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政治講座ⅴ1400「兵站の重要性。幻想の大国(露)」

 国家の経済力が基礎となり軍事力を支える。
 大陸の他国侵略の場合は通常兵器・核兵器が協調されるが、戦いの結果は、兵站が充実していたかによる。
そしてその重要性があまり報道機関では取り上げられないが軍事専門家の発言にはそのようなことが垣間見えるのである。第二次世界大戦の大日本帝国の敗因はそこにある。当時の軍部は「2年しか戦えないとの分析」を精神論で挑んだ東条英機と陸軍は愚かな判断をしたと吾輩は分析する。
今回は報道記事からロシアのウクライナ侵攻の苦戦をアゼルバイジャンアルメニアのカラバフ紛争を俯瞰して考察する。

     皇紀2683年10月2日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

はじめに

ロシアはウクライナに苦戦しているのは、兵站・補給線の遮断作戦で優位にたっている。ロシアは西側から経済制裁を受けており、物資の補給や弾薬の生産も間に合わない様子にみえるのである。このように、ロシアはじり貧であり、旧ソ連の構成国の離反があり、今後はもっとロシアは衰退し行くと予想される。その一端がアゼルバイジャンアルメニアのカラバフ紛争であろう。


露、アルメニア敗北容認 ウクライナ侵略で余力なし カラバフ紛争


露、アルメニア敗北容認 ウクライナ侵略で余力なし カラバフ紛争© 産経新聞

アゼルバイジャンアルメニアのナゴルノカラバフ紛争が、アルメニア側の敗北で最終決着する可能性が出てきた。ナゴルノカラバフ自治州の主要部分を実効支配してきたアルメニア系住民の行政府「ナゴルノカラバフ共和国」が28日、来年1月1日までに解散すると宣言した。アルメニアは同盟関係にあるロシアを後ろ盾としてきたが、ウクライナ侵略で余力のないロシアは介入せず、敗北を容認した。

ナゴルノカラバフは旧ソ連アゼルバイジャン西部の自治州。ソ連時代末期、現地で多数派のアルメニア系住民がアルメニアへの帰属変更を求めてアゼルバイジャンと対立し、紛争に発展した。1994年、ロシアの軍事支援を受けたアルメニア側が自治州の実効支配を確立した状態で停戦その後の和平交渉は膠着し、戦闘が散発してきた

アゼルバイジャンは民族的にトルコと近い。近年は石油収入とトルコの軍事支援によって国力を増し、カラバフ奪還を狙ってきた。アゼルバイジャンは今月19~20日、ロシアが介入に動けないことを見越してカラバフへの軍事作戦を行い、これが28日のアルメニア側の降伏宣言につながった。

アルメニアは露軍事基地を擁し、露主導の集団安全保障条約機構(CSTO)加盟国でもある。しかし、ロシアは2020年秋にカラバフで大規模衝突が起きた際も介入せず、アルメニアはカラバフで実効支配地域の多くを失った。ロシアはこの衝突を受けてカラバフに平和維持部隊を派遣したものの、今月のアゼルバイジャンの軍事行動を阻止できなかった。

20年の衝突後、ロシアへの不満を強めたアルメニアのパシニャン政権はしばしば対露関係の見直しに言及し、今月には米国との合同軍事演習も行っていた。

アルメニア、国際刑事裁判所加盟に前進 対露関係さらに悪化も

2023/9/29 09:47

南カフカス地方の旧ソ連構成国、アルメニアの議会法務委員会は28日、同国が国際刑事裁判所(ICC)に加盟することを定める法案を可決し、本会議に送付した。タス通信が伝えた。アルメニアがICC加盟に向けて前進した形。アルメニアの同盟国ロシアは同日、プーチン大統領に逮捕状を出したICCへの加盟は容認できないとしてアルメニアに警告した。

アルメニアのICC加盟が実現した場合、係争地「ナゴルノカラバフ自治州」を巡るアルメニアとアゼルバイジャンの紛争を背景に緊張したロシアとアルメニアの関係がいっそう悪化する可能性が高い。

ナゴルノカラバフ情勢を巡り、アルメニアは28日、自治州から避難したアルメニア系住民が7万8千人に達したと発表した。アルメニア系勢力が主要部を実効支配してきた自治州では今月、軍事行動を実施したアゼルバイジャンが勝利を確定的とし、迫害を恐れた住民の脱出が続いている。

