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政治講座ⅴ1303「もったいない、無駄、浪費、環境に負荷、これは、一事が万事の中国」

世界4大文明の一つと謳われた中国文明の末路がこれである。哀れである。現代の文化の中心地は日本であり米国であり欧州である。遅れた自動車文化の上を行こうとしてEV車に重点を置いているようであるが、「費用対効果」や「需要&供給」原理が未熟である。これが共産党の計画経済の実態である。今回はEV車に関する報道記事を紹介する。

     皇紀2683年8月24日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

まるでEVの墓場、中国都市部に大量の廃棄車両-急成長の負の遺産

Linda Lew、Chunying Zhang、Dan Murtaugh によるストーリー •34 分

(ブルームバーグ): 中国浙江省の省都、杭州の郊外にある古びた小さな寺院からは、膨大な数の電気自動車(EV)が雑草やゴミの中に放置されている光景が一面に見渡せる。それはまるでEVの墓場のようだ。

  中国国内の少なくとも6都市に、不要になったバッテリー駆動車の似たような集積地がある。杭州のそうした場所には、トランクから植物が生えるほど長い間放置された車もあれば、ダッシュボードの上にふわふわのおもちゃが置かれたままになっている車もある。

  こうした光景は、2018年の「シェアサイクル」バブル崩壊後の状況を思い起こさせる。当時は、巨大ハイテク企業の出資を受けてシェアサイクル事業を展開するオッフォやモバイクなどの新興企業の台頭と衰退を経て、何千万台もの自転車が川や側溝、使われなくなった駐車場に放置されていた。

  今回のEVの大量廃棄は、車両を所有していた配車サービス会社が経営破綻したか、より優れた機能とより長い走行距離を備えた新しいEVが各社から次々と発売され、時代遅れになりかけた車が増えたことが原因とみられる。急成長中の産業に資本が集中した際に起こり得る過剰生産と大量廃棄の顕著な例で、ここ数年の電気輸送の劇的な進歩を表す奇妙な記念碑でもあるかもしれない。

  約10年前、政府の補助金に引き付けられ、中国全土で何百社もの自動車メーカーが、既存企業も新興企業もこぞってEV事業に参入し、初期段階のEVを大量に生産した。比較的シンプルなタイプで、1回の充電で100キロ前後しか走れないバッテリーが搭載された車もあった。

  こうした車両を主に購入したのは配車サービス会社で、ドライバーにリースしていた。上海とシュツットガルトにオフィスを構えるコンサルタント会社、JSCオートモーティブのシニアアナリスト、ヤン・ホアン氏によれば、「中国EV市場の初期段階では、購入者は配車サービス会社が中心で、個人の顧客はわずかだった」という。

Ride-Sharing Bicycles on the Streets of Shanghai© Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  そうした需要を追い風に、EV業界はその後、飛躍的な成長を遂げた。中国は今やクリーンカーの世界的リーダーで、昨年のEV・プラグインハイブリッド車の生産台数は約600万台と、国内で販売された新車の3台に1台程度。世界のEVの60%を占め、地球上で最も広範なEV充電インフラを有している。そうしたインフラも政府支援で整備された。

  しかし、その急激な発展は多くの犠牲を伴った。EVをいち早く導入した配車サービス会社の多くは廃業した。中国のEVメーカーは現時点で100社前後と、19年の約500社から減少している。

  EVの墓場はそうした再編の負の遺産だ。単に見苦しいだけでなく、EVが生産時に温暖化ガスを大量に排出し、内燃機関車に対する優位性が生じるには数年かかることを考えれば、すぐに廃棄されれば気候変動面のメリットが少なくなる。また、各車両の使用済みバッテリーにはニッケルやリチウム、コバルトなどの希少金属が含まれており、これらの金属をリサイクルすることで中国のEV産業をより環境に優しいものにできるはずだ。

  地元メディアの報道によると、杭州市政府は19年に増え始めた廃棄車両を処分すると表明している。しかし、ブルームバーグ・ニュースの記者が先月末に同市を訪れた際に衛星画像を精査した結果、市内の余杭地区と西湖地区に放置されたEVで埋め尽くされた場所が数カ所見つかった。

