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イマジナルセルと心模様

蛹(さなぎ)は蝶などが成虫になるために大きく変容を遂げるための重要な期間である。

この現象を説明するには、昆虫における

「イマジナルセル(imaginal cell)」という細胞の存在に注目すると分かりやすいのかもしれない。

イマジナルセル(imaginal cell)とは、その名の通り、

(imaginalには「(昆虫における)成虫」の意味がある)成虫細胞のことである。

アゲハ蝶を例にとると、幼虫である芋虫が成虫へと成長する過程において、イマジナルセル(アゲハ蝶になるための細胞)が芋虫の体内で生まれていく。

最初は生まれては(芋虫細胞に)殺されることを繰り返すが、徐々にイマジナルセルは数を増やしていき、ある一定の数を越えると、芋虫細胞は芋虫細胞自身を駆逐し始める。

これまでイマジナルセルを殺していた芋虫細胞が、イマジナルセルが勢力を増してきたことによって、生き残りをかけ「寝返る」のだ。

これにより、芋虫の体内ではイマジナルセルが芋虫の体内に一気に増殖し、芋虫の体型を維持できなくなる。

その大きな変容を遂げるのが「蛹」という期間であり、中に閉じこもり、細胞分裂を繰り返し、芋虫からアゲハ蝶へと大変身を遂げ、その後美しい姿で宙を舞うことになる。

「蛹」という期間は、宇宙のドラマとも言えるとても神秘的な出来事なのだけれど、この蛹という期間は、人間の心の葛藤とも言えるのかも知れないと。

イマジナル(imaginal)にはもう一つの意味があり、それは「想像上の、思い描いた」のような意味である。

人間は社会生活を送る上で、

「こんなことやりたくないよな、こうありたいな」という自分自身における魂の声みたいなものが沸々と出てくる。

最初のうちは、

「魂の声に従って生きるのなんて無理だ…」

と自身の心の奥底に抑え込んでいくが、徐々にその想いが抑えられなくなってくる。

こうなってくると、次の選択を迫られる。

・心のままに生きたいという想いを抑え込んで、努力に逃げる。(イマジナルセルを駆逐し続け、芋虫として一生を終える)

・心のままに生きるんだという勇気を持って動き出す。(蝶として生きる道を選ぶ)

ただ、蝶として生きるためには、体内で起こる変化を許容し、蛹の時期を乗り越えなければならない。

(その過程において、外敵に食べられたり、命を落とすこともある。)

なので、芋虫として一生を終えることも生存戦略として重要であるとも思っていて、本人がどちらで生きたいのか、ということだけなのかなぁと思ったりもする。

私、絶賛「蛹」中(笑)

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