見出し画像

政治講座ⅴ1208「中国のロシア植民地政策、呉越同舟は続かない」

 ロシアと中国は、仲良しなのか?  
 旧ソ連と毛沢東時代から犬猿の仲であった。
 その不仲に割いるように、米国のキッシンジャー元国務長官は中国を仲間に引き入れて、旧ソ連に対抗する戦略をとったのである。
 そして、旧ソ連は崩壊したが、それによって米国はあらたな覇権国家の中国という怪物を育ててしまった。
 今や世界の秩序を乱す怪物を制御するのに日米欧は苦心しているのである。
 米中の険悪な外交関係を修復するために米国のキッシンジャー元国務長官が訪中したが、まず、傲慢になった中国の覇権主義を修正することは無理であろう。
 翻って、ロシアとの関係は今のところ「呉越同舟」である。ウクライナ侵攻でロシア経済は吐息状態である。中国はウクライナとロシアの戦いで漁夫の利を得ているのである。中国の空母『遼寧』はウクライナから中古空母を鉄くずとして購入して改装した経緯がある。中国はウクライナとも取引がある。ロシアからは石油・ガスの輸入を『元』建てで購入している。この時点でロシアは中国の属国化したようなものである。歴史を俯瞰すると、征服した権力者は「時の支配、度量衡の支配、通貨の支配、納税の徴収」を行う。『元』通貨での決済は、『元』経済圏に組み込まれたようなものである。『元』通貨を受け取ったロシアはその通貨は中国の商品の購入でしか使えないのである。ロシアは中国の製品の消費地として新植民地化されたようなものである。
呉と越はその後、臥薪嘗胆の故事のような争いを繰り広げるのである。
 翻って、中国とロシアの関係はまさに「呉越同舟」のようである。中国に新植民地化されたことに気が付いたとき、ロシアは反撃を開始することは目に見えている。歴史的にはフランスのナポレオンの侵略を跳ね返した民族としての気概が発揮されるのであろう。
今回は、歴史をから現在を俯瞰すると将来が見えてくる。そのような報道記事を紹介する。

     皇紀2683年7月20日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

習主席の軍門に下るプーチン大統領 ロシア国内で人民元取引拡大 続く西側の制裁、この機に安く「属国化」する狙い

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の国際会議に合わせて10月にも訪中し、習近平国家主席と会談する可能性が浮上した。西側諸国による制裁や封じ込めが続くなか、ロシア国内では人民元取引が拡大し、中国企業や製品の市場参入も相次ぐなど「中国依存」が強まる一方だ。習氏の優位な立場は圧倒的で、ロシアにとっては「中国の属国化」ともいえる屈辱的な状況だ。それでもプーチン氏は習氏の軍門に下るしかないのか。

習氏は10日にロシアのマトビエンコ上院議長と会談し、10月に開催予定の一帯一路の国際会議に合わせてプーチン氏を迎える準備をしていると述べたとタス通信が報じた。
米ウィリアム・アンド・メアリー大のエイドデータ研究所の統計では、2000~17年の間、一帯一路を含む中国からロシアへの公的融資は1254億ドル(約17兆2600億円)にのぼった。だが、中国・上海の復旦大学グリーン金融研究センターによると、ロシアのウクライナ侵攻を受けた22年1~6月、一帯一路関連の新規契約は前年から100%減、つまりゼロになった。「債務の罠」も指摘される一帯一路だが、プーチン氏は訪中で融資の再拡大を求める可能性がある。
新興国経済に詳しい第一生命経済研究所の西濱徹主席エコノミストは「中国は欧米の制裁違反回避や、米国との正面衝突を避けるためロシアへの投資を止めたが、ロシア側は制裁の抜け穴を探っている。実質的に優位な立場の中国が、資源保有国という強みを持つロシアのプライドをいかに傷つけずに議論を進めるかが注目される」とみる。

