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ハイクラス人材のキャリア支援で、SaaS専門VCの僕が大切にしていること #SaaSキャリア

SaaSベンチャーに特化して投資する「ALL STAR SAAS FUND」が、2019年9月に設立してから、早1年。今年10月にはSaaS業界でCxO、VPを目指す人材のためのコミュニティ「SAAS TALENT NETWROK」をリニューアルしました。

おかげさまで、多くの方から「SaaS系企業で働きたい」とキャリア相談のご連絡を頂戴しています。実際に、投資先の責任者としてアサインすることで、キャリア支援の実績がたくさん出てきました。

それらの機会において、ハイクラス人材の転職でも、成否が分かれるポイントが見えてきたように感じています。

そこで、ALL STAR SAAS FUNDで投資先企業の人材紹介、SaaSキャリアイベント運営、採用広報支援などを担当している僕が、ハイクラス人材のキャリア支援で大切にしていることをお伝えできればと思い、まとめてみました。

読んでみて、何か共感してくれる部分があったり、まわりでSaaS業界でCxOたやVPを目指す仲間がいたりすれば、シェアしてくれると嬉しいです。

責任者クラス人材のキャリア形成2タイプ

僕のキャリア支援は、ALL STAR SAAS FUNDのパートナーになった以前から始まっています。前職は大手の人材紹介エージェントで働いていました。IPO前のスタートアップを専門にサポートするチームで、責任者クラスの方々の転職を支援しておりました。

エージェントとしての僕は、求職者と企業側の両方を担当する、いわゆる「両面型」と呼ばれるモデル。おそらく、スタートアップで挑戦したい2,000人以上の責任者クラスの方々と、キャリアについて話したと思います。

多くの方の相談に触れて感じたのは、責任者クラス人材のキャリア形成は、「目標逆算型」「積み上げ型」の2タイプに大きく分けられるということ。

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「目標逆算型」は、将来のキャリアビジョンが明確で、実現から逆算してキャリアを形成してきたタイプ。日々、目標予算などから逆算して、具体的なアクションを起こす習慣が根付いています。キャリアについても、同様に考える習慣が出来ている人が多いのではと感じます。セールス系の責任者に多いタイプです。

「積み上げ型」タイプは、自分の大切な価値観やこだわりが明確で、期待された仕事を積み上げてきた結果、現在のポジションに行きついた方です。任される仕事にこだわりがなく、合理的に会社の成長を第一に考え、部署を横断してさまざまな業務を推進しています。

信頼を積み重ね、経営者の信頼を勝ち取るので、結果的にCOOに就かれていることもあります。コンサル業界の出身者にも多く見られます。傾向として、「積み上げ型」タイプは、女性に多い印象です。まだ前例は少ないですが、我々の投資先にも女性COOが数名いらっしゃいます。

さて、「目標逆算型」と「積み上げ型」では、キャリアの意思決定では重要なポイントが違うため、キャリアアドバイザーとしても提供するものが大きく異なります。

前者の場合は、今回の転職が目標にどう近づくのか。つまり、ポジションへの可能性や目標につながる、具体的に鍛えられるスキルを知らせるのがを必要となります。

後者の場合は、会社としていま課題になっている本質的な問題は何なのか。そして、組織の体制として、どこまで柔軟に裁量をもって推進できるのかが大切になります。

注意点として、この2タイプは完全に分けられず、「いずれかの傾向が強い」ということがポイントです。傾向によって提供する情報、伝え方を工夫するのがキャリアアドバイザーの役割だと、僕は考えております。

ただ、どちらのタイプでも、必要不可欠なことがあります。
キャリアの成功確度をあげるためには、成功確度の高いスタートアップを選択すること。言い換えると、自身が挑戦するスタートアップが、常に成長し続けていることが大切です。

成長するスタートアップに欠かせない「人的ネットワーク」

それから、スタートアップを選ぶ際に、もう一つ重要なことがあると僕は考えています。

そのスタートアップが、どういったネットワークを持っているかです。

優秀な起業家で、素晴らしいプロダクトや構想があっても、必ず何らかの壁にぶつかります。その時に、相談できる優れた相手がいるのか。これが、とても重要に感じています。

例えば、評価制度などをゼロから構築できる人事責任者が欲しいというニーズは、初期フェーズでよく相談をいただきます。ただ、そのフェーズのスタートアップで挑戦したいマインド、スキルともに兼ね備えた人材は、そもそも非常に少ないのが現状です。

そして、採用競合も非常に多いため、採用にいたるまで半年もしくは1年以上かかってしまう。結果、評価制度の遅れが原因となって不満が募り、離職者が続いてしまうケースを多く見てきました。

一方で、上記のような人事責任者を採用できずとも、上手く状況を乗り越えるスタートアップもあります。経営者や社内の人的ネットワークから、外部アドバイザーを招いているケースです。対応できる人材にアドバイザーとして伴走してもらいながら、評価制度を構築するのです。

ある企業では、理想の人事責任者は採用できていないものの、半年後にはある程度の制度が構築され、離職者を減らせていました。この事例は、採用に限ったことではなく、人材の教育体制や事業部の立ち上げなども同様に起こりえます。

ここで伝えたいのは、社内の既存メンバーが持つ経験だけでは解決に時間がかかる問題が発生した際に、それを補完できるネットワークを持っていると、起こりうる課題を未然に防ぐ確率を上げられるということです。

