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政治講座ⅴ1448「中国の権力闘争による政変:その後、旧知が粛清されてコネが使えない日本人と政治家」

 中国の現在の習近平政権で、大幅な粛清による政変が起こったと考えるべきである。胡錦濤、温家宝政権時代から習近平政権は真逆の権力・政策の政権である。中国共産党の良き文化の人治から断絶が見られる。腐敗防止を旗印による粛清が行われており、権力闘争に勝ち残ったのが習近平政権である。中国共産党大会での出来事でその権力闘争を垣間見ることができたのである。今回はその報道記事を紹介する。
アステラス社員が正式逮捕されたのは前政権に近いために賄賂・買収などの嫌疑をうけたのではないだろうかと推測する。そして、以前にも憶測を記載した日中青年交流協会元理事長の鈴木英司氏の拘束から収監、出所までの6年間はスパイ容疑であるが、北朝鮮関連の話題を口にしたことから、中国の北朝鮮の情報収集しているとのスパイ容疑の嫌疑がかけられたと推察されるのである。
中国にいる旧知の友人との人間関係が深いほど、その旧知の友の粛清に伴い、自分も権力闘争の渦に巻き込まれる可能性が高い。そして、それは「歩く50万元」と言う言葉が流行していることからも分かる。
スパイ行為の防止又はスパイ事件摘発に重大な役割を果たした人に対して、最高50万元(約1000万円)の賞金が中国政府から与えられることから、スパイは歩く50万元というわけだ。今回はそのような報道記事を紹介する。
蛇足:中国でのビジネスにはご用心!あらぬ嫌疑がかけられる可能性が否定できない。また中国共産党とコネが強すぎても権力闘争に巻き込まれる危険は十分ある。

     皇紀2683年10月23日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

アステラス社員が正式逮捕 「中国ビジネス、見直しを」 当時の林外相が訪中でも開放実現せず、親中派のパイプは役に立たない

中国当局が、北京市で3月に反スパイ法違反容疑で拘束されたアステラス製薬の50代の日本人男性社員正式に逮捕したことが分かった。中国側が日本大使館などに通知した。北京では日中の政財界人らによる会合が開かれたが、中国でビジネスを行うことのリスクが改めて意識されることになった。

男性は中国に進出する日系企業の団体「中国日本商会」の幹部を務めたこともあるベテラン駐在員。3月に駐在期間を終えて日本に戻る予定だったが、帰国直前に北京の国家安全局に拘束された。中国側は拘束理由を「刑法と反スパイ法に違反した疑い」と説明するが、容疑の詳細は一切明らかにしていない。

4月には林芳正外相(当時)が訪中して秦剛国務委員兼外相(同)と会談し、男性の早期解放を求めたが実現しなかった。

中国政府は9月中旬、正式逮捕するかどうか当局が判断する刑事拘留の措置を取ったことを日本側に伝えた。それまでは取り調べのため当局が指定した場所に留め置く「居住監視」措置が取られていたもようだ。

評論家の石平氏は「中国で逮捕された場合、非公開裁判にかけられて有罪判決を受け、長期間収監される恐れがある」と指摘する。
北京で日中政財界人によるフォーラム開催中に…
男性の正式逮捕が日本側に伝わった際、北京では日中両国の政財界人や有識者ら約100人が政治・外交や経済などを議論する「東京―北京フォーラム」が開かれていた。
岸田文雄首相がメッセージを寄せ、福田康夫元首相が基調講演を行った。現実は「日中友好」にはほど遠い。中国では4月にスパイ行為の定義を拡大する「改正反スパイ法」が可決され、7月に施行された。外国人や外資系企業への締め付けは強まり中国と対立が激化した米国の企業が国家安全に危害を加えたなどとして相次ぎ摘発された。日本企業の駐在員にも「突然拘束されるのではないか」と不安が広がる。

前出の石平氏は「親中派政治家のパイプは役に立たない。政府がやるべきことは、日本企業に中国ビジネスを根本的に見直すよう勧告したり、民間人に中国への渡航について警告を発したりすることだ」と強調した。

中日平和友好条約45周年の対話 「平和・友好・協力が唯一の正しい選択肢」を再確認

AFPBB News によるストーリー • 20 時間

中日平和友好条約45周年の対話 「平和・友好・協力が唯一の正しい選択肢」を再確認© CGTN Japanese

【10月20日 CGTN Japanese】中国の国務院報道弁公室と日本の外務省が後援し、中国外文局と日本の言論NPOが共催した第19回「北京-東京フォーラム」が20日、恒常的対話による理解増進を訴える「北京コンセンサス」を発表して閉幕しました。同フォーラムでは、「中日平和友好条約」は10月23日で発効45周年を迎えるとの言及も多く、「平和、友好、協力が中日の唯一の正しき選択」が双方の共通認識とされました。