アルメニアは従来、アゼルバイジャンの戦争犯罪を追及するためとしてICC加盟を検討。パシニャン政権は昨年末、ICC加盟の合憲性に関する審査を憲法裁に求めた。アルメニア憲法裁が今年3月に加盟は合憲だと判断したことを受け、議会が批准の可否を審議してきた。ICC加盟は法務委員会に続き、本会議でも近く承認される公算が大きい。

一方、露外務省は「両国関係に最大の悪影響を与える」と加盟を見送るようアルメニアに警告した。

アルメニアは自治州を巡って2020年秋に起きたアゼルバイジャンとの大規模衝突の際、軍事介入を避けてアルメニア側の敗北を容認したロシアへの不満を強めた。パシニャン首相は最近、対露同盟関係の見直しに繰り返し言及。今月上旬には露主導の軍事演習への参加を見送り、米国との合同演習を実施した。

パシニャン氏は直近のアゼルバイジャンの軍事行動に際しても、停戦維持部隊を派遣しながら止められなかったロシアを批判した。

一方、ロシアはパシニャン氏の一連の言動に強い不快感を示している。ラブロフ露外相は27日、タス通信に「アルメニアには米国に依存しようとする政治家が多いが、米国がそうした国をどう扱ったか直近の歴史をよく考えるべきだ」と指摘。ロシアが侵略を続けるウクライナを暗に引き合いに出し、アルメニアを威圧した形だ。


旧ソ連圏、続く混乱 紛争再燃/政権に抗議/大統領辞任 露の影響力低下、トルコ存在感

毎日新聞 2020/12/19 

 旧ソ連諸国では今年、アゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフで紛争が再燃したほか、ベラルーシで政権への抗議活動が続くなど、政治的混乱が相次いでいる。背景には旧ソ連圏で宗主国の役割を果たしてきたロシアの影響力低下があるとも指摘されている。
 ナゴルノカラバフ紛争の停戦から1カ月がたった今月10日、アゼルバイジャンの首都バクーで開かれた戦勝パレード。アリエフ大統領は、共に壇上に立った友好国トルコのエルドアン大統領に「我々は紛争の当初からトルコの支持を感じていた」と感謝の言葉を繰り返した。
 9月27日に始まった戦闘では、トルコから無人機などの供与を受けたアゼルバイジャンが、アルメニア人勢力が作る「ナゴルノカラバフ共和国」から支配地域の多くを奪還。双方合わせて少なくとも5600人以上が死亡した紛争で事実上の勝利を手にした。トルコは近年、ウクライナにも無人機売却などの軍事援助を強めており、旧ソ連圏で軍事的存在感を高めている。


ロシア軍の揚陸艦を攻撃するウクライナ:狙いは補給線の遮断

Zeleb.es によるストーリー •5 時間

1 ロシアの海軍施設を狙うウクライナ軍©The Daily Digest 提供

ウクライナ治安当局はこのところセヴァストポリにあるロシア海軍の拠点を次々に攻撃しているが、これに関してはいくつか疑問が残されている。

2 なぜ黒海艦隊を狙うのか?©The Daily Digest 提供

とりわけ注目を集めているのはロシアが保有する黒海艦隊に対する攻撃だ。もちろん、高価値目標をターゲットにするのは当然の戦略だが、執拗に艦隊を狙う理由はほかにもあるようだ。

3 モントルー条約©The Daily Digest 提供

ロシア海軍の艦船が黒海と地中海を自由に行き来できないのは、90年近く前に締結されたモントルー条約がいまだに有効だからだ。ロイター通信によれば、ウクライナ侵攻が勃発するとトルコはこの条約に従って軍艦の通行を禁止したという。

4 トルコの影響力©The Daily Digest 提供

モントルー条約では、トルコにダーダネルス海峡・マルマラ海・ボスポラス海峡を通過しようとする軍艦を制限する権限が与えられており、ロシアによるウクライナ侵攻においても大きな影響力を及ぼす形となった。

5 軍艦の行き来が原則禁止に©The Daily Digest 提供

ニュースサイト「The Conversation」によれば、ウクライナ当局者の要請を受けてトルコ政府は2022年2月28日に海峡を封鎖。ただし、沿岸国の船舶が母港に戻る場合だけは通行が認められることとなった。

