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「どうぶつの森」を愛する母に
私の母は「どうぶつの森」をかれこれ15年以上プレイしている。
始めたきっかけは、弟が小学生の頃に誕生日プレゼントで買ってあげたDS版「おいでよ どうぶつの森(以下略:おいでよ〜)」だった。
それをプレイしている弟の姿を見て、じきに母も興味津々になっては自分もやりたいと思うようになったのである。
以降はほぼ毎日、それも一日の家事を済ませた後から寝る前までに、必ずやるという習慣がついている。
だが「どうぶつの森」に触れるまでの間、母にはゲームをする習慣がなかった。
私と弟が一日にできるゲームの時間を一時間とするだけでなく、お互いがダブらないよう一週間にゲームができる日数を設けたりと、厳しいルールを課していたのだった。
元々母は「ゲームばっかりやっていると頭が悪くなるわよ」と私たちに何度も指摘するほどに、テレビゲームそのものに対して快く思っていなかったのである。
それがどうしたものか。魚や虫を集めたり家具を飾ったりと、何気ない日常に似て非なる日常が二画面に広がっている光景に魅せらせて以来、長きにわたってプレイし続けている。
ちなみに、母が初めてゲームに触れた「おいでよ〜」が発売されてからほんの数ヶ月経ったその当時は、どこのお店に行ってもソフトどころかDS本体ですら品切れの状態が続いていた。
地元の市内にある家電量販店やデパートなどをハシゴしても、なかなかすぐには手にすることが難しい状態であった。
その一方で、私がたまたま家の近所にあったファミコンショップに行く用事があったため立ち寄ったところに、それらの新品が偶然にも置かれてあったのである。
たぶんこの機会を逃したら、しばらくはお目にかかれないかもしれない。
そう思った私は、自分の用事をそっちのけにしてすぐさま家に戻り、母に教えてあげた。やがて念願だった本体と「おいでよ〜」を手にすることができたのである。
そして先月、母の誕生日があった。
私は前々から、switch版の「あつまれ どうぶつの森」をプレゼントしてあげたいと思っていた。
だが母自身は長年プレイしている3DS版で十分などと、頑なに拒んでいたこともあったりして平行線をたどっていたのである。
あの様子じゃ今年も見送りかなとぼんやり思っていたところ、数ヶ月前にたまたまYouTube上で実況動画なるものを観ていた母が、急にやりたくなってきた様子を見せていた。
今までやってきた中で見たこともない光景に相当圧倒されたのだろう。
それまでの携帯機では相見えることのなかった他人の世界…もとい島を見続け、たまたま居合わせていた私に「あれ何?」「これ何?」といくつもの質問を投げていた。
ともあれ、紆余曲折があって時間はかかってしまったものの、ようやく本腰を入れて準備に取り掛かることができる。
プレゼントするのであれば、せっかくなら「どうぶつの森」を愛する母に特別なものを渡してやりたいと思い、オリジナルデザインが施されたswitch liteを用意した。
「やりたい」や「手に入れたい」などのきっかけはいくらでもある。けれど自分の一方的な願望で相手を押し付けるのは、いろいろと困らせてしまったりと根本的に良くない事態を生んでしまう。
「善は急げ」と心掛けるのも大事であるが、時に「急がば回れ」も気に留めておかなければならないと、母に誕生日プレゼントを渡した後で改めて思うのであった。
最後までお読みいただきありがとうございました。 またお会いできる日を楽しみにしています!