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政治講座ⅴ578「チキンゲーム(自滅への道)の北朝鮮」

 ロシアのウクライナ侵攻を孫子の兵法に照らして考えるとロシアの戦い方はメチェクチャである。孫子は戦わずして勝つことを説いている。戦いは短期決戦で終わらせること孫子は説いているがロシア軍は長期戦となっている。兵站の重要性、リーダーの資質についても説いているが、ロシアの兵站の不備が露呈している。司令官の交代も頻繁である。軍人の増員も愚の骨頂と置いている。やる事全てが孫子の兵法に逆行する軍事行動である。
 さて、現代史に戻って戦争期間について考えてみよう。
第二次世界大戦で日本は4年間戦った。
米国が参戦したベトナム戦争は19年の歳月を要した。
湾岸戦争では1か月でイラク軍の敗走で決着。
イラク戦争では戦闘は1年で終結したが内乱が発生し米国の撤退までは7年を要した。
アフガニスタン紛争では19年10か月を要した。
翻って、韓国vs北朝鮮では北朝鮮に軍配、ここに米国が参戦すれば戦闘は一か月で終了するであろう。その後の朝鮮半島は左派・右派の内戦状態がまた始まるのではないだろうか。

        皇紀2682年11月10日
        さいたま市桜区
        政治研究者 田村 司


北朝鮮には好きなだけミサイルを撃たせればよい。そして金正恩が米韓に教えてしまったヤバすぎる機密情報

鈴木 衛士 2022/11/10 06:25

北朝鮮は、今年に入ってから11月5日までの間に、31日にわたり90発以上のミサイル(弾道ミサイル、巡航ミサイル、地対空ミサイル)を発射している。このうち、6割以上にあたる56発が、米空母「ロナルド・レーガン」などが参加した米韓合同演習が始まった9月25日から、大規模な空軍主体の合同演習「ヴィジラント・ストーム(Vigilant Storm)」が終了する11月5日までの42日間で発射された。

米韓の演習に対抗したミサイル部隊の急速錬成

これは、北朝鮮がいく度も発表しているように、米韓の合同軍事演習に反発した示威行動を主目的としているものである。これは、本年2月の拙稿「北朝鮮“計11発”のミサイル発射が「挑発目的」の「乱発」と言えないワケ」で述べたような、朝鮮労働党第8回大会で決定した「国防科学発展及び兵器システム開発5ヵ年」計画を(早期に)達成するための発射試験などとは質の異なる活動と見られる。

つまり、9月25日以降のミサイル発射は、その主たる目的が、米韓の合同軍事演習に対抗したミサイル部隊等の攻撃能力の向上、専門用語でいえば部隊の急速錬成(有事に備えて一気に組織や個人の能力を高めること)を行うことにあったと考えられる。


© 現代ビジネス 米韓演習「ヴィジラント・ストーム」に対応して行ったという
朝鮮人民軍の軍事作戦に関する総参謀部の報道:
北朝鮮ウエブサイト「わが民族同士」より


もちろん、この期間中にも、長距離弾道ミサイル(発射失敗の可能性)、新型(長距離)巡航ミサイル、新型(長射程)地対空ミサイルなどを発射しており、今後試験を実施する予定であった各種ミサイルを前倒しして、このミサイル実射演習(急速錬成)に組み込むことで、現段階での実用性を確認するとともに、これら新型ミサイルの威力誇示を企図したのであろう。

このチキンレースに北朝鮮の勝ち目はない

このような、北朝鮮の緊張を高めるような挑発行動に対して、米韓は一歩も引かないだけでなく、逆にそれぞれの演習期間を延長するなどして対応した。そして、これがさらに北朝鮮の反発を招き、ミサイル発射を誘発するような形となって、結果的にこれだけの数のミサイルを北朝鮮に発射させることなった。いわゆる、双方の軍事行動がチキンレース状態となっているのである。

この米韓の対応は、戦略的に妥当であるといえよう。11月1日の拙稿「今、『トップガン・マーヴェリック』そっくりの作戦が進行していた?米韓合同演習ヴィジラント・ストーム」でも述べたように、今は、まさに軍事的圧力を高める時機である。このチキンレースで北朝鮮に勝ち目はない。今までの成功体験をもとに北朝鮮がこれを見誤れば、金正恩政権は自滅することになろう。

それは、拙稿でも述べたように、現在の北朝鮮による挑発活動は、プーチン大統領の「ウクライナ侵攻」とも連動しているからである。核攻撃をちらつかせて欧米を威嚇するプーチン大統領に対して、米国が一切妥協することがないのと同様に、北朝鮮の金正恩総書記に対しても現時点で米側が妥協することはあり得ず、むしろ対決を辞さない覚悟を決めていると見られるからである。