今後、スタートアップに責任者の立ち位置で事業を推進される候補者の方が、同様の問題に直面したときも、大変心強いパートナーになるはずと感じました。

ALL STAR SAAS FUNDが目指す支援体制

ネットワークの重要性を考えていた時、出会ったのがALL STAR SAAS FUNDのマネージングパートナーである、前田ヒロです。ヒロは、僕がいま所属しているSaaS特化型のVC、ALL STAR SAAS FUNDを立ち上げるタイミングでした。

ヒロは、SaaSスタートアップが陥る課題に応じて、勉強会やトレーニングを提供できる総合的な支援体制を構築しようと考えていました。年間に600社以上問い合わせをいただく投資の相談から、約0.5%にまで絞りこんで投資を実行する。そして、投資先にはイネーブルメント、人事制度構築、コーチングなど各領域の専門家をメンターとして連携し、課題に合わせてハンズオンでサポートする。

この話を聞いた時に、SaaSに関わるスペシャリストとのネットワークをALL STAR SAAS FUNDが構築し、起業家のニーズに対応できる総合的な支援体制を構築できれば、投資先企業の成功確度を上げられる。結果、自分が支援してきたハイクラス人材のキャリアの成功確度も上げられると感じました。

僕がALL STAR SAAS FUNDにジョインした大きなきっかけの一つであり、SaaSに特化したキャリアを支援している理由です。

SaaS企業の求職者へのキャリア支援で大切にしていること

起業家、一緒に働く外部パートナー、そして求職者。ALL STAR SAAS FUNDは、関わる「人」を大切にしています。

僕が求職者の方々のキャリアに関わらせてもらう中で、大切にしている点を改めて言語化してみました。特に、以下の3つです。

1、最新のSaaSを追い、一緒にキャリアをデザインすること
今では、当たり前に募集されている職種の「カスタマーサクセス」。SaaS企業では必要不可欠ですが、数年前まではどんな職種で、どんな適性が求められるのか、転職市場で知らない方も多かったです。最近だと、CROやPMM、PdMなどの職種がそれにあたるでしょう。

だからこそ、SaaS業界で今後求められる職種やスキルを、支援先のスタートアップ支援を通して追い続け、適性能力や経験の整理を進めることは常に心がけています。相談に来てくれた方には最新の情報を提供し、今後のキャリア構築にあたって鍛えるべきスキルや、方向性について一緒に考えたいと思っています。

2、中立であること
求職者のモチベーションやパフォーマンスを最大化させるには、起業家との相性、キャリアから考えた優先順位、直感とタイミングといった要素が、ご自身と最もフィットした投資先へ入社することに尽きます。

そこで僕は、投資先企業の課題、キャリア面談に来てくれる求職者の方のキャリアの方向性、双方を踏まえて、あくまでも中立的な立ち位置でサポートしています。中立性の徹底が、結果的に投資先企業の成功確度、そしてキャリアの成功確度を上げると思いますし、個々に寄り添った意思決定につながると考えています。

3、書類では把握しづらい情報を見落とさないこと
面談時間は限られていますが、求職者の方が潜在的に持つ魅力、SaaSスタートアップから重宝されるスキルやマインドを見つけ出すことには、全力を尽くしています。特にスキルは、これまでのキャリアでは加点とならずに見落とされがちなものもあります。

例えば、初期フェーズのスタートアップで、人員が少ないなか事業横断的に推進してきた人材は、同じフェーズのスタートアップから重宝されます。ただ、職務経歴書上ではコアスキルがわかりづらく、形式的な書類選考ではなかなか書類が通過しません。

過去の事例では、エージェント経由では書類が通過しにくかった上記のような人材が、相談に来てくれたことがあります。これまでの経験をあらためてヒアリングし、支援先の役員に直接提案させていただいたところ、社長室責任者候補というかたちで2週間ほどで入社先が決定しました。

採用に限らず、総合的にスタートアップを支援しているからこそ感じる、課題やニーズに合わせて決まり切ったポジションに囚われず、ハイレイヤー人材を投資先企業に提案していくことを僕たちは重要視しております。

重要な出会いとタイミング

最後に伝えたいのは、出会いとタイミングのお話です。

「いまの会社に、あのタイミングで出会えたことは、本当に良かった」

これまで、スタートアップに支援したハイクラス人材から、そんな言葉を何度も聞いてきました。

あるメガベンチャーで事業責任者を務めていた方は、「自身の市場価値について理解を深めたい」と3年前に面談に来てくれました。そこから転職活動をしてみた結果、当時20名前後のスタートアップに入社。いまでは100名を超える組織になり、直近では役員としてご活躍され、IPOも間近に控えられています。

他にも、5年前に情報交換でお会いした中堅のIT企業でセールス責任者をしていた方は、1社だけとても惹かれた求人があり応募。セールス責任者としてご入社され、今年にIPOを実現されました。

どちらの方も、きっかけはキャリアの棚卸しや情報交換です。でも、出会いとタイミングが重なり、スタートアップの第一線でご活躍されています。

もしかしたら、僕たちALL STAR SAAS FUNDとの繋がりが、魅力的なSaaSスタートアップとの出会いやタイミングのきっかけになるかもしれません。

僕たちは、SaaSに特化しスタートアップの成長を支援しており常に幹部人材になりうる方を探し続けています。ぜひSaaSスタートアップで、CxOやVPとして挑戦したい人材はお気軽にこちらからご連絡いただけると嬉しいです!


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