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政治講座ⅴ871「韓国の政治・経済の混乱の原因」

前科4犯の政治家が悪いのか? 誰が悪いのか。民主主義社会においては、選挙民の意識が、成熟していないのでなかろうかと思えることが多い。政治家のレベルは選挙民のレベルと心得るべきである。遵法精神に無頓着であり、国民の意識はそのレベルであろう。商取引においても然りである。貿易で輸出をする会社の総務部長から聞いた話であるが、「平然と契約を守らない」と。「販売先から資金回収ができないから支払わない」と「支払わなくともよい当然理由のように言って未回収で焦げ付きとなると嘆いていた。契約を履行するという義務の履行意識が希薄のようである。国家でも同じように条約・合意を平然と破棄する。具体的には日韓請求権協定などの条約や合意を守らない、とても近代法治国家とは言えない。韓国の憲法には、事後法(遡及法)の禁止規定があるが、平然と事後法(遡及法)で通称「親日罪」というが、国民から私有財産を没収する法律である。李氏朝鮮時代のままで、明文化されていない国民情緒法で処罰する。
国民情緒法とは、国民世論次第で司法判断が決まるなど罪刑法定主義・法治主義・法の支配が崩れがちな大韓民国の政治・社会体質を皮肉った言葉である。国民情緒に合うという条件さえ満たせば、行政・立法・司法は実定法に拘束されない判断・判決を出せるという意味である。韓国国内でも用いられる。皮肉を込めて「 -法」という名が付くが、大韓民国における法律の類ではなく、不文律であり、法律や条例、条約、大韓民国憲法さえも超越する法の軽視風潮を揶揄した言葉である。だから、歴代の大統領は権力を失った途端に事後法(遡及法)で裁かれ、刑務所に収監されるのである。
今回は韓国の混乱の報道を紹介する。

     皇紀2683年2月22日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

韓国・最大野党が国政放棄、「党代表の逮捕妨害」に躍起のあきれた実態

武藤正敏 によるストーリー • 6 時間前

最大野党「共に民主党」の李在明代表
Photo:NurPhoto/gettyimages© ダイヤモンド・オンライン

国政課題の審議をサボタージュする民主党

 韓国の全国紙である東亜日報の報道によれば、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足から9カ月がたったが、その間、政府の国政課題の実現に向けて提出された5つの法案のうち、4つが国会の「敷居」を超えられず、成立できなかったことが判明した。

 韓国の国会は2020年4月に総選挙を行い、「共に民主党(民主党)」は系列の比例代表政党「共に市民党」と合わせて、全議席数300の6割に当たる180議席を獲得し、圧倒的な勝利を収めた。その要因となったのが、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えた文在寅(ムン・ジェイン)政権の対応が評価を得たことである。民主党は現在でも169議席を保有している。

 与党が絶対的に多数の議席を確保したならば、国益に資す国政課題の実現が容易となったはずである。しかし、文在寅政権はこの総選挙での勝利は文在寅政権が掲げる政策が国民の支持を得たものと誤解し、社会主義的な法案を国会で相次いで議決した。

 しかも、国会での議決にあたっては、当時の野党である未来統合党(現在の与党「国民の力」)に対し、法案について検討する時間も与えず、国会でほとんど審議しないまま強行採決するようになった。これは韓国国民が期待する民主主義的な手法とはとてもいえないが、50代を中心とする文在寅政権支持派に守られて法律となってきたのである。

 民主党は、政権交代で野党となると、一転して国政課題の審議をサボタージュするようになり、国会は機能を停止している。今、民主党が国会で行っていることは、多数の議席を利用した検察への抵抗であり、民主党の権限と組織の防衛である。

 検察は2月16日、民主党代表の李在明(イ・ジェミョン)氏に対して逮捕状を請求しており、民主党が党論をまとめて李在明氏を逮捕から守れるかが焦点になっている。

文在寅政権は圧倒的多数の議席数で韓国の社会主義国家化を進めた

 文在寅政権が国会の絶対的多数の議席を利用して進めた社会主義的改革、従北主義政策の代表的なものは次の2つである。

 一つ目は、韓国国会が2021年1月に議決した「重大災害処罰に関する法律」である。

 これは「重大産業災害」および「重大市民災害」が発生した場合、事業主、経営責任者および法人などに刑事罰を科すことができるようにする法律である。

 しかし、その判断基準が曖昧であり、こうした法律は韓国製造業の新規投資を阻害する要因となっている。経済界は当初から懸念を示していた。しかし、この法律は、過激労組・民主労総が求めていたものであり、労組重視の立場を取る文在寅政権は態度を変えることはなかった。