というのも、韓国が文在寅(ムン・ジェイン)政権から尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権へと交代して以降、北朝鮮を再び「主敵」と位置づけ、日米との連携を強固にして北朝鮮の挑発には断固として立ち向かう姿勢を示しているからだ。その姿勢こそが、9月25日以降の「米空母が参加した米韓合同海軍演習」や「米国の戦略爆撃機や第5世代戦闘機などが参加した大規模な(航空作戦を模擬した)米韓合同空軍演習「ヴィジラント・ストーム」などの行動に結びついているのである。

ロシアに対しても、北朝鮮に対しても、核攻撃の兆候または攻撃があった際の軍事行動がすでに準備されていることは明らかだ。北朝鮮に対するこれら一連の演習も、その練度を高めるためのものである。金総書記もそれを分かっているから猛反発するのだろう。

好きなだけミサイルを撃たせればよい

極言すれば、「北朝鮮には、好きなだけミサイルを撃たせればよい」、ということだ。これを意に介さず、軍事的圧力を加え続けることが正しい。もし仮に、米韓が北朝鮮に歩み寄ろうとしても、金総書記は時期を見計らって7回目の核実験を強行するであろうし、ミサイル開発も加速するであろうことに変わりはないのだから。


© 現代ビジネス 2022年3月24日、大陸間弾道ミサイル「華城報」の
発射実験に臨んだ金正恩氏(Photo by API/Gamma-Rapho via Getty Images)


もはや北朝鮮にとって、ミサイル発射は外交カードとしての価値を失いつつあり、残されたカードである核実験も間もなく使い果たそうとしている。

ロシアによるウクライナ侵攻で、現在は朝・中・ロの結束が強まっているように見えるが、ロシアの弱体化が進むにつれ、いずれ中国はロシアを見放すであろうし、北朝鮮が7回目の核実験を強行してロシアと同様に国際的な批判が集まるようなことになれば、中国も北朝鮮とは距離を置かざるを得なくなるだろう。

米国ランド研究所のブルース・バネット上級研究員が、米政府系放送のラジオ自由アジア(RFA:Radio Free Asia)で明らかにしたところによると、短距離ミサイルの価格は約300万ドル、「火星12」のような中距離弾道ミサイルは約1,000万ドルから1,500万ドル、「火星17」のような大陸間弾道ミサイル(ICBM)は2,000万ドルから3,000万ドルと推計されている。また、韓国国家情報院(NIS:National Intelligence Service、旧KCIA)によると、潜水艦弾道ミサイル(SLBM)は350万ドルから790万ドルと見積もられている。

北朝鮮によるミサイル実射演習が始まったと見られる9月25日以前(6月5日まで)において、北朝鮮が発射したミサイルは計32発である。そのうち短距離ミサイルは21発だから、1発300万ドルで計算すると、6,300万ドルとなる。

ICBMは7発なので1億4,000万ドルから2億1,000万ドル。さらに中距離弾道ミサイル「火星12」を1発発射しているので1,000万ドルから1,500万ドル。SLBMは1発で350万ドルから790万ドル。残り2発は、巡航ミサイルであったが、これを短距離ミサイルと同等とすると600万ドルとなる。

外貨獲得が困難と言われているのに?

以上を計算すると、北朝鮮は本年上半期でこのミサイル発射に、総額で2億2,250万ドル(322億6,250円)から3億190万ドル(437億7,550円)を消費したことになる。これに加え、冒頭で述べた9月25日以降の42日間でこの倍以上の莫大な金額に相当するミサイルが消費されたのである。

果たして、これだけの費用に見合った効果がどれほど北朝鮮にあったというのだろう? このような環境下で、効果的なデータ試験などが行われたとはとても思えず、逆に、ミサイル基地からの起動展開要領(使用道路や起動展開にかかった時間、起動展開から発射までの時間など)や発射適地など多くの重要な機密情報を偵察衛星などによって探知されてしまった可能性を考慮すれば、まんまと米韓の策略にはまってしまったようにも受け止められる。


© 現代ビジネス 北朝鮮ウエブサイト「わが民族同士」より


このようなことを続ける限り、北朝鮮が、米国との軍拡競争に敗れて崩壊したかつてのソ連と同じような道をたどることは明らかである。だからこそ、これが自滅への道へとつながっていることを金総書記に悟らせるまで、圧力を加え続けることが重要なのである。


参考文献・参考資料

北朝鮮には好きなだけミサイルを撃たせればよい。そして金正恩が米韓に教えてしまったヤバすぎる機密情報 (msn.com)

フォークランド紛争 - Wikipedia

孫子の兵法の意味とは?名言集13篇まとめ|ビジネス活用をわかりやすく解説 (sugimuratakashi.com)

孫子 全文(現代語訳)|孫子の兵法 (sonshi-heihou.com)

ベトナム戦争 - Wikipedia

湾岸戦争 - Wikipedia

イラク戦争 - Wikipedia

アフガニスタン紛争 (2001年-2021年) - Wikipedia

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