  米テスラが中国に進出し、20年初めに上海の自社工場で生産を開始する以前、中国で生産されるEVの大半は小型で低品質だった。見栄えの良い内燃エンジン車がちまたにあふれる中、EVは消費者にとって魅力的とは言い難かった。

  EVの普及に弾みをつけるため、政府は2000年代後半、1台当たり最大6万元(約120万円)の補助金を支給し、一部の大都市でガソリン車の保有を制限し始めた。自動車メーカー各社は配車サービスを手掛ける新興企業数社を設立・支援し、そうした企業は自社の車両に自動車各社のEVを採用した。

  ところが19年になって、政府はEV購入への補助金を軒並み削減し始めた。多くの配車サービス会社は政策変更への備えができておらず、資金繰りに深刻な打撃を受けた。「そうした企業は生き残れなかった」とフアン氏は述べた。

  その年にEVの墓場に関するニュースがインターネットユーザーや地元メディアから流れたことで、世間の注目が集まり始めた。

  格付け会社フィッチ・レーティングスの中国企業調査ディレクター、ジン・ヤン氏は今ではEVの墓場が存在すると聞いても驚かないという。

  タクシー会社やフリート運営業者が採用したことで、EVが安全な選択肢であることを消費者に知らせることができたと同氏は説明。消費者向けのEV市場がまだなかった時代に、メーカーがEV関連技術に投資する動機となり、需要拡大の基盤を築いたと付け加えた。

  深圳市在住の写真家、ウー・グオヨン氏は18年に山積みの放置自転車をドローンで撮影し、開発ブームに起因する大量廃棄の記録を中国でいち早く映像に収めた。19年には杭州のほか、江蘇省の省都である南京周辺の空き地に置かれた何千台ものEVの映像を空撮した。

  同氏はインタビューで、中国の資本市場は開放された当初は小さかったが、今では無秩序に調達された資金が 「津波」のように押し寄せていると指摘。「シェアサイクルやEVの墓場は、制約のない資本主義の結果だ。資源の浪費や環境へのダメージ、富の消失は当然の帰結だ」と語った。

原題:China’s Abandoned, Obsolete Electric Cars Are Piling Up in Cities(抜粋)

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©2023 Bloomberg L.P.

早くも出現した「シェアカーの墓場」

自動車メーカーに一定割合のEV(電気自動車)の製造と販売を義務付けるという強引な方法でEVシフトを進める中国。すでに各都市でEVカーシェアリングサービスが始まっている。しかし、すでに故障した自動車が捨てられる「シェアカーの墓場」が出現したと話題になっていると車聞百暁生が報じた。


強引にEVシフトを進める中国

中国は政府主導でかなり強引な形でEVシフトを進めている。2019年から、各自動車メーカーに一定割合の新エネルギー車の製造と販売を義務付けるというとものだ。しかし、まだ個人でEVを買おうという人は少ない。今年の1月から7月まで新エネルギー車の販売台数は49.6万台でしかない。今年上半期の自動車全体の販売台数は1406万台で、新エネルギー車の割合は3.5%にしかすぎない。しかも、その多くは配達系企業やカーシェアリング企業などの法人需要ではないかと見られている。


▲新エネルギー車のカーシェアリング「GoFun」。すでに50都市以上でサービスを展開している。


シェアカーの墓場が誕生する不安

このような事情を受けて、各都市で新エネルギー車のカーシェアリングサービスが続々と始まっている。一般の消費者にとっては、扱いの難しいEVをいきなり所有するよりは、短時間レンタルをして試してみたいという需要があるということを見越したものだ。

ところが、当初から不安視する声があった。それは中国で一気に普及したシェアリング自転車と同じことが起きるのではないかという心配だ。シェアリング自転車は当初「どこでも乗り捨て可能」にしたので、道路のあちこちに自転車が放置されることになった。そして、故障なども放置され、市当局が違法駐輪や廃棄同然の自転車を回収して、遊休地に集積する「シェアリング自転車の墓場」が各地に出現している。

本来は、シェアリング自転車企業が経費を払い引き取るべきだが、膨大な数であるために資金が捻出できず、放置されたままになっているのが現状だ。

シェアリング自転車というサービスそのものは、市民の間に定着し、今でも便利に使われているが、ofo、Mobikeともに経営状態は苦しく、現状のサービスを維持することで精一杯になっている。


