった。

「Look To The Sky」は、洋楽慣れしていない方でも聴きやすいアルバムだと個人的に思っている。そして夏の終わり頃から秋の夜長にかけて聴くのに丁度いいと、一先ずおすすめしておきたい一枚である。

ちなみに「To Who Knows Where」のPVは、デヴィッド・ボウイが1976年頃に主演を務めた映画『地球に落ちてきた男』へのオマージュが込められている。

私もそうであったが、初見ではこれがどういう世界観を描いているかを理解するのは難しいと思う。ただ一度目にするだけでも、もしかしたらその解釈はだんだん変わってくるかもしれない。


最後までお読みいただきありがとうございました。 またお会いできる日を楽しみにしています!