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政治講座ⅴ532「露軍と鳥軍戦における認知戦(含む核の恫喝)」

 事実の証拠があるのにも拘らず、ロシアが否定する姿を見ているとロシアの言うことがすべて信じられなくなる。この時点で「認知戦」で負けているのである。ウクライナにロシアが侵攻する情報が米国から世界に知らされていたが侵攻しないといっていたのを翻して2月24日に侵攻開始した。この時点で世界中でロシアは「嘘つき」ということが「認知」(刷り込み)された。ロシアからのプロパガンダは世界中から相手にされなくなったのである。
戦う前から負けているのである。「訓練」という名目で兵を集めて即戦地に送られたというロシアの捕虜もいた。戦意の無い兵士であり、占領地は奪還されている。情報戦で負け、実戦で敗退し、今頃、停戦を模索しているようであるが、無理のようである。核兵器を使っても勝てない。核兵器を使うとNATO軍の出番となる。もう、ロシアの敗戦は濃厚である。

       皇紀2682年11月1日
       さいたま市桜区
       政治研究者 田村 司


プーチンの戦争を斬る プーチン氏〝ストーカー的妄想〟が最大の失敗 3日でキーウ占領の前提が戦争計画を不十分に ロシア兵を苦しめる貧弱な兵站計画

2022/10/31 06:30

ロシアによるウクライナ侵攻を、「認知戦」の観点で議論する人が増えている。認知戦とは、情報戦の一分野で、人間の脳などの認知機能に働きかけて、その人の考え方、行動、意思決定を自分たちに都合の良い方向に誘導する戦いだ。手段としては、偽情報、ナラティブ(=物語、お話)、脅し(=核による脅しなど)を使用する。

私は、ウクライナ侵攻は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「ゆがんだ歴史認識」と「過剰防衛意識」が、彼の認知機能に作用して開始されたものだと思っている。

プーチン氏は、ロシアとウクライナの歴史的一体性を強調して、「ロシアとウクライナは本来、歴史を共有してきた不可分の存在である。しかし、現在のウクライナが西側の手先になっている。ウクライナはロシアとのパートナーシップを通じて真の主権を取り戻すべきである」と主張している。これが、まさしくプーチン氏のナラティブ、物語である。

ウクライナ人にとっては、「ウクライナとロシアは不可分な存在ではないし、ロシアと一緒にならなくても主権はウクライナにある」と主張するだろう。つまり、プーチン氏の物語は、ストーカー的妄想なのだ。

プーチン氏は「ウクライナの首都キーウを3日間で占領し、ウォロディミル・ゼレンスキー政権を打倒して傀儡(かいらい)政権を樹立し、ウクライナをロシアの支配下に置く」と妄想していたようだ。

この妄想が、ウクライナ侵攻におけるプーチン氏の最大の失敗原因だ。短期間でウクライナを占領できると思うから、戦争計画のすべてが不十分になったのだ。19万人という過小な戦力投入では、ウクライナ全域は占領できない。3日間程度の貧弱な兵站(へいたん)計画がロシア兵を苦しめている

プーチン氏は9月30日、ウクライナ東南部4州をロシアに併合すると宣言した。彼の演説は、ウクライナの戦場で敗北を続けているという現実を無視し、「西側諸国が、ロシアを破壊しようとたくらんでいる」という陰謀論に基づくナラティブを展開している。

例えば、「西側諸国はロシアを攻撃し、ロシアを弱体化させ、破壊するための方法を探している。西側の覇権は打ち砕かれるだろう」「米国などの西側諸国がロシア恐怖症に駆られて、ロシアを植民地にし、ロシア人を『声なき奴隷』にしようと決意している」米国が世界経済を崩壊させる計画である」などと妄想ともいえる物語を展開した。

プーチン氏のナラティブは「旧ソ連型のパラノイア」と「反西欧の憎悪」に満ちている。

防衛省・自衛隊は、認知戦を重要視し、認知領域を陸・海・空・宇宙・サイバー・電磁波の領域に次ぐ、7番目の領域に位置づけようとしている。だが、偽情報、ナラティブ、脅しを使用する認知戦が、自衛隊に適するとは私は思わない。 =おわり

■渡部悦和(わたなべ・よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元富士通システム統合研究所安全保障研究所長、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書・共著に『日本はすでに戦時下にある』(ワニブックス)、『ロシア・ウクライナ戦争と日本の防衛』(同)など多数。

SNS時代の戦争は制脳権をめぐる「認知領域」の戦いに深化

渡部 悦和2022.6.17コロナ中国ロシア
ロシアによるウクライナ侵攻で本当の戦争を意識した日本人は多いでしょう。現代戦争は目に見える部分だけで戦争をしているのではないといいます。SNS時代の戦争に何が起きているのでしょうか。元・陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏が著書『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)で解説します。

現代戦争は「全領域戦」という意味とは

■領域(ドメイン)と全領域戦

領域は、「自然に存在する領域(実体領域)」と「人工的な領域」に区分することができる。例えば、陸・海・空・宇宙領域は「自然に存在する目にみえる領域」であり、電磁波領域は「自然にも存在するが人工的で目にはみえない領域」である。