▲全国各地に出現したシェア自転車の墓場。シェアカーでも同じことが起きるのではないかと心配されている。


ネットにアップされたシェアカーの墓場の写真

シェアリング自転車の墓場が出現した最大の理由は、各企業が競争に勝つために需要を無視した過剰な台数を供給したことが原因だ。EVカーシェアも似たような状況になりつつあり、自動車の墓場が出現するのではないかと心配されていた。

そして、山東省煙台のネットワーカーが、自動車の墓場を発見し、その写真をネットにあげたことが話題になっている。

その写真は、林の中に乱雑にシェアカーとともに一般の車も止められているもので、人通りの少ない寂しい場所だからか、タイヤが外されて盗まれてしまっている車もある。


▲発見された「シェアカーの墓場」。タイヤが持ちされてしまっている車もある。



▲乱雑にシェアカーが停められているが、実はここは公共駐車場だった。駐車場としての整備が追いついていない。


荒れ果てている公共駐車場

ところが、これは自動車の墓場ではなく、公共駐車場であり、シェアカーをここで乗り捨てていいことになっている場所なのだという。中国の都市はどこでも市内の駐車場が圧倒的に不足をしている。そのため、町外れに空き地があれば、とにかく公共駐車場にしてしまい、需要を満たし、駐車場としての整備は後から考えるしかなくなっている。

しかし、管理もまったくされていないため、タイヤが盗まれたり、車が荒らされたりしてしまう。


▲汚れ、へこみがあるのは、シェアカーでは当たり前になりつつある。



▲中も汚い車が増えている。なぜかシートカバーが破かれている。


問題続出のカーシェアリング

カーシェアリングに対する利用者の印象は悪い。シェアカー企業は、駐車ステーションを確保して、そこに自動車を配置した後は、ほとんど管理をしない。シェアリング自転車やシェアリング雨傘感覚なのだ。

そのため、外装の汚れ、凹みがある車は当たり前。それはまだ許せるものの、内装も汚れていたり、破れていたりする。さらに整備まで丁寧ではないので、高速道路で故障してしまい、レッカーを要請するという事態まで、ネットで報告されている。しかも、そのレッカー費用を、カーシェア企業が支払うか、利用者が支払うかでトラブルになっている。

▲あるネットワーカーが、公開した写真。3月18日にGoFunを利用し、高速道路を走行中に、突然、ボンネットが開き、前が見えなくなり緊急停車。閉めようと思っても、ノッチが壊れていて閉まらないという事態になった。
▲コールセンターに連絡をすると、交通警察を呼んでくれという一点張り。交通警察は民間のレッカー業者を呼んで、近くのカーシェアステーションまでレッカーをした。その料金が410元(約6700円)。利用者は当然カーシェア企業が支払うと思っていたが、カーシェア企業側は、なぜか利用者に請求をしてきた。



▲カーシェア企業は、スマホ決済で勝手に410元を引き落としてしまった。投稿者は納得がいかないと怒っている。


良心を引き出すデザインが必要になる

日本のカーシェア企業では、車内がきれいであったかどうかのアンケートを乗車後に実施し、回答するとポイントが付与されるなどの仕組みがある。きれいであったということは、その直前に乗った利用者のマナーがよかったわけだから、その人にもポイントが付与される。こういう仕組みがあると、前の人のゴミですら放置せずに処分をするようになっていく。

中国のカーシェアのマナーが悪い理由を、「中国人の民度」に求めるのは簡単だが、良質のマナーを引き出すには、日本のカーシェア企業が行なっているような「良心を引き出すデザイン」が必要だ。

中国のカーシェア企業がそのようなデザインをしていけるかどうか。カーシェアによりEVのイメージが悪くなると、来年以降のEVの個人購入が伸び悩む。個人需要が伸びなければEVシフトそのものが失敗に終わることになるので、中国のEVシフトにとって、今、とても大切な時期になっている。

