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政治講座ⅴ1102「保護主義化が米国を衰退に導く」

保護主義というと米国の自動車のビック3を思い出す。
アメリカ車の歴史を支え続けたビッグ3といわれるメーカー「GM」「クライスラー」「フォード」は、3社だけでほとんどアメリカ市場を独占してきた。しかし、日本車の燃費などの性能に劣るビック3は政治力で日本に輸出規制の圧力をかけた。日本は止む無く数量を自主規制で対応した。その1回だけでなくその後も米国の自動車の不振が続いて2回目には結局延命したが破産になったのである。
ビッグスリー各社は、自動車ローンの延滞や焦げ付き、金融子会社・自動車リース事業の破綻、高コスト体質(改革は頓挫し結局改善されなかった)に苦しみ、財務内容は急激に悪化していき、巨額の損失を計上し経営危機に陥った。フォードは自力で生き延びたものの、GMとクライスラーは連邦倒産法第11章の適用申請、事実上の国有管理下となり、アメリカ合衆国連邦政府援助の下、復帰を果たすことになった。
アメリカのEV補助金は、企業努力を阻害して放漫経営となることは前述したビック3の例をみると分かることである。米国の広い大陸を長距離運転するにはバッテリによる電気エネルギでは賄いきれないのである。火力発電所を例にとると、発電から送電し充電するまでの熱効率は8%である。92%は無駄にエネルギーを捨てているのである。
いま、日本ではガソリンの内燃機関の自動車の熱効率は50%までの高効率を出している。そして今、合成燃料の開発が進んでおり、CO₂とH₂から作りだせるのである。
 具体的には、世界的に主流なのが間接変換で、フィッシャー・トロプシュ法(FT法)を用いるのが代表的な合成方法である。
この方法では、メタンから一酸化炭素(CO)と水素(H)からなる合成ガスを生成したのち、再合成してディーゼル燃料(軽油)やガソリンを直接生成する。
合成ガスの次にメタノールを経由するMTGと呼ばれる方法もあるが、コスト面からFT法が有利とされる。
 メタンは天然ガスからの改質でも生成可能であるが、CO2とH2を合成して製造(メタネーション)するのが有用である。
 二酸化炭素の調達先は、工場や発電所などから排出される二酸化炭素と、大気中の二酸化炭素がある。
これにより、二酸化炭素による地球温暖化を直接的に抑制することも期待される。調達には、研究開発中の二酸化炭素回収・貯留・利用(CCUS)技術や空気からのCO2分離回収(DAC)技術が求められ、ともに実用化にはコスト削減が課題である。
EV車を補助金で賄う政策は自由競争が国是の米国にはふさわしくなく社会主義的な産業育成政策は中国の国有企業をみると分かる通りモチベーションの低下につながり産業の発展には良くないと考える。必ず失敗するであろう。保護主義に頼らざるを得ないのは米国の産業の衰退を暗示させ、米国の没落を危惧させるのである。今回は報道記事から紹介する。

     皇紀2683年5月22日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

「米中分断」の結末は、なんとアメリカの「中国化」だった…!「歴史的大転換」のウラでアメリカ企業が食らう「毒まんじゅう」のヤバすぎる中身

岩田 太郎 によるストーリー • 

EV補助金で露骨な自国優遇

アメリカで、国家主導の「計画経済化」が進んでいる。それは現在の中国や戦時体制に突入したときの日本と次第に類似してきたようにさえ見える。

テスラのEV車工場。フォード、ゼネラルモーターズなどアメリカメーカーに手厚い補助金が支給される Photo/gettyimage© 現代ビジネス

アメリカでは、急速にEV化が進んでいる。2023年1~3月期の米国における新車販売のおよそ7%(22万5000台)に達した。EV車は、普及促進のため1台当たり最大7500ドル(約101万円)の連邦政府の補助金が支給されている。ところが、北米で生産されない日欧韓メーカーのクルマは、この補助金対象から外れている。
アメリカ企業のフォード、ゼネラルモーターズ、ステランティス、テスラのEVのみが補助金を受けられる。
 なんとも露骨な自国企業の保護政策になっており、自由競争も市場原理もあったものではない。

さらにバイデン政権は2022年10月に、EVに搭載する電池の国内生産拡大28億ドル(約3774億円)の補助金を交付すると発表。バッテリー生産に必須のレアアース(希土類)などを米国企業で生産できる体制を整え、「脱中国」を加速させている。

もっとも、中国のバッテリー大手のCATL(寧徳時代新能源科技)やGotion(国軒高科)が、中西部ミシガン州でフォード向けなどに、連邦政府の補助金を利用したバッテリー製造工場を立ち上げている。

