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政治(防衛)講座ⅴ407「いよいよ宇宙戦争の領域に突入」

 GPSなどの先端技術がこれ程成果を上げているとは素人には想像も及ばなかった。ウクライナ軍が強くロシア軍が予想に反して弱いのは、先端技術の為せる技であるとは驚きである。今回は戦略めんでGPSを取り上げる。

           皇紀2682年10月6日
           さいたま市桜区
           政治研究者 田村 司  

はじめに

先月ハワイ旅行で真珠湾記念館などを見学してきた。日本海軍の戦闘の戦術の高さを評価していたが、政治的な戦略で劣っていたと言われている。その分析については後日にする。露西亜の劣勢は、戦略実現の技術力が劣勢であったことがこの報道記事で理解できた。

経済制裁で負けたロシア軍、GPS誘導兵器に圧倒的格差

西村 金一 - 3 時間前

 ロシア軍は、電子戦妨害システムを使って、2014年のクリミア侵攻以来、ウクライナ軍が使用するGPS信号の妨害を行ってきた。

ロシア軍を震え上がらせている米軍供与のHIMARSから発射された
ロケット(2021年5月31日撮影、米海兵隊のサイトより)© JBpress 提供

また、今年の2月24日の侵攻前からも、妨害を行っている。GPS誘導兵器の弱点は、全地球測位衛星(測位衛星)から送られるGPS信号が妨害されたとき、機能が停止してしまうことだ。
米国宇宙軍によれば、「ロシア軍は、測地衛星への攻撃を実施していないが、ウクライナ国土内で、GPS信号に対して攻撃している」という。
ロシア軍は、ウクライナ軍にGPS信号を使わせたくないのだ。
民用のドローンが電子戦攻撃により墜落したという情報はあるが、軍用のGPS誘導兵器が撃墜されたという情報はほとんどない。
ロシア軍の妨害は、ウクライナ軍のGPS誘導兵器の機能を実際に妨害・停止させているのか。現実のGPS妨害では、どのようなことが起きているのかについて分析する。

1.ウクライナ軍のGPS誘導兵器「New King of Battle」

 砲兵(Field Artillery)は、「King of Battle」と言われてきた。

 火砲は、遠く離れたところから、敵部隊を攻撃し破壊することができるからだ。戦場では、多くの火砲で多くの弾丸を撃ち込めば、戦況を有利にすることができる。ロシア軍は当初、各戦線で大量の砲弾を撃ち込んでウクライナ軍を制圧、反撃を止めていた。

 ところが、米軍からHIMARS(High Mobility Artillery Rocket System=高機動ロケット砲システム)などが供与され、この射撃によりロシア軍の多くの火砲や弾薬庫が損害を受けた。これらが破壊されてから、ウクライナ軍の反撃が始まり、領土を奪回しつつある。
欧米から供与されたHIMARSなどは長射程で、正確に目標に命中させることができる。従来の火砲よりも約2倍の距離を飛翔して目標に命中することから、その威力は飛躍的に増加した。「New King of Battle」が出現したのだ。長射程GPS誘導兵器を装備することにより、これまで攻撃することができなかった敵の指揮所や弾薬庫までも標的にして攻撃し、破壊することができる。また、砲弾は飛翔速度が速く弾自体が小さいために、防空兵器でも撃墜できない。

2.GPS誘導兵器保有の軍が戦場を支配

 米欧から供与された精密誘導兵器であるHIMARS、長射程誘導砲弾と砲、各種機能を有する無人機が活躍している。現在のウクライナ軍とロシア軍の戦いを見ていれば分かるように、劣勢であったウクライナ軍は優勢になってきた。ウクライナ軍はこれまで、HIMARSを16基保有していた。そこにさらに米国から18基が供与されることになった。16基のHIMARSや長射程誘導砲弾だけで、戦局が大きく変わりそうなのに、数量が2倍以上になることで大きな変化が期待できる。一方、ロシア軍は、GPS誘導の兵器であるイスカンデルなどの短距離弾道ミサイル、オルラン型自爆型無人機を保有している。しかし、先端技術が必要な部品が入らないことから、多くのミサイルを製造できてはいない。軍が求める数量を調達できないでいる。また、ロシアの多連装ロケット砲やカノン砲は従来の火砲の性能であり、GPS誘導機能や射程延伸の能力はない。そのため、米欧から供与されたウクライナ軍のHIMARSなどと比べれば、射程はほぼ半分で、命中精度は比較にならないほど悪い。したがって、ロシア軍の砲兵はウクライナ軍に重大な損傷を与えられないでいるのだ。ロシア軍は、GPS誘導兵器の劣勢をどのようにして補っているのか。9月、イランから「シャハド136」などの無人機を数百機導入し、ウクライナの都市攻撃に使用している。この兵器は2019年9月、テロ組織のフーシ、あるいはイランがサウジアラビアの石油施設を攻撃したものと形が全く同じものだ。これに対し、ウクライナ軍は中短距離防空兵器である程度の数の無人機を撃墜している。GPS誘導兵器を保有している軍が戦場を支配できる。保有していなければ、戦場で敗北することになる。