 二つ目は、いわゆる「対北朝鮮ビラ禁止法」だ。

 北朝鮮から脱出してきた人々は、北朝鮮の人々にその実態を知らせようとして、風船に乗せたビラを散布してきた。だが、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹の与正(ヨジョン)氏が「禁止する法律を作れ」と一喝すると、2020年12月「南北関係に関する法律」を改正して「対北朝鮮ビラ禁止法」を強行制定した。

 金大中政権で統一相を務めた康仁徳(カン・インドク)氏は「対北放送・ビラは戦略資産、心理戦を展開する必要がある」と述べている。

 金正恩総書記による、北朝鮮住民の苦境を無視した強引な核・ミサイル開発をけん制するために、北朝鮮住民には真実を伝える必要がある

民主党の妨害により国会は機能不全に

 民主党は、文在寅政権時代には民主主義を装いながら国会で強行採決を乱用し、民主主義国家にはふさわしくない法律を次々に制定してきた。しかし、尹錫悦大統領の政権が樹立されると、自らにとって不都合な法律は審議を妨害し、韓国経済を停滞から脱出させるための法律や政策も、労働組合の意向を忖度し、妨害している。

 2月7日、東亜日報が国会議案情報システムなどを通じて分析した結果によると、先月までに国政課題の実現に向けて国会に提出された法律の制定・改正案は計276件。このうち、国会本会議を通過した法律は57件(20.7%)に留まっている。残りの219件はまだ国会係留中である。

 一方、政府が独自に修正できる施行令、施行規則は制定・改正が迅速に行われている。政府は先月までに52%にあたる115件の整備を終えた。

 国会で足踏み状態となっている国政課題法案の中には、韓国経済の成功を図り、民生と安全を厚く保護するための法案がある。ベンチャー・スタートアップ創業者の経営権を保護するために1株当たり複数の議決権を認める複数議決権導入法案は、民主党の反対で1年以上国会で議論されている。

 貸借詐欺を防止するための対策の一つである「悪質な賃貸借人名簿の公開」も、昨年の国会の混乱で審議が行われなかった。

 西江(ソガン)大大学政治外交学科の李賢雨(イ・ヒョンウ)教授は「経済危機をはじめ国家が転換期の危機に直面している状況で」「国民が要求し、悩んでいる部分を、より積極的に立法に反映する政策が中心の政党に移行しなければならない」と指摘した。民主党の真摯なる反省を求めたい。

民主党がやっていることは李在明代表の逮捕妨害ばかり

 その一方で民主党が力を入れているのは、検察による李在明代表の捜査・逮捕を妨害することに尽きる。

 李在明代表は、これまで3度(先月10日、28日、今月10日)検察に出頭を求められ、捜査が進められてきたが、16日ついに逮捕状が請求された。

 逮捕容疑は、特別経済犯罪加重処罰法上の背任、利害衝突(利益相反)防止法違反、腐敗防止法違反、特別経済犯罪加重処罰法上の贈賄罪、犯罪収益隠匿規制法違反である。

 検察によれば、李在明代表は城南(ソンナム)市長時代の都市開発のうち、大庄洞(デジャンドン)事業で超過利益の扱いに関し決定権を行使し、2014年8月から今年1月までに城南都市開発公社に4895億ウォン(約510億円)の損害を与えた疑いがある。また、側近を介して城南市や都市開発公社の情報を流すことで、民間事業者に7886億ウォン(約820億円)の利益を得させたとみられている。

 城南市のサッカークラブ、城南FCを巡っては、オーナーを務めた2014年10月から16年9月まで、斗山建設やNAVERなど大企業4社に133億5000万ウォン(約14億円)の後援金を出させ、見返りに建築の許認可や土地の用途変更など便宜を供与した疑いが持たれている。