 中国共産党中央政治局委員で、中央外事弁公室主任でもある王毅外交部長はビデオメッセージを寄せ、「中日平和友好条約」について「両国の先人が戦略的な着眼点と政治的知恵を生かし、法の形で中日の恒久的な平和友好関係の発展を共通目標に定めた」と振り返った上で、同条約の締結に際しての「中日共同声明」に示された諸原則の厳守内政に対する相互不干渉、いかなる国または国の集団による覇権を確立しようとする試みにも反対するなどの要となる内容は「依然として中日関係を善処する上での拠り所であり、世界が現在直面しているリスクや試練の対処にも現実的な指導的意義がある」と強調しました。

中日平和友好条約45周年の対話 「平和・友好・協力が唯一の正しい選択肢」を再確認© CGTN Japanese

 王外交部長はまた、アジアと世界の重要な国である中日両国にとって、「平和・友好・協力が唯一の正しい選択肢」と指摘しました。

 福田康夫元首相は基調講演で、45年前に締結された「中日平和友好条約」の意義について、「日本と中国の間に平和、友好、協力という柱が、条約というもっとも強い国際的な約束の形で打ち立てられた」と述べ、その後の両国関係の順調な推移に果たした役割を高く評価しました。福田元首相はその上で、「平和、友好、協力の関係を維持、発展させることは、隣り合わせる大国同士の日中両国の正しい選択であることはもちろんで、両国の大局的な利益にも合致する」と述べ、「世界の平和のために協力し合うことが日中に共通する責務」と訴えました。

中日平和友好条約45周年の対話 「平和・友好・協力が唯一の正しい選択肢」を再確認© CGTN Japanese

 北京-東京フォーラムは中日関係の健全で安定した発展の促進を趣旨に2005年に創設され、その後は毎年、北京と東京で交互に開催されてきました。19回目の今年は「アジアの安定と世界の平和協調に向けた中日両国の責任~中日平和友好条約45周年に考える」をメインテーマに政治外交、経済、安全保障など七つの分科会や特別対話も同時に開催され、両国の有識者約90人がパネリストとして参加しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News

胡錦濤前主席“退場”直前の様子明らかに 習氏側近が胡氏の書類没収? 習氏自ら指示する様子も

2022/10/25(火) 21:08配信 日テレNEWS

中国共産党大会を胡錦濤前国家主席が中座した。
習近平国家主席との確執など様々な憶測が飛び交う中、離席直前の壇上の様子が明らかになった。
幹部名簿とみられる書類を確かめようとした胡氏が習氏側近らに阻止される様子も。
決定的場面を捉えた映像から背景を読み解く。
【動画で見る】胡錦濤前主席 退席直前の様子明らかに“書類取り上げ…”

■胡錦濤氏、超異例の“退場”直前に何があったのか?

10月22日、中国共産党大会の閉幕式の最中に胡錦濤前国家主席退席する極めて異例な場面があった。
すでに世界中のメディアで映像などと共に報じられているが真相は謎に包まれている。
胡氏が抵抗するような素振りを見せるなど尋常ではない様子に、何か異変が起きたのではとの憶測が絶えないが、会場にひと足早く入った一部の海外メディアがその直前の様子をカメラに収めていた。

■習氏側近が胡氏の資料を取り上げ? 習氏がスタッフに指示

シンガポールのテレビ局CNAや、スペインメディアABC Spanish Daily Newspaperが胡氏が会場を後にする少し前からの様子を動画や写真で報じている。これらを総合すると以下のように描写できる。

胡氏が書類に手をやると栗氏が慌てて制止∕ABC Spanish Daily Newspaper

まず、習近平国家主席の隣に胡錦濤前主席、さらにその隣に政権ナンバー3(当時)で習氏側近の栗戦書全人代常務委員長が着席している。 栗氏が胡氏の前に置かれた書類の上に赤い表紙のようなものを被せ、胡氏の耳元でしきりと話しかけている。胡氏に書類を見せないようにした上で、何かしきりと説明しているように見える。 しかし、胡氏はなおも赤い表紙をどかして中の書類を見ようとしたのか、栗氏があわてて制止するような素振りを見せる。その様子を習氏が見ている