2030年代に入っても「EVが主流になることはない」これだけの理由豊田章男トヨタ社長の懸念に応える

PRESIDENT Online

12月17日、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)がオンラインで記者団の取材に答え、政府が2050年に温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にする目標を打ち出したことに対し、「自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまう」「日本は火力発電の割合が大きいため、自動車の電動化だけでは二酸化炭素(CO2)の排出削減につながらない」と懸念を示し注目を集めた。電気自動車(EV)へのシフトは本当に現実的なのか? 戦略プランナーとして30年以上にわたりトヨタ、レクサス、ソニー、BMW、MINIのマーケティング戦略やコミュニケーション戦略などに深く関わり、話題作『マツダがBMWを超える日』(講談社+α新書)などの著作で知られる山崎明氏は、メーカー・ユーザー両方の状況をよく知る立場から、世界的にEVが主流になるとの見方に対し4つの疑問を投げかけ、中国もHVを重視する方向に転じた事実に目を配るべき、と指摘する──。

「2030年代に自動車の主流はEVに」への大きな疑問

日本も2030年代半ばには販売される自動車をすべて電動車とする方針──こんなニュースが駆け巡った。一部で「ガソリン車販売禁止」と報道されたこともあり、混乱もあったが、ただし、電動車にはハイブリッド車(HV)も含まれるため、純粋な電気自動車(EV)がどの程度の比率になるかは不明だ。

一方、イギリスは2035年にはHVも禁止し、すべてをゼロエミッション車とする方針を打ち出し、米カリフォルニア州も同様に2035年にすべてをゼロエミッション車にすると表明している。

このような方針のもと、向こう15年ほどで急速にEVシフトが起き、EVが自動車の主流になる、という論調が最近目立っている。しかし本当にEVは主力になるのだろうか。私はいくつかの理由で疑問に感じている。


写真=iStock.com/deepblue4you※写真はイメージです

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第1の疑問:果たしてCO2対策の切り札といえるのか

EVを普及させる目的は、ひとえにCO2排出量削減である。それ以外の目的はない。そのための切り札がEVだ、と一般的には考えられている。しかし、果たして本当にそうなのだろうか?

EVは確かに、走行時に一切CO2を排出しない。しかしCO2排出量を考える時、一つ考慮しなければいけない重要な点がある。リチウムイオンバッテリーの生産には多くの電力が必要で、その電力が火力由来の場合、生産時に大量のCO2を排出してしまうのだ。

バッテリーの搭載量が大きければ大きいほどCO2の排出量は多くなる。ノルウェーのようにほぼすべての発電が水力の国や、フランスのように原子力発電が多くを占める国を除けば、まだ火力発電の比率はかなり高いのが現状である。

■EV化によるCO2削減効果は思いのほか小さい

これは生産だけの話ではなく、実際の走行に使われる電気もカーボンフリーではないことを意味する。またリチウムイオンバッテリーはリサイクルの際に加熱処理が必要で、多くのCO2を排出する。

生産から使用、廃棄にいたるライフサイクル全体で見た場合の試算がいろいろ出ているが、概してみると、現状の発電構成でもEVのほうが一般的内燃機関車よりCO2排出量が少ないという結論が多いようだ。

どの程度削減できるのだろうか。EVSmartBlogというサイトが行った試算では、新世代ガソリンエンジンであるマツダSKYACTIV-X搭載車とテスラ・モデル3の比較で走行9万~11万kmでEVのCO2排出量が少なくなるとしている。

ボルボのEVブランド、Polestarも同様の試算をしており、現在の世界の発電状況ではEVがガソリン車を下回るのは11.2万kmとしている。ちなみに100%クリーン発電になっても、5万kmまではEVのCO2排出量のほうが多いという。どちらもEVに積極的な立場での分析の結果である。

最近の車は耐久性も向上し、10万kmどころか20万km近く走る例も少なくないようなので、長期的に見ればEVのCO2排出量が少なくなるのは間違いない。また、今後クリーン発電が増えればより短い距離でガソリン車と肩を並べるようになるであろう。

しかし思いのほか差が少なく、EV化によるCO2削減効果はそれほどでもないという見方もできないだろうか。

■「バッテリー性能問題」と「既存システムの進化の可能性」

さらに、バッテリー寿命は使い方によって大きく異なるため(急速充電が多いと寿命が短くなる)20万kmもつかどうかという問題もある。もし10万km程度で交換ということになれば、CO2削減効果はチャラになってしまう。そもそも日本では、13年以上の古い車は重課税がかかるので、10万km走る前に廃車になってしまう車が依然として多いのだ。