関連するビデオ:
テレ朝news
プーチン氏“異例映像”群衆とハグ 狙いは?“プリゴジンの乱”軍で粛清か
ウォッチで表示

ロシア市場で中国の影響力は無視できないほど拡大した。ロシア連邦中央銀行は、3月の外国為替市場で人民元の取り扱い比率が39%に達したと発表した。輸入決済に占める人民元の割合も22年1月の4%から12月に23%に急増した。今年1~3月の中露間の貿易総額は前年比38・7%増の538億4000万ドル(約7兆4100億円)になった。中国の自動車メーカーの市場参入や中国製スマートフォンのシェア拡大なども報じられ、ロシアが「中国経済圏に入ることは避けられない」と前出の西濱氏は話す。
露紙モスクワ・タイムズは、中国国外で初めてロシア科学アカデミーが習氏の教えに特化する研究センターを開設するとも報じた。
筑波大学の中村逸郎名誉教授は「中国製の食料品や家電も量販店に並んでいるとの情報もある。ロシア人女性と中国人男性との結婚も増えているというが、今後は中国人と結婚した方が有利と考えている人が増えているとも読める」と解説する。
北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を防ぐためにウクライナ侵略を決めたプーチン氏だが、皮肉にも事態は逆に進み、今年に入ってフィンランドに続きスウェーデンもNATO加盟の見通しとなった。バルト海沿岸をNATO加盟国が取り囲む形となり、ロシア海軍にとっては痛手だ。ハンガリーも近く批准に入る見通しだという。
8月には南アフリカで、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アの新興5カ国(BRICS)の首脳会議が対面で開催されるが、国際刑事裁判所(ICC)はプーチン氏の逮捕状を出している。ICC加盟国の南アには拘束義務があり、プーチン氏の出席は不透明だ。外交もままならないプーチン氏は、ますます習氏頼みとなりそうだ。
前出の中村氏は「プーチン氏は石油や天然ガスなどの資源を背景に中国と対等な関係を望んでいるだろうが、習氏はこのタイミングでロシアを安く買いたたき、〝属国化〟を狙う可能性もある。プーチン氏は政権維持のためにも中国の保護下に入らざるをえない状況にあるのではないか」と指摘した。
習主席(左)は3月にロシアを訪問、プーチン大統領と会談した(AP=共同)

中国国防部長 キッシンジャー元米国務長官と会談

AFPBB News によるストーリー • 昨日 18:14

中国国防部長 キッシンジャー元米国務長官と会談© CGTN Japanese

【7月19日 CGTN Japanese】中国の李尚福国務委員兼国防部長は18日、中国を訪問中のキッシンジャー元米国務長官と北京市内で会談しました。

 李部長は「世界は今、変化と混乱が入りまじり、100年に一度の大変革がスピードアップし、人類社会はこれまでになかった試練にさらされている。各国の人々は中米両国が大国の責任をしっかりと担い、リーダーシップを発揮し、共同で世界の繁栄と安定を維持することを望んでいる」と述べた上で、「中国が平和発展の道を歩むことは世界にとって禍ではなく、福祉である。米国は正しい戦略的判断を持つべきだ。新興国と先進国が平和的に共存し、融合的に発展して初めて、世界はより美しい未来を迎えることができるだろう」と述べました。

関連するビデオ:
テレ朝news
米中会談 習主席が訪中を評価 ブリンケン国務長官は関係改善に期待も「道険しい」
ウォッチで表示

 李部長はまた、「米国の一部の人間が中国と同じ方向に進んでいないため、中米関係は国交樹立以来の谷底に陥っている。両国が相互依存しているという現実が無視され、協力・ウィンウィンの歴史が歪曲(わいきょく)され、友好交流の雰囲気も破壊されている。習近平主席は相互尊重、平和共存、協力・ウィンウィンの三原則を提唱し、新時代における中米両国の正しい付き合い方を明示した。われわれは終始、安定的で予測可能かつ建設的な中米関係の構築に尽力している。米国も中国と共に両国首脳の共通認識を着実に実行し、両国・両軍関係の健全で安定的な発展を共同で推進すべきだ」と述べました。

 キッシンジャー氏は「私は今回、友人として中国を訪問している。世界は今、チャレンジとチャンスが共存している。米中双方は誤解を取り除き、平和的に共存し、対抗を避けるべきだ」と述べた上で、「歴史と実践が絶えず証明しているように、米中どちらも相手をライバル視することによる代償を払えない。両国間で戦争が起きれば、両国民に意味のある結果も何ももたらさない。米中関係を正しく認識した上で適切にそれに対処し、とりわけ現下の難局から抜け出すには、視野の広い思考と歴史・哲学にもとづいた発想が必要だ。双方は知恵を絞って力を合わせ、共同発展を図っていくべきだ。また、両国の軍隊は意思疎通を強め、両国関係の発展のためにより積極的な成果をつくり出し、世界の平和と安定維持のために最善を尽くすべきだ」との認識を示しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News

焦点:中ロ間の資源貿易決済、ドルから元に 制裁で加速

ロイター編集

[シンガポール 11日 ロイター] - 中国は過去1年間、ロシア産コモディティー輸入決済で人民元の使用を劇的に増やしており、石油、石炭、一部金属のほぼ全てをドルではなく人民元で決済するようになった。

 中国は過去1年間、ロシア産コモディティー輸入決済で人民元の使用を劇的に増やしており、石油、石炭、一部金属のほぼ全てをドルではなく人民元で決済するようになった。写真はイメージ。2022年9月撮影(2023年 ロイター/Dado Ruvic)

ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、約880億ドル(約11兆8800億円)のコモディティー取引の大半が人民元決済に移行。これにより中国による人民元国際化の取り組みが加速してはいるが、厳しい資本統制があるため、近い将来に人民元が国際的役割を果たせる可能性は小さそうだ。

人民元は3月、中国の対外取引決済で初めてドルを抜いて首位に立ったことが、公式データで分かる。しかしSWIFT(国際銀行間通信協会)によると、決済通貨としての世界シェアはドルの39.4%、ユーロの35.8%と比較して2.5%とまだ小さい。