栗氏が胡氏から書類取り上げか∕ABC Spanish Daily Newspaper

続いて栗氏は右手で胡氏の手を掴み、左手で書類を押さえつつ、自分の方に引き寄せる。胡氏に書類を見せないよう取り上げたような格好だ。同時に、習氏は左を振り向き何か言葉を発している。この後、栗氏は取り繕うような笑みをたたえてしきりと胡氏に話しかけ、一方では、引き寄せた書類をしっかり両手で押さえる。

習氏自ら何ごとかを指示∕ABC Spanish Daily Newspaper

栗氏の隣から政権ナンバー5の王滬寧・中央書記局書記(当時)が横から割って入るような素振りを見せる。映像では制止するように手を振る様子も。 これが胡氏と栗氏のどちらに向けられたのかはわからない。政策ブレーンの王氏は習氏の信頼が厚く、今回も最高指導部に残ったものの、7人の中では習派カラーは比較的薄い方だ。 そしてけげんな表情の胡氏の背後に男性が現れる。男性は習主席の職務を補佐する「中央弁公庁」の副主任。習氏から何か指示を受けているように見える。

さらに別の男性スタッフも登場。習氏は自分の前に置かれた書類を指さしながらスタッフに何ごとか指示を与えているようだ。 この後、スタッフは赤い表紙をどけて書類について胡氏になにごとか説明しようとするが、栗氏がすぐにまた表紙を被せスタッフに何かささやく。

■習主席は素早い動作で胡氏の動きを封じ…習氏側近は額に汗

これら一連の出来事は、外で待たされていた各国の記者団が会場に入った直後に起きた。入場時、長い行列ができたが先に入ったメディアが異変の幕開けを捉えていた。 続きはNNNの画像と共に紹介する。直前の現象を踏まえると従来と見方が少し変わってくる。

胡氏が習氏の書類に手を伸ばすと…

今度は胡氏が習氏の前にあった書類を引き寄せようとする。

習氏がすばやく押さえる

すると制止するように習氏の手が素早く書類を押さえた。まるでかるた取りのようだ。

栗氏が胡氏の書類を手渡し…

すると栗氏が元々、胡氏の前に置かれていた書類をスタッフに手渡し、スタッフはそれを胡氏に示して何事かをささやく。

スタッフが胡氏に示す

栗氏の右手は胡氏をなだめるように後ろに回され、その様子を習氏が見守っている。

栗氏やスタッフに促され…

胡氏の動きがおさまると習氏は一旦、正面に向き直る。

胡氏が立ち上がる

胡氏が腕を抱えられるように立ち上がると、習氏は再び見送るように胡氏の方に向き直る。

栗氏が顔をぬぐう

しかし、胡氏はなおも外に連れ出されることに抗うような仕草を見せる。今や後ろの壇に居並ぶ幹部たちも視線を注ぎ、栗氏はハンカチで顔を拭うが習氏は表情を消している。

胡氏さらに書類を見ようと…

胡氏はスタッフが抱えた書類をその場でめくって見ようとする。

スタッフが遮り外へ促す

しかしスタッフは胡氏の手元から書類を引き離し、会場外へと促すような動きをみせる。

去り際胡氏と習氏がやりとり

会場を立ち去る前に胡氏はまず習氏に何事か言葉を放つ。習氏は少し身体を傾けただけでこれに応じる。胡氏と関係が深い李克強首相はその様子を見守る一方、同じく胡氏に近い政権ナンバー4の汪洋・全国政治協商会議主席(当時)は、不自然なほど正面を向いたまま神妙な表情を保っている。

李氏の肩をポンと叩く

この時すでに李・汪両氏は慣例としての定年を前に最高指導部から外れることが確定していた。最後に胡氏は李氏に肩を叩き会場を後にした。

■想定外の展開に…胡錦濤氏が確認したかったものとは?

このように見ると一連の異変は胡氏から書類が取り上げられたことから始まっているように見える。そして胡氏は何度阻止されながらも書類を見ようとしていた。

胡氏の手元にあった書類

胡氏は一体、何を見ようとしていたのか。胡氏を連れ出す際にスタッフが持っていた書類の画像を拡大してみると、人名が並んだ名簿とみられるものが含まれている

閉幕式では4つの議題が順番に処理されていったが、各国メディアが入ったのは、ちょうど最初の議題が終わった後だ。 最初の議題は中国共産党をリードする幹部205人の「中央委員」などの選出が終わった直後。上位に行くほど人数が絞られるピラミッド型の集権体制が取られる中国共産党で、トップ7人の最高指導部に入るには、まず2つ下位の「中央委員」に選ばれることがベースとなる。 ただ、中央委員の選出ですでに番狂わせが始まっていた(胡錦濤氏にとってだけかもしれないが…)。最高指導部に留任するとみられていた李克強氏と、汪洋氏が名簿から漏れたのだ2人は共に古くから胡氏から目をかけられてきたが、引退年齢とされる68歳に達する前に留任の道を断たれた瞬間だった。 こうした中で胡氏は耳を疑う決定が行われたことに衝撃を受けて自らの目でその名簿を確認したかったのではないか。