ロシアがイランから輸入して攻撃に使用している無人機

出典:サウジアラビア国防省、
riam.tv news、opex360.com© JBpress 提供

(図や写真が正しく表示されない場合にはオリジナルサイト=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72127をご覧ください)

3.GPS誘導兵器の弱点

 米国から供与されたHIMARSなどや自爆型無人機は、高度2万キロに位置する多数の全地球測位衛星、特にその内の3機から信号(米国の場合はGPS信号)を得ている。GPS誘導兵器は当初、目標の座標がセットされて、概ねその位置に向かって飛翔する。その後、目標の位置とロケットの飛翔位置の差をGPS信号により確認しつつ、その差を縮めるように飛翔していく。これらの兵器の最大の問題は、GPS誘導信号が得られなくなれば誘導できなくなることだ。射撃精度の誤差が大きくなり、目標に命中しにくくなる。

GPS兵器と測地衛星の運用システム


出典:筆者作成© JBpress 提供

 もしも、軍用のGPS信号がロシア軍に妨害され、HIMARSなどのGPS誘導兵器が使えなかったならば、ウクライナ軍の反攻は不可能であったろう。
GPS信号妨害の可否は、表立ってはいないが戦闘の勝敗に大きく左右する

4.各種無人機もGPS誘導が不可欠

 無人機の場合は、セットされた位置まで飛翔し、その後装着されているカメラで写した動画映像が指令所に伝えられる。指令所の操作員が送信されてきた映像から、目標を定めて攻撃する。自爆型は、無人機ごとに目標に突入し、攻撃型は目標に向けてロケットを発射する。理論的には、測地衛星から送られてくるGPS信号を妨害電波で断ち切れば、GPS誘導ができなくなる。ロケットや弾は、当初決められた位置に飛翔するが、命中精度はGPS誘導ほど正確ではなくなる。無人機であれば、操作不能になり落下することになる。ロシア軍は、「Orlan-10/20/30」、「Eleron-3」、「Forpost」の無人機を保有していたが、電子妨害や防空ミサイルにより、ほとんど撃墜された。現在は、イランから無人機を輸入して、作戦に使用している。イランの無人機は、昼夜を問わず撃墜されている。防空レーダーに捕捉されれば、いずれかの手段で撃墜される。ロシア軍はGPS信号妨害にも敗北しているのだ。

5.ロシアのGPS信号妨害、効果のほどは?

 ロシア軍は、GPS信号を妨害できる兵器を保有しているという。その範囲は、広範囲なもので200キロ四方の範囲、狭い範囲なもので数十キロまでというものである。GPS信号を混乱させる「成りすまし」もある。また、測位衛星を破棄できるキラー衛星もある。これらの信号妨害兵器やキラー衛星は、実際にどのような影響を与えているのだろうか。

(1)測地衛星の破壊

 GPS誘導を妨害するには、3基の衛星のうちの1基を破壊すること、あるいは信号を妨害する方法がある。測地衛星は、全世界で数量が24基以上で構成されているために、もし1基が破壊されたとしても、他の衛星で補完することができる。このため、測地衛星を破壊することによって、GPS信号を止めることは難しい。もしもロシアが米国の衛星を破壊することがあれば、宇宙戦争に発展する可能性があり、ロシアの衛星も破壊されることになる。そうなれば、国家の機能がマヒすることになる。ロシアはキラー衛星を保有しているが、現在は実施していない

(2)GPS信号の妨害

 GPS信号の妨害は、広域妨害と狭域妨害がある。実際にウクライナ軍は、2014年に航空システムの妨害を約240キロの範囲で受けた。また、無人機は、1~30キロの範囲で妨害を受けた。ロシアは、約200キロ四方の範囲を妨害することができるという情報がある。しかし、ウクライナでHIMARSや自爆型無人機などがロシア軍を痛め続けていることを考えると、実際の戦場では機能してはいないことになる。
 その理由は
軍事用のGPS信号には効果がない
「MiG-29」戦闘機から発射される対レーダーミサイルの射撃を受ける脅威があり、使用を制限している。
使用すると、自軍のGPS誘導兵器にも支障を及ぼすからだろう。