そして、「人工的な領域」として、サイバー・情報・認知(cognition)・技術・政治・外交・経済・文化・宗教・メディア・歴史などがある。とくに認知領域はヒューマン領域とも呼ばれ、最近非常に注目されているが、認知領域における戦い(認知戦)は中国の数千年の戦争史を通じて一貫して存在しており、古代の中国では「攻心術」や「心戦」と称されていた。

例えば原始社会においては、太鼓の音や足踏みのリズムなどをもちいて味方の士気を高めるとともに、敵を精神的に威圧する認知戦がおこなわれた。認知領域は、実体領域における破壊と支配だけでは対処できないイデオロギーや宗教・信仰、民族アイデンティティといった新たな問題に対処する必要性から重要な領域として認識されはじめた。

各々の領域を舞台とする戦い(warfare)があり、陸戦、海戦、空戦、宇宙戦、サイバー戦、電磁波戦などと記述する。また、情報領域での戦いは「情報戦(Information Warfare)」だが、そのなかには政治戦(統一戦線工作を含む)、影響工作(Infl uence Operation)、心理戦などがある。認知領域での戦いは(認知において人間の脳をコントロールする意味で)「制脳戦」や「認知戦(Cognitive Warfare)」と呼ぶ。さらに、AI同士の戦いを「アルゴリズム戦」と呼ぶ。

そのほかにも金融戦、貿易戦、外交戦、文化戦、宗教戦、メディア戦、歴史戦、技術戦、デジタル戦など多数考えられる。なお、各領域での戦いはそれぞれが独立して存在するものではなく、相互に重複する部分がある複雑な様相を呈している点が重要である。例えば、中国やロシアが多用する情報戦、影響工作、認知戦、心理戦は密接不可分な関係がある(図1-1参照)。

渡部悦和著『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)より。

現代戦は、戦いの目的に応じて、各種領域における戦いを融合した形式でおこなう。以上のような考察をすると、中国の『超限戦』は全領域戦であるといえる。それをまとめると図1-2になる。つまり、目標を達成するためにあらゆる軍事的手段や非軍事的手段、目にみえる手段と目にみえない手段を組み合わせて戦うということだ。

中国が一番重視しているのが情報戦(とくに影響工作)だ。通常の民主主義国家の情報戦は、主として軍事作戦に必要な情報活動を意味する。しかし、中国は情報戦を広い概念でとらえていて、解放軍の軍事作戦に寄与する情報活動のみならず、2016年の米国大統領選挙以来有名になった政治戦、影響工作、心理戦、謀略戦、大外宣戦(大対外宣プロパガンダ伝戦)などをすべて含むものだと理解すべきであろう。

解放軍にとっては情報戦が現代戦のもっとも基本となる戦いになる。情報戦を基本として、宇宙戦、サイバー戦、電磁波戦などがある。中国ではこれらすべての戦いを担当する非常に重要な戦略支援部隊(SSF:Strategic Support Force)が存在することは全領域戦の観点で特筆すべきことであり、のちほど紹介する。
渡部悦和著『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)より。


中国解放軍が作戦計画で重視する「三戦」

■認知領域における戦い=認知戦

認知とは、理解・判断・論理などの知的機能を指し、精神医学的には知能に近い。心理学的には判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解などを包括したものが認知である。

認知領域は、欧米、中国、台湾において注目されているのみならず、防衛省においても重視すべきであるという議論がなされているので、本稿において紹介する。なお、紹介にあたっては、防衛研究所の飯田将史氏の認知領域の戦いに関する論考を参考にしながら説明する。

■認知領域の重要性

情報戦、サイバー戦、政治戦、経済戦、金融戦、外交戦、目に見えない戦いが進行している。

中国では、作戦領域は物理領域、情報領域と認知領域に分けられる。

物理領域とは「伝統的な作戦領域であり、武器・装備、作戦プラットフォーム、軍事施設、地形などで、戦争に物質的な基盤を提供する領域」である。

また、情報領域とは「情報化戦争の出現にともなって、独立した領域へと発展した。情報が生成、処理、伝達、発信されるバーチャルな空間」だという。

中国の専門家は、戦争の形態が「機械化戦争」から「情報化戦争」へ、「情報化戦争」から「智能化戦争」へ変化してきたと考えている。「智能化戦争」においては、 AIを導入した賢い自律型の無人機が多用され、やはりAI、そして量子コンピューティング技術などの進展による優れた情報処理能力を獲得した機械が人間の指揮官の決定を補助する「人機共同決定」が主流となるという。

かつて「機械化戦争」から「情報化戦争」への変化にともなって、戦争での勝利を決定づける作戦領域は物理領域から情報領域へと移ったが、「智能化戦争」においては認知領域での行動を通じて決定的な勝利を得ることができるという。