BNPパリバ・アセット・マネジメント(香港)のシニア投資ストラテジスト、チー・ロー氏は、ドル利用のリスクを減らすために「人民元ブロック」に加わる国が増え、長期的に「雪だるま式」に人民元の利用が増えると予想。「米国主導の対ロシア制裁による影響を目の当たりにした後では」、特にそうなりやすいと分析した。

ロー氏は「今後10年、20年、はたまた30年に及ぶ非常に長期的な動きになる。今のところ、そして今後数年間は、人民元を使った貿易はコモディティーとエネルギーに集中するだろう」との見方を示した。

中国は10年以上前から人民元の国際化を進めてきた。しかし石油、ガス、銅、石炭などの世界的な取引のほとんどはドルの指標に基づいて価格が決まるため、人民元は中国による大口のコモディティー購入で散発的に使われる程度だった。

それが昨年、対ロシア制裁によって欧米の買い手がロシア産の購入を敬遠するようになると、状況は一変。中国の買い手は安くなったロシア産の原油、石炭、アルミニウムを買い求め、同国からのコモディティー輸入は昨年、金額ベースで52%増えた。

「ゼロコロナ政策」で疲弊した中国経済は、これによって何十億ドルも節約できた格好。経済の回復に伴い、今年も購入額は増加する見通しだ。

SWIFTに代わる中国独自の国際銀行間決済システム「CIPS」の決済総額は昨年、前年比21.5%増の96兆7000億元(14兆0200億ドル)に上ったことが、中国人民銀行(中央銀行)のデータで分かる。

中国がロシアから輸入する石油のほぼ全てが現在人民元で決済されていると、この問題を直接知る5人の貿易会社幹部がロイターに語った。中国の税関によると、中国は昨年、ロシアから原油と燃料油合わせて603億ドル相当を輸入したという。

人民元の利用は世界的に勢いを増している。アルゼンチンは先月、ドル準備の減少を和らげるため、中国からの輸入の支払いを人民元で開始すると発表。フランスの石油大手トタルエナジーズは3月、初めて人民元決済で中国に液化天然ガス(LNG)貨物を販売した。

こうした変化は、ウクライナ侵攻を受けロシアの主要銀行がSWIFTから排除された昨年4月に始まった。

このため中国の一部輸入企業は当初、ドル建ての貿易金融を確保するのに苦労し、現金での前払いに相当する電信送金を余儀なくされた。このことは特に、資金の乏しい独立系の精製企業に課題を突きつけたとトレーダーらは話している。

貿易面の対ロ制裁はまず、米国がロシアからの輸入を禁止し、欧州がロシアの輸出業者に対する規制を強化し、最終的に貿易禁止措置に発展した。昨年12月5日には欧米がロシア産原油輸出に価格上限が設け、こうした中で人民元決済は急増していった。

ある貿易会社の幹部は、「海上輸送によるロシア産原油の中国向け販売は、価格上限が設定されて以降全て人民元で決済されるようになり、最後までドルを扱っていた少数の銀行も影を潜めた」と述べた。

「価格上限制の下で、ドル建て取引は非常に複雑化している。銀行にとっては、より多くの法令順守業務が発生することになる」という。

ロシア中央銀行が3月に発表したところでは、昨年のロシアの輸入決済に占める人民元の割合は4%から23%に跳ね上がった。

ロシアのノバク副首相は先月、同国がドルやユーロからの脱却を目指し、ルーブルや人民元によるエネルギー輸出の支払い受け入れを今後も増やしていくと述べた。

ロシアのプーチン大統領は、中ロ貿易の3分の2が現在ルーブルか人民元で決済されていると述べた。

コモディティー輸入の急増により、中国の対ロシア貿易赤字は昨年380億ドルに達した。もっとも今年1―4月に赤字は縮小している。

<人民元シフト、当初は難航も>

人民元建て決済への移行は、常にスムーズに進んできたわけではない。

中国石油天然ガス集団(CNPC)は昨年、ロシアのガスプロムからのパイプラインによるガス輸入が削減される可能性を数カ月間にわたって心配していた。中国工商銀行(ICBC)と中国銀行が二次制裁を恐れ、この決済業務からの撤退を検討していたからだ。消息筋が明らかにした。

実際、CNPCは約半年間ガスプロムにドルで支払うことができなかったが、中国交通銀行が両行から業務を引き継ぎ、人民元建てでの支払いにシフトしたという。

ガスプロムは昨年9月、CNPCと人民元決済に合意したと発表している。

(Chen Aizhu記者)


参考文献・参考資料


習主席の軍門に下るプーチン大統領 ロシア国内で人民元取引拡大 続く西側の制裁、この機に安く「属国化」する狙い (msn.com)

中国国防部長 キッシンジャー元米国務長官と会談 (msn.com)

焦点:中ロ間の資源貿易決済、ドルから元に 制裁で加速 | ロイター (reuters.com)

呉越 - Wikipedia

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?