6 増援できないロシア軍©The Daily Digest 提供

これによって、他の海域で活動していたロシア海軍の艦艇は黒海から締め出され、開戦前から黒海にあった軍艦しかウクライナ侵攻に参加できなくなってしまった。

7 強大な黒海艦隊©The Daily Digest 提供

このことがウクライナ側に有利に働いたのは言うまでもない。しかし、ロシア海軍は黒海に強大な艦隊を保有しており、『モスクワ・タイムズ』紙によれば、開戦前の戦力は軍艦50隻、海兵隊員4,000人に上っていたという。

写真:Wiki Commons

8 打撃を受ける黒海艦隊©The Daily Digest 提供

黒海艦隊が現時点でどれほどの戦力を保持しているのかは定かではない。しかし、ウクライナ軍は昨年の段階で旗艦「モスクワ」を撃沈するなど打撃を与えたほか、最近ではクリミア半島の拠点を重点的に攻撃している。

9 反転攻勢の一部©The Daily Digest 提供

ウクライナの情報筋はCNN放送に対し、ロシア海軍の艦艇や拠点を狙った攻撃は反転攻勢の一部をなすものであり、戦略的なものだと明かした。ロシア軍にとって艦艇の増強は容易ではないため、ウクライナの攻撃を受けて船舶が損傷すれば戦力低下に直結するのだ。

10 陸上での作戦にも影響©The Daily Digest 提供

さらに、ウクライナ情報筋の話によれば、ロシア軍は一帯の艦船を失うことで陸上での作戦継続にも困難をきたすようになると見られる。

11 アントン・ヘラシチェンコ元内務省顧問©The Daily Digest 提供
これについては、ウクライナの元内務省顧問アントン・ヘラシチェンコ氏がX(旧Twitter)で詳細な解説を行っている。それによれば、黒海艦隊の揚陸艦を狙うことでロシアの兵站にダメージを加えることができるとされている。


12 なぜ揚陸艦なのか?©The Daily Digest 提供
同氏は9月13日の投稿でこう書いている:「これらの艦船は、ウクライナ国防軍がトクマクを通る鉄道を遮断した場合にロシア軍の兵站を担うことになっている」
写真:Wiki Commons

13 海上からの補給©The Daily Digest 提供
同氏はさらに、「ロシアは船舶を利用して燃料や貨物を海上輸送し、マリウポリ経由でザポリージャ州(およびドネツク地方南部)の占領地域に運びこもうとしている」と解説。

14 補給線の遮断を狙うウクライナ©The Daily Digest 提供
つまり、ウクライナがトクマクでロシア軍の補給線を遮断することができれば、ロシアはウクライナ南部に展開する味方に兵站を届けるため、揚陸艦に依存せざるを得なくなるかもしれないというわけだ。

15 揚陸艦がターゲットとなる理由©The Daily Digest 提供

ウクライナ軍が揚陸艦を執拗に狙うのはまさにこのためだ。陸上兵力への補給を絶たれてしまえば、ロシア軍といえども作戦継続は困難だろう。

16 「A2/ADゾーン」©The Daily Digest 提供

ヘラシチェンコ氏によれば、トクマク経由の補給線を遮断した上で黒海艦隊による輸送を排除できれば、ロシア軍にとって「A2/AD(接近阻止・領域拒否)ゾーン」が生まれる可能性が高いとされる。

17 戦いにくくなる©The Daily Digest 提供

同氏いわく:「燃料や弾薬、医薬品、装備の定期的な補給がなければ、(ロシア軍が)戦い続けるのは控えめに言っても困難だ」ウクライナは自軍の人的損害を抑えつつ反撃を加えることを目指しているので、この戦略はまさに好都合なのだ。

18 ウクライナ南部を巡る攻防©The Daily Digest 提供

ロシア軍は2020年にへルソン州北部からの撤退を余儀なくされており、ウクライナは同国南部でも同様のシナリオが繰り返されることを望んでいるようだ。しかし、その作戦が成功するかどうかは未知数である。

参考文献・参考資料

露、アルメニア敗北容認 ウクライナ侵略で余力なし カラバフ紛争 (msn.com)

ロシア軍の揚陸艦を攻撃するウクライナ:狙いは補給線の遮断 (msn.com)

アルメニア、国際刑事裁判所加盟に前進 対露関係さらに悪化も - 産経ニュース (sankei.com)

旧ソ連圏、続く混乱 紛争再燃/政権に抗議/大統領辞任 露の影響力低下、トルコ存在感 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

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