 李在明代表の逮捕にあたり、イ・ウォンソク検事総長は「地域住民と自治体に帰すべき天文学的な額の開発利益を、不動産開発業者とブローカーに山分けさせた地域土着不正であり、極めて重大な事案だ」とした上で「令状請求は全ての国民に普遍的に適用される基準に従った」と説明した。

 他方、李在明代表は「国家権力を政敵排除に悪用した検事独裁政権は、国民と歴史の侵犯を受けるだろう」と主張した。

 李在明代表の逮捕容疑は極めて重大かつ深刻なものであり、これまでに逮捕された側近等の証言を聞く限り、逮捕は避けられないものであろう。しかし、それだけに李在明代表の逮捕が民主党に与える損害は絶大なものとなりかねず、民主党は李在明代表防衛のリスクをいとわず守り抜こうとするのか、リスクを考慮し一歩引くのか、重大な決断が求められている

李在明氏逮捕には国会の同意が必要

 憲法上、現職の国会議員には、現行犯でなければ会期中に国会の同意なくして逮捕または拘禁されない不逮捕特権がある。現在は臨時国会会期中であるため、李在明代表に対する拘束前容疑者尋問(令状審査)をするには、国会の同意が必要となる。

 ソウル中央地裁は逮捕状請求書を受けた後、ソウル中央地検に逮捕同意要求書を送る。その後、法務部が最高検察庁から要求書を受け、大統領の裁可を受けた後、国会に提出する。逮捕同意案の国会提出までにかかる時間を考慮すると、国会での表決は今月26日前後とみられる。

 国会での表決は、民主党の議席が169議席あることから、否決することが有力である。ただ、民主党内では否決を党論とするか否かで意見が分かれているという見方もある。

 民主党の安浩永(アン・ホヨン)報道官は「検察の捜査は大庄洞の真相を明らかにするのではなく、野党を無力化し、大統領選挙のライバルだった野党第1党代表の政治生命を絶つ目的であることが明白」「李代表と民主党は決して屈することなく一致団結し、ただ真実と正義を守るために国民とともに戦う」と明らかにした。

民主党の中で割れる逮捕同意案への対応

 他方、非李在明系の趙応天(チョ・ウンチョン)議員はラジオのインタビューで「逮捕同意案の否決を党論とすることに私は決然と反対する」「否決が適切かどうかというのは逮捕同意案の内容を見て判断すべき」「逮捕同意案に対して賛成を示唆する議員も少なくなかった」と述べた。

 逮捕同意案に対し、否決を党論とすることに対しては、親李在明系でも懸念の声が出ているという。金南局(キム・ナムグク)議員はラジオ番組で「党論を決める過程で小さな異見が大きな葛藤に増幅することもある」「非公開無記名投票なので、党論にしても誰が守ったか、守らなかったか分からない」と述べた。

 民主党よりも左寄りの正義党も慎重である。李貞味(イ・ジョンミ)代表は、国会で記者団と会い「不逮捕特権をなくすというのが正義党の党論であり、李在明代表の大統領候補時代の公約だ」「拘束される理由がないなら、令状審査で判断すればいい」との認識を示した。

 逮捕同意案は、在籍議員の過半数の出席、出席議員の過半数の賛成で通過する。中央日報によれば、国民の力(115議席)と正義党(6議席)、趙廷訓(チョ・ジョンフン)議員が逮捕同意案に賛成するものとみられ、民主党から28人の離脱票が出てくれば、李在明代表の逮捕同意案は可決される

 民主党がどれだけ結束して李在明代表を守れるか、今後の尹錫悦政権との攻防にも影響があろう。しかし、仮に党論で拘束し、李在明代表の国会会期中の逮捕を防いでも、李在明代表の容疑は重大であり民主党の姿勢に対し、国民世論は厳しい視線を投げかけるであろう。

 李在明代表の疑惑は、文在寅政権時代からあり、大統領選挙敗北の要因でもあった。そして、尹錫悦政権の下で検察が本格捜査に踏み切ることは予想された。しかし、李在明代表は国会議員選に出馬、党代表にまでなった

 大庄洞疑惑はもともと民主党とは関係のないところで起きた。しかし、李在明代表を国会議員にして不逮捕特権を与え、民主党の代表に選んだ。民主党は自らリスクを冒し、李在明代表を守る選択をした。

 しかし、それは民主党退潮の原動力となるかもしれない。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)

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