またテスラのような大型バッテリーを搭載した車は、バッテリー保護のため空調機能を搭載している。これは駐車中にも動作することがあり、車を一切使っていなくても一定の電気を消費している。

テスラの場合、さまざまな情報を総合すると1日あたり1~4%の電力を消費するようだ。つまり、乗らなくても25~100日放置すればバッテリーは確実に空になる。これは内燃機関にはないエネルギー消費で、この点も考慮する必要がある。

一方で内燃機関も効率を上げており、ハイブリッド機構と組み合わせた場合、たとえばトヨタ・ヤリスは実際の走行でも30km/Lを超える数字を出しているようである。

上記ライフサイクル比較ではガソリン車の燃費を15.3km/Lと仮定しており、それより2倍燃費が良いHVとの比較なら、EVは20万km程度でようやくガソリン車を越えることになる。もちろん、サイズが異なるテスラ・モデル3とヤリスハイブリッドとの比較はフェアではないが、現在モデル3は最も電費の良いEVなのである。

これらの事実から考えると、さまざまなデメリットのあるEVを普及させる価値があるのかと疑問がわいてこざるを得ない。一方、HVなら、通常のガソリン車とまったく同じ使い勝手で使えるうえ、バッテリーは小さくて済むので価格の上昇もそれほどでもなく、バッテリー廃棄の問題も少ない。そして、SKYACTIV-Xのようにまだまだ内燃機関が進歩する可能性も、HVシステムがより効率化する可能性も残っているのだ。

中国信託業界の損失、5.5兆円に拡大も-世界2位の経済大国に脅威

Bloomberg News によるストーリー •58 分

A building which houses the headquarters of Zhongzhi Enterprise Group Co. in Beijing, China, on Tuesday, Aug. 15, 2023. China's banking regulator has set up a taskforce to examine risks at Zhongzhi, one of the nation's top private wealth managers, after its unit Zhongrong International Trust Co. missed payments on multiple high-yield investment products.© Bloomberg

(ブルームバーグ): 2兆9000億ドル(約420兆円)規模に上る中国の信託業界が世界2位の経済大国に対する新たな脅威として浮上しつつある。

  1979年の設立以降で少なくとも6度の再編を経験した中国の信託セクターは新たな損失に直面しており、ゴールドマン・サックス・グループのアナリストらは損失が380億ドル(約5兆5000億円)相当に膨らむ可能性があると分析している。

  中植企業集団と同社系の中融国際信託は先月以降、多くの高利回り投資商品で支払いを停止し、北京市内では異例の抗議活動も起きた。

中国の中植企業集団が債務再編を計画、KPMG起用-関係者

  中植は1兆元(約20兆円)超を管理しているほか、富裕層や資金繰り難の不動産開発会社、他の金融機関と複雑な関係を維持してきた経緯もあり、幅広い金融業界に問題が伝染し始めているのでないかとの懸念が広がっている。

  オリエント・キャピタル・リサーチのマネジングディレクター、アンドルー・コリアー氏はブルームバーグテレビジョンで、「シャドーバンク(影の銀行)と銀行自体に危険な共振が生じるだろう」と指摘。「これは今年後半に起き、非常に厄介なことになりそうだ」と述べた。

原題:China Braces for $38 Billion in Losses in Troubled Trust Sector(抜粋)More stories like this are available on bloomberg.com ©2023 Bloomberg L.P.

中国の信託会社の支払い遅延が市場を揺るがした理由-QuickTake

Lisa Du

2023年8月15日 12:15 JST

From

  • 2.9兆ドル規模の業界、中国シャドーバンキングの一部

  • 不動産開発業者に関連する投資商品、過去にデフォルトも

中国の規制当局は長年、2兆9000億ドル(約422兆円)規模の信託業界を管理しようと試みてきた。この業界は中国のシャドーバンキング(影の銀行)の一部で、通常の銀行預金よりも大きなリターンを提供するが故に、リスクを伴う可能性がある。資産運用会社大手の中植企業集団の傘下にある信託会社が今月、複数の高利回り投資商品の支払いを滞らせたことで、懸念は浮き彫りとなった。世界2位の経済大国である中国の経済が懸念されるという微妙な時期の展開でもある。

1. 信託会社とは何か?

