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#052 若い時の苦労は買ってでもする?

前回で、中学受験の話は終わりです。
今日は、子どもが味わうべき「経験」についての話です。

私は子どもの頃に、経験しておくべきことは2つだと考えています。
①世界は広くて、複雑である、②頑張ってもうまく行かないことはある。

一つ目のテーマについて。子どもに色々と経験させたい、と親が口にするこの言葉は、たいてい、このことを指しているのではないでしょうか。なぜ、色々な経験をさせたいのですか?と周りの親をやっている大人に話を聞きますが、あまり明確な回答は返ってきません。よく聞く答えとしては、選択肢が広がる、自分の世界が広がる、といった何となくわかるような、、、だから、何なの?というぼんやりとした答えをよく聞きます。
ちょっと脱線しますけど、多くの親がよくいう、選択肢が広がる、って本当ですか?偏差値の高い中学校に入ったり、英語が喋れるようになったりするだけで、本当に選択肢って広がるのですかね?それって、広がってなくて、多くの選択肢が思いつく、くらいのことではないですかね。それについては別の機会に触れます。
さて、色々な経験は、何のためか、というと、私は違いを知るため、だと思っています。人は何かを理解し、判断し、行動するための出発点は、「違い」を知ることです。あなたと私は何が違うのか、今と昔では何が違うのか、違いを知るから、同じが分かる。そもそも、分かるは分ける、ってことだし、色々な経験することで、色々なコトやモノの違いを知ることができます。そして、思いのほか、世界は広く、世界は複雑であることを知ることで、ものの考え方に幅が出てくるのだと考えています。

2つ目のテーマについて。頑張ってもうまく行かないことがあることを、多くの大人は知っています。知っている大人の中でも、それを踏まえた考え方や行動には大きな違いが見られます。
例えば、不条理なことがあります。流行りの「親ガチャ」なんて、不条理なことのトップ3に入ります。すべての子どもは生まれてくる家・親を選ぶことができません。これは現実。しっかりと受け止めましょう。ちなみに残る2つは、必ず死ぬこと、いつ死ぬか分からないこと、です。
例えば、不条理とは違う自分の力ではどうしようもないことがあります。あの子は俺のことが好きではない、俺はこんなに好きなのに。。。頑張れば、なんとかなると言って、毎晩、彼女のおうちの前で待っていてはいけません。現実を受け止めましょう。つらく悲しいことですが、あきらめるか、自らをアップデートして捲土重来を期しましょう。
例えば、大事な試験の前にコロナに罹ってしまいました。あれだけ注意や対策をしていたのに、悔やみきれません。でも、人生、うまく行かないこともあるよ、とこの現実を受け止めましょう。
そうです、私たちは現実をよくみてみると、うまく行かないことのほうが多いのです、たぶん。サンデル教授も「実力も運のうち」みたいな本を出していましたが、運が悪かったね、で片付けられるようなコトは人生にはゴロゴロと落ちているし、人生ではこの運の悪さという石につまずきまくるのです、何度も何度も。
だから、お父さんとしては、『努力は必ず報わるわけではなく、報われることもあるし、報われないこともある。でも失敗したことで、もっとも大きな成功のチャンスをつかむことができるかもしれないよ』という話をするようにしています。
結果は分からないが、多くの機会を掴むことを心がけようと。

今回は具体的な経験というよりは、どういうことを念頭において、子どもの日常の経験を拾っていくかをお話ししました。結局のところ、お金を費やして、経験を買う必要もなければ、何よりも勝る経験もないのです。起こった出来事をどう受け止め、処理するか、それが経験の本質である、と私は思います。

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