海軍工程大学の李大鵬は認知領域を「最重要な作戦領域であり、感知、理解、信念、価値観といった意識が構成するバーチャルな空間」と定義し、「多くの作戦領域のなかで、認知領域はもっとも重要な作戦領域である。 戦争は認知領域から始まり、認知領域で終わる。認知領域は、戦争の目標領域であるだけでなく、戦争の最終領域でもある。智能戦争では、認知領域の役割と地位が前例のないほど高まった」と指摘している。

■三戦と認知戦

解放軍では、「輿論戦」「法律戦」「心理戦」からなる、いわゆる「三戦」が作戦計画において重視されているといわれているが、このうち「輿論戦」と「心理戦」はとくに認知戦と重なり合う部分がある。

解放軍では、「智能化戦争」に関する議論が活発化する以前から、認知領域に関わる重要な作戦の一部として「輿論戦」や「心理戦」が研究され、また実践されてきた。

輿論戦は、敵対する双方が輿論を武器とし、様々な伝播手段と情報資源を利用することによって、戦争の重大な問題に関する世論を誘導する戦いである。

法律戦は、法律を武器として法律上の優勢を奪取し、政治的な主導権と軍事的な勝利を勝ち取るための戦いである。   

心理戦は、特定の情報とメディアを運用し、理性的な宣伝や抑制と抑止、感情の誘導を通じて、相手の心理と行動に影響を与える戦いである。

三戦は、非武装力をもちいた政治作戦の範疇に入り、非暴力的な「ソフト殺傷」であり、「人間の認知領域に作用するもの」である。

「戦わずして人の兵を屈することができる」

■「智能化戦争」における認知戦

近年の「智能化戦争」をめぐる議論において、改めて認知領域における戦いに焦点があてられている背景には、AIや脳科学といった新たな科学技術分野における研究と技術開発が進展することによって、従来想定されてきた認知領域における作戦の内容や効果を飛躍的に拡大・向上させることが可能になったことがある。

認知領域における戦いで敵を圧倒すれば、物理領域や情報領域における戦いを回避するか局限しつつ、戦争に勝利することができると考えられている。

解放軍元副総参謀長の戚建国は、「相手の認知領域をコントロールしたものは、戦わずして人の兵を屈することができる」と指摘している。「智能化戦争」においては、認知領域における戦いを制することによって、最小のコストで最大の成果をあげる理想的な勝利に近づくことができると論じられているのである。

過去の認知領域における攻防は、主に敵の感知を抑制することであった。しかし、認知科学の発展にともなって、「智能化戦争」における認知領域での作戦の内容は「認知抑制」だけでなく「認知形成」と「認知コントロール」の 三つのカテゴリーに拡大した。

「認知抑制」とは、自らの行動を隠蔽することによって、敵の感知能力を弱体化させたり無力化させたりすることである。現在では情報空間や電磁空間における偵察をめぐる攻防なども「認知抑制」作戦として実行されており、その内容は敵の感知能力の抑制から決定能力の抑制へと拡大している。

認知形成」とは、敵の思考・習慣や能力、目標、精神状況などを把握することを前提に、偽の状況情報を敵にインプットすることによって、自軍の思い通りに敵に行動・決定させることである。輿論戦、法律戦、心理戦によって敵の決断と意思を動揺させたり破壊したりすることもその一環である。

「認知コントロール」とは、敵の決定メカニズムを改変したり、決定の内容を改竄したりする認知作戦である。 敵の思考や決定・指揮メカニズムを直接コントロールすることを通じて、敵を投降させたり同士討ちさせたりすることで最小のコストで勝利を達成し、敵の決断に影響を与えることで戦わずして勝利することを目指すものだ。

敵の認知をコントロールすることを目指すのは、認知領域での戦いにおいては、認知の究極的な主体である人間の脳を直接コントロールすることができれば、圧倒的な優位に立てるからである。そのため、敵人の脳を支配する「制脳権」の奪取を目的とした「制脳戦」が将来の戦争における新たな姿として想定されるのである。

以上のような中国での認知領域に関する認識は注目すべきだし、認知領域が重要であることに異存はない。しかし、中国の専門家は認知領域を重視しすぎる傾向がある。少なくとも海軍工程大学・李大鵬の「多くの作戦領域のなかで、認知領域はもっとも重要な作戦領域である。戦争は認知領域から始まり、認知領域で終わる」という主張は言いすぎだと思う。

従来からの陸・海・空・宇宙・サイバー・電磁波などの領域も重要であり、情報も重要だ。認知領域も含めて全領域での戦い(全領域戦)を考えるべきだと私は思う。

渡部 悦和  前・富士通システム統合研究所安全保障研究所長
元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー 元陸上自衛隊東部方面総監

参考文献・参考資料

プーチンの戦争を斬る プーチン氏〝ストーカー的妄想〟が最大の失敗 3日でキーウ占領の前提が戦争計画を不十分に ロシア兵を苦しめる貧弱な兵站計画 (msn.com)

SNS時代の戦争は制脳権をめぐる「認知領域」の戦いに深化 | 幻冬舎ゴールドオンライン (gentosha-go.com)

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