■平然と退場を命じた? 習主席と他の幹部の表情が語るもの

胡氏の“退場劇”をめぐり様々な憶測は出ているが、中国側から真相が明らかにされることはないだろう。中国国営新華社通信は公式ツイッターで「胡氏の体調不良」と英語で発信。ツイッターは中国国内では原則アクセスできないため、対外向けとみられる。 印象深かったのは最高幹部たちが一連の退場劇で見せた表情だ。レオナルド・ダヴィンチの名画「最後の晩餐」の中に描かれた人々のようにそれぞれの心境がにじみ出ている。

退席する胡氏と最高幹部ら

胡氏は1人、驚き狼狽し、やがて全てを悟ったかのように去って行く。習氏の側近、栗氏らはやや落ち着かない様子。 一方、胡氏に引き上げられた李克強氏や汪洋氏は、すぐ隣で起きている胡氏の異変が目に入っていないかのように神妙な表情を保っている。 この事態を予期していたのか。最高幹部の後列に控える幹部たちは何事かという表情でじっと見つめている。そして退場劇のもう一人の主役、習近平氏は終始平然とした表情を通していた。

そして胡氏が会場を出て約30秒後、何事も無かったかのように次の議事を読み上げ始めた。

このわずか数分の間に習近平氏や最高幹部たちが見せた表情に、3期目の習近平政権の姿が凝縮されているように見えうそ寒い気持ちになった。国際社会はこの政権とこれから5年、あるいはさらに長期間、向き合わなければならない。 (NNN中国総局 富田 徹)

中国が私を拘束した狙いは何だったのか―鈴木 英司『中国拘束2279日 スパイにされた親中派日本人の記録』

7/3(月) 6:00配信
『中国拘束2279日 スパイにされた親中派日本人の記録』(毎日新聞出版)
身に覚えのない「スパイ罪」で中国当局に約6年拘束
刑期を終え、2022年10月に帰国した日中青年交流協会元理事長の鈴木英司さんが、拘束から収監、出所までの過酷な体験を綴り、手記を出版しました。
習近平政権は2014年以降、「反スパイ法」を施行するなど中国で活動する外国人の管理を強化しています。
2023年7月の改正「反スパイ法」施行によって、いつスパイの疑いをかけられてもおかしくない状況になると予想されます。
世界を戦慄させる習政権下で拘束された日本人の実情を明らかにした「プロローグ」の一節を、特別公開します。
◆ 突然現れた北京市国家安全局の男たち 2016年7月15日。
中国・北京の日本大使館近くにある二十一世紀飯店(ホテル)内の日本料理店で中国の知人と昼食をとった後、エアコンがきいたホテルから外に出た。
嫌というほど太陽が照りつけている。
シンポジウム開催の打ち合わせなど5日間の北京出張で最後の日程を終えた後だった。
午後2時前後だった。
最も暑い時間帯だ。
湿気はないが、日差しはきつい。
40度ぐらいはあっただろう。
ホテルの車寄せにタクシーはとまっていない。
少し待って前の通りに出た。
手を挙げ待つこと7、8分。全身から汗がじっとりと噴き出してきた。
反対車線を走っていた白色のタクシーの運転手がクラクションを鳴らして手を振り、こちらに合図してきた。
北京を走るタクシーは緑と黄土色などのツートンカラーが多い。
白いタクシーは珍しいし、反対車線からわざわざ回ってくるのも普通ではないなと感じたが、ようやく来たタクシーだ。暑さから逃れたくて乗り込んだ。
「北京首都国際空港第3ターミナルまで」。
タクシーが走り始めてすぐ、私が求めた道(空港高速)とは違うことに気が付いた。
おかしいなと思い運転手に声を掛けたが、気にするふうでもない。
淡々とタクシーを走らせていく。
途中、スマートフォンで何かを打ち込んでいる。
そんなことをするタクシー運転手は見たことがない。
走ること小一時間。汗もひき空港の出発ロビー階に着いたのは午後3時10分ごろ。特に車寄せはないため道路に誰もがとめる。
運転手は白いワンボックス車の斜め後ろにタクシーをとめた。
車の周囲にはTシャツ姿の体格のいい男らが6人ほど。
ガラの悪い男たちがたむろしているところにタクシーをとめられたことに少し不快感を覚えたが、トランクから荷物を出して歩き始めた。
飛行機は午後5時半の予定だった。
とその時、「你是鈴木嗎(ニーシーリンムーマ/お前は鈴木か)?」と、男のひとりが問いかけてきた。
「そうだ」と答えるや否や、3、4人の男が私を押しながら車に押し込もうとする。
私は当時、体重が96キロあったが、かなわない。
「お前ら誰だ?」
「北京市国家安全局だ」
そう聞いた私は、頭が真っ白になった。
安全局と言えば、スパイ組織だ。
スパイの取り締まりもする。
なぜ私が、との疑問がよぎる。
なすがままに車に入れられ、3列シートの中央から最後列へ、さらにその一番奥の座席まで押し込まれた。
最も逃げづらい場所だ。
車の助手席にはビデオを回している男がいた。
「身分証明書を見せろ」と私は言ったが、男たちは「その必要はない」と言う。
「なぜ私を拘束するのか」と問うと、やせてめがねを掛けた男が、北京市国家安全局長・李東の名の記された紙を目の前に広げた。
そこには私をスパイ容疑で拘束することを許可する旨が記されていた。
今思えば、タクシーも国家安全局が手配したものだったのではないか……。
ワンボックス車のすぐ近くにとめたのも、偶然とは思えない。
ことの真相は分からないが。
車内では無理やり携帯電話、腕時計を奪われ、自殺防止のためか、ズボンのベルトを外された。
さらに黒いアイマスクを着けられた。
「どこに行くんだ?」。
私は中国語で問うた。
「それは言えない」と、男のうちの誰かが言う。
「日本大使館に連絡しろ」と求めたが、「それは着いてから、担当の人間に話をしろ」と言うのみだ。
会話をしてもらちが明かない。
どこに向かっているのかもまったく分からない。
抵抗しても無駄だと思い、私は静かに車の中で座っていた。