米中戦争の際には米政府による接収が可能なものの、完全なデカップリング(経済的分断)にはまだなっていない。

アメリカ版「中国計画経済」の中身

ただし、AIにおいては顔認識など特定の分野を除いて、米国の民間のテクノロジーが中国を依然圧倒していると認識されている。
世界中で話題の生成型AIのChatGPTの商業的成功は、その証左だ。そのため、民間向けの補助金は少なめで、軍事用AIへ巨額の投資が行われている。

国立科学財団は11カ所の新しいAI研究所を発足させるべく、2億2000万ドル(約297億円)を投じる。連邦政府が半導体やEVなど他の先端技術に投じる補助金に比べれば、わずかであるが、米国防総省は2024年度向けに180億ドル(約2兆4263億円)のAI研究開発予算を米議会に対して要求しており、対中国・対ロシアなど地政学的緊張の高まりを受けて、兵器の自動化を急ぐ構えだ。

ここまで見てきたように、半導体、電気自動車(EV)、バッテリーなど最先端分野において連邦政府は民間を主に補助金による産業政策で牽引しており、米国の民間が世界をリードするAIにおいても、民間転用が可能な軍事プロジェクトに大きな予算を割きはじめた。

アメリカ連邦政府は、ソ連の「5カ年計画」、日本の「親方日の丸」、中国の「中国製造2025計画」ばりの準計画経済を具現化しているのだ。

先端技術はほとんど国家主導となった Photo/gettyimage© 現代ビジネス

アメリカが手に取った「毒まんじゅう」

中国との経済的関係を縮小させる「デカップリング」を目指した共和党トランプ前政権と、経済関係を発展させながら競争に勝つことを目指す民主党バイデン政権の考え方の違いはあるものの、米国の民間企業が独力で中国の産業政策に対抗できないという認識で、民主党と共和党は一致している。

また、イデオロギー的に産業政策に反対の共和党の賛同が得られているのは、半導体・EV・バッテリーの新工場の多くが共和党支配州に集中しているからだ。

まるで「親方日の丸」時代の日本の利益誘導政治だが、では「親方星条旗」は、その産業政策を成功させることができるのだろうか。

米シンクタンクの分析は決して楽観的なものではない。

国家主導の「落とし穴」

米ピーターソン国際経済研究所のギャリー・クロード・ハフバウアー上席研究員らがアメリカ産業政策の過去50年を振り返った論文(2021年11月)によれば、多くは惨敗という結果を招いていた。

成功を意味する「A」の評価が与えられているのは、ほんの一部で、日本などからの半導体輸入制限については「C」から「D」日本などからの鉄鋼輸入制限も「D」で、つまり効果なしと判断された。

産業政策には大きな「落とし穴」がある Photo/gettyimage© 現代ビジネス

特に興味深いのは、トランプ前政権下で台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)がウィスコンシン州に進出し、テレビ用大型パネルなどの製造で1万3000人の雇用と総額100億ドル(約1兆3480億円)の投資を謳い、州政府から8000万ドル(約108億円)の補助金を受けたケースだ。

同工場の計画は当初から具体性を欠いていた。現在でも768人しか雇用されず、撤退を余儀なくされている。累計投資額も7740万ドル(約104億円)にとどまった。ピーターソン国際経済研究所の評価は「B」から「D」で、事実上の不可だった。

やがて、アメリカでも補助金漬けで競争力を失ったゾンビ企業が大量跋扈するときがくるかもしれない。

敗戦直後に日本の知識人が指摘したこと

太平洋戦争でアメリカに敗れた日本で、敗戦から1年を経た1946年9月にまとめられた『日本経済再建の基本問題』という冊子がある。当時、日本のトップクラスの経済学者や官僚、財界人が議論を尽くして、編み上げたものだ。

そこでは、「今次大戦後においては各国の経済が全体として世界経済に包摂される傾向を示してゐる」「自律的ブロックに非ずして恐らくは世界的組織の下に立つ地域主義となる」との認識が示され、「人類社会が経済によって盲目的に支配される時代から、人類が意識的に経済現象を支配せんとする時代に移行しつつある」と予測されている。

この指摘は、米国主導で成立・維持されてきた戦後の自由で開かれた国際経済体制を見事に言い当てるものとなった。ところが、今や中国の台頭で自由貿易の総本山である米国が統制・ブロック化に傾いている。

米中デカップリングという「新たな鉄のカーテン」は東側ではなく、西側がひいたのであり、そのカーテンはテクノロジーにまつわる製品やサービスや人材の自由な往来や取引を阻み始めている。

それはある意味において、欧米の価値観の「敗北」と言えるのかもしれない。


近年の自動車産業の傾向

アメリカ車は自動車産業創設以来、自国の発展に伴って世界の自動車産業の中心的存在として君臨し、特に第二次世界大戦後の四半世紀は世界の自動車産業を牽引し、その普及と発展に大きく貢献した。