家計の貯蓄を集めて融資に回したり、不動産や株式、債券、商品に投資したりする規制が比較的緩い会社を指す。これらすべての資産クラスを扱う中国の金融会社は他にない。かつてこの業界は中国の富裕層にとって、多額のリターンを得るために資金を預ける安全な場所と見なされていた。しかし信託会社は近年、何十億ドルもの投資商品でデフォルト(債務不履行)に陥り、規制当局が中国のシャドーバンキングの行き過ぎを取り締まり始めた2017年のピーク時と比べ、業界規模は約20%縮小している。

2. 中植とは?

信託会社やウェルスマネジメント、プライベートエクイティー(PE、未公開株)に関与するシャドーバンキングの大手。北京を本拠とし、解直錕氏が1995年に創業した。解氏が心臓発作で亡くなった2021年は、新型コロナウイルスやそのパンデミック(世界的大流行)を受けて中国経済が減速、資本市場のボラティリティーが高まった。現在は約1兆元(約20兆円)を運用している。主要投資先の一つが33%出資する中融国際信託であり、データプロバイダーのユーストラストによると、同信託では270商品、総額395億元が年内に償還期限を迎える。これら商品の平均利回りは6.88%と、銀行の1年物預金金利1.5%を大きく上回る。

3. 中植と中融の何が問題なのか?

中融を含め中植の関連企業が発行した商品の支払いを受けられなかったと、顧客3社が11日に開示。中融は現状についてほとんど公表していないが、同社が営業不可となっているとの偽の書簡がソーシャルメディア上に出回っていることを認識していると明らかにしている。同社ウェブサイトの発表によると、これについて当局に報告した。ソーシャルメディアに出回った真偽不明の書簡1通の中で、中植の資産運用担当者は顧客に謝罪し、グループの資産部門が7月中旬以降、すべての商品で支払い遅延を決定したと説明。同書簡によると、影響を受ける投資家は15万人以上、投資残高は2300億元に上るという。

4. 政府は何をしているのか?

この問題に詳しい関係者によると、中国の国家金融監督管理総局(NFRA)は、中融の債務残高とリスクを調査する作業部会を設置した。同当局は中融に対し、将来の支払い計画と、流動性不足に対処するために処分可能な資産について報告するよう求めたという。

5. なぜ中国にとって重要なのか?

中国政府は、同国経済への信頼回復を迫られている。投資家は、新型コロナ関連規制からの回復ペースの遅さと、巨大な不動産セクターで続く弱さを警戒している。中国の7月の銀行融資は09年以来の低水準に落ち込み、企業と消費者の需要が衰えていることを示している。同国有数の不動産開発業者である碧桂園は、債務不履行の危機に瀕している。中植の危機は、シャドーバンキング業界がこうした問題に対応できる能力に欠け、一部での動揺がすぐに連鎖して広範な信用危機を引き起こす「伝染」リスクを高めているのではないかとの認識につながっている。不動産業界における金融不安は比較的収まっているものの、信託会社や資産運用会社における問題は、個人投資家や富裕層、企業に広がる恐れが大きい。

6. 不動産危機が中植の問題の根源か?

まだ、はっきりしていない。分かっているのは、中国の信託会社は不動産開発業者に関連する投資商品を提供しており、過去に債務不履行に陥ったことがあるということだ。中融の年次報告書によると、同社の信託運用資産6290億元の11%を不動産が占めている。同社は昨年、少なくとも10件の不動産プロジェクトに出資。最終的にこれが、投資家に発行した2300億ドル相当の不動産担保ファンドの一部支払いに充てる現金を生み出すことに賭けた。期待された不動産市場の回復は、今のところ実現していない。

参考文献・参考資料

まるでEVの墓場、中国都市部に大量の廃棄車両-急成長の負の遺産 (msn.com)

早くも出現した「シェアカーの墓場」 - 中華IT最新事情 (hatenablog.com)

2030年代に入っても「EVが主流になることはない」これだけの理由 豊田章男トヨタ社長の懸念に応える | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

中国信託業界の損失、5.5兆円に拡大も-世界2位の経済大国に脅威 (msn.com)

中国の信託会社の支払い遅延が市場を揺るがした理由-QuickTake - Bloomberg

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