スパイ摘発の協力者に最高1000万円 経済政策に行き詰った中国政府は先祖返りするしかない

2023年09月27日

スパイは「歩く50万元」…流行する不気味なキーワード

 経済対策に行き詰まった中国政府はこのところ、思想や行動に対する「引き締め」の強化に走っている感が強い

 国家の安全を重視する中国政府は7月1日、スパイ行為を取り締まる改正「反スパイ法」を施行したが、中国のネット上では「行走的50万(歩く50万元)」という不気味なキーワードが流行している。中国で潜伏しているスパイを指す用語だ。
スパイ行為の防止又はスパイ事件摘発に重大な役割を果たした人に対して、最高50万元(約1000万円)の賞金が中国政府から与えられることから、スパイは歩く50万元というわけだ。

 中国政府は「歩く50万元」発見運動を全国に広げることに躍起になっている。
家族間の相互告発も奨励
していることから、人々は「再び文化大革命のような悪夢が再現するのではないか」と恐れている(9月22日付ニューズウィーク日本版)。

 9月に入り、中国政府が「国民の感情を傷つける」服装の禁止を盛り込んだ法案を公表したことにも疑念の声が広がっている。

 どのような服装が対象になるかが明記されていないからだが、中国国内では「歴史的に重要な場所や記念日に和服を着る人への取り締まりが主な目的だ」との受け止めが一般的だ(9月22日付AFP)。「日本アニメのコスプレもターゲットになる可能性がある」と報ずる香港メディアもあり、水産物の次はこの問題が日中間の懸案になってしまうのかもしれない。

参考文献・参考資料

アステラス社員が正式逮捕 「中国ビジネス、見直しを」 当時の林外相が訪中でも開放実現せず、親中派のパイプは役に立たない (msn.com)

中日平和友好条約45周年の対話 「平和・友好・協力が唯一の正しい選択肢」を再確認 (msn.com)

胡錦濤 - Wikipedia

胡錦濤前主席“途中退席”人事に不満か?映像が語る“真相”は… 懸念深まる“習一強体制” 中国|日テレNEWS NNN (ntv.co.jp)

胡錦濤前主席“退場”直前の様子明らかに 習氏側近が胡氏の書類没収? 習氏自ら指示する様子も(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

中国が私を拘束した狙いは何だったのか―鈴木 英司『中国拘束2279日 スパイにされた親中派日本人の記録』(ALL REVIEWS) - Yahoo!ニュース

スパイ摘発の協力者に最高1000万円 経済政策に行き詰った中国政府は先祖返りするしかない(2ページ目) | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)

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