しかし、1970年代初頭のオイルショックによるガソリン高騰と排気ガス規制により、アメリカメーカーが得意としていたタフでパワーのある大排気量エンジンを積んだフルサイズカー(いわゆる大型車)には厳しい時代となり、世情に合わせてコンパクト化・省エネ化を目指すも、1970年代の終わりから1980年代初頭にかけて、この分野を得意とする日本車や西ドイツ車をはじめとする欧州勢にシェアを侵食されていった。

またこの頃のアメリカは、研究開発や設備投資など、すぐには利益に結びつかない長期的視野に立った経営手法よりも、株主視点で目先の利益確保に邁進する経営手法が席巻しており、これに加えて全米自動車労働組合(UAW)との馴れ合いによる慢性的高コスト体質(世界最高水準の人件費、手厚い年金・医療などの福利厚生)、自国市場の独自性、自国市場の規模の大きさに甘えた世界トレンド(小型化・パッケージングの効率化・安全性・信頼性・ダウンサイジングコンセプト・燃費向上に重きをおいた商品展開、など)とかけ離れた商品展開等が重なり、徐々に都市部を中心に、世界はおろか、自国ユーザーからも見放されていった。

1970年代〜1980年代前半にかけて、米国自動車産業は巨大な自国市場を頼りにするものの、世界展開には消極的であり、自身の庭とも云える自国市場のパイを歴史上はじめて外国車勢に奪われかねない厳しいシェア競争時代に突入していった。

1970年代末以降、コンパクトで燃費の良い日本車や欧州車にシェアを奪われていったが、1990年代に入り、アメリカ経済は株式市場の高騰・不動産バブルに沸き景気回復とともにミニバン、SUVなどの大型車需要が回復していった。同時にセダンなどの大型乗用車の需要も戻り、ビッグスリーは売り上げを伸ばし業績を回復させていった。

ビッグスリー各社は業績回復を追い風にこれまで前向きでなかった設備投資にも積極的に投資をするようになり、これによって1990年代前半から2000年代にかけて瞬く間に技術開発が進み、アメリカ車は他国に引けをとらない世界的な技術水準に到達することができた。

が、それは相変わらず自国市場で人気のある分野(ミニバン・SUV・大型乗用車)に限られており、一台辺りの利益率が低い小型車の研究開発には消極的であった。このことは自国市場が好景気のときは上手くいっても、いったん景気が後退し自国市場が特に大型乗用車の売れ行きが冷えた局面では厳しいものとならざるを得ない様相を含んでいた。

その後、2006年のサブプライムローン問題に端を発する、アメリカ不動産バブル崩壊、翌年のリーマン・ショックによる自国市場の急激な縮小(世界金融危機)が襲い掛かると、雇用情勢の悪化、破産件数の増大、等を招き、石油価格の高騰も重なって再びリーズナブルで燃費の良い小型車に需要が集まることとなった。

ビッグスリーは、販売台数こそ漸減傾向に過ぎなかったものの、利益率の高い中・高級車を中心にキャンセルが相次いだ。ビッグスリー各社は、自動車ローンの延滞や焦げ付き、金融子会社・自動車リース事業の破綻、高コスト体質(改革は頓挫し結局改善されなかった)に苦しみ、財務内容は急激に悪化していき、巨額の損失を計上し経営危機に陥った。フォードは自力で生き延びたものの、GMとクライスラーは連邦倒産法第11章の適用申請事実上の国有管理下となり、アメリカ合衆国連邦政府援助の下、復帰を果たすことになった。

クライスラーはUAW VEBA(全米自動車労組傘下ファンド)(67.69 %) 、フィアット(20 %)、アメリカ合衆国連邦政府(9.85 %)、カナダ政府 (2.46 %)から資本の援助を受けた。アメリカ合衆国連邦政府は、ビッグスリーを破産解消させる意思はないとされ、再生に必要な資金援助を積極的に行い、再生プログラムを展開中である。

これら資金援助を糧に、新車開発や設備投資も積極的に行っており、顧客へのサービス面でも大きな支障を来していないなど、日本国内で一般に考えられているほど危機的状況にあるわけではないビッグスリーはハイブリッド型乗用車を得意とする日本車勢に対し、次の時代に来るであろう完全電気自動車の時代での巻き返しを狙っていると伝えられている


参考文献・参考資料

「米中分断」の結末は、なんとアメリカの「中国化」だった…!「歴史的大転換」のウラでアメリカ企業が食らう「毒まんじゅう」のヤバすぎる中身 (msn.com)

アメリカ車 - Wikipedia

熱効率 - Wikipedia

合成燃料 - Wikipedia

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