ロシア軍が期待するGPS信号の広域妨害(イメージ)


出典:筆者作成© JBpress 提供


 ロシアやウクライナ軍(米軍供与)は、GPS信号の狭域妨害兵器を双方とも保有している。1~30キロの範囲で妨害が可能だ。とはいえ、民用のドローンには効果があるが軍用にはほとんど影響しない。この兵器は無指向性なので、使用すれば自軍も影響を受ける可能性がある。また、数量にも限りがあるので、すべての地域に配置することは不可能だろう。

ロシア軍が期待するGPS信号の狭域妨害(イメージ)


出典:筆者作成© JBpress 提供

6.ウクライナ軍GPS誘導兵器に妨害なし

 GPS妨害を受けた場合、信号自体に抗堪性(こうたんせい=航空基地やレーダーサイトなどの軍事施設が敵の攻撃に耐えてその機能を維持する能力)を持たせること、送信周波数を変更すること、特殊な変調をとりいれることにより、妨害を避けることができる
 ウクライナ軍のHIMARSなどの精密誘導兵器は、妨害されることなく正確に目標に命中している。
その証拠として、ロシア軍が占拠している橋梁、弾薬庫、指揮所が狙われて、破壊されている。
ということは、ウクライナ軍のGPS誘導兵器は妨害を受けてはいないことになる。
スイッチブレード自爆型無人機は小型で、高速であること、信号に抗堪性などを持たせていることから、妨害やミサイルで撃墜されている情報はほとんどない。イランから導入したロシアの無人機は、ウクライナ軍の短中距離防空ミサイルで撃墜されている。

7.経済制裁が左右する現代戦

 勝敗の決め手となるHIMARSなどのGPS誘導兵器においては、ウクライナ軍が有利だ。
ロシア軍がGPS誘導兵器を破壊できる可能性があるのは、イスカンデルなどの短距離弾道ミサイル射撃だけだが、数量が不足し能力を発揮できないでいる。
力を発揮するためには、GPS誘導兵器の発射装置の位置をリアルタイムに発見することが必要だ。 しかし、無人機がウクライナに入っても防空ミサイルで撃破され、ウクライナ奥深くまで入っていけないのだ。このウクライナの有利性は、当分の間、変わることがないであろう。
 ロシアが欧米の先端電子技術部品を輸入できなければ、GPS妨害兵器の改良も修理もできないのだ。
欧米の経済制裁は、ミサイル兵器ばかりではなく、現代戦の勝敗を左右する、各種電子戦にも大きな影響を与えている

ウクライナ軍が保有するこれらの兵器の装備数が増えれば、ロシア軍の不利は続く。
ロシアが訓練をまともに行っていない予備役兵の30万人を集め、戦闘地域に送ったところで、ウクライナ軍砲兵の射撃を受けて、ロシア軍兵の被害が増加するだけだ。ロシア軍の不利は変わらない。訓練されていない兵の数で、兵器の技術的な差を埋めることなどできないのだ。

My opinion

 露西亜は第二次世界大戦に経済制裁を受けた日本のようである。石油資源もないままに軍艦を動かせないことは分かり切っていた。
結局、戦艦大和、戦艦武蔵も海の藻屑と化したのである。政治的戦略を考えたら大失敗である。
兵法第三十六計「逃げるに如かず」、当時台頭したソ連と支那共産党の脅威を理解させ、米国に戦わせて漁夫の利を得る戦略を採るべきだった。
「韓信の股くぐり」という実例があるではないか。短気な日本の陸軍・海軍の戦略ミスである。
 政治に首をつこっみ、慣れない政治判断をした未熟な戦略ミスと言わざるを得ない。
 250万人の英霊に深く陳謝すべきは軍部上層部であろう。
一般の軍人までが「統帥権干犯」などと騒ぎ、5・15事件や2・26事件などのクーデタを起こし軍人が政治に係わり過ぎたのが、日本の方向を歪めた原因であると思うのである。  どんとはれ!

参考文献・参考資料

経済制裁で負けたロシア軍、GPS誘導兵器に圧倒的格差 (msn.com)

宇宙 - Wikipedia

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