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やさしい法律講座V61「自転車のヘルメット着用の『努力義務』と過失相殺」

 吾輩は、歩行中に自転車に引かれそうになったり、自動車を運転していると一旦停止で停止もせずに方向指示も出ずに無謀な運転する自転車を見かける。自動車が一番危ない。歩行者で危ないのは老人と子供であるが危険を察知したら徐行すればよいが自転車は猛スピードで突進するから危険極まりない。そのような無茶な運転をする者に限ってヘルメットをしていない。翻って吾輩は自転車も車両としての認識を持ち、一旦停止も守り、手信号で方向指示を実践している。ヘルメットも必ず着用している。何せ、まだ死にたくないので完全防備している。自動車に認知してもらえるように、目立つ赤いヘルメットにしている。若者は髪を風になびかせながら猛スピードで自転車で追い越して走っていく。老婆心ながらヘルメットを着用しないと事故で「お陀仏」となると心配している。今回はその話題を取り上げる。
  ご存じの通り、自転車のヘルメット着用義務化は、2023年4月1日から年齢を問わず自転車に乗るすべての人に努力義務として適用されることになった。罰則はないが、自分や他人の安全のために着用するよう努めなければならない。保護者や事業者も、子どもや従業員にヘルメットを着用させるよう努めなければならない。警察官も自転車を利用する際にはヘルメットを着用することになった。一部の地域では、2021年10月1日から条例でヘルメット着用が努力義務化されている。
今回はこの努力義務の規定はどのような法律効果を及ぼすかについて考察してみた。そして、なぜ、罰則にしなかったのかも含めて考えて見た。なお、この考察は吾輩の個人的見解が入っている。
自転車は被害者になるケースも多いが、加害者になるケースもある。もし事故などの事件が起きたら法律事務所の弁護士に相談されたい。

     皇紀2683年5月27日
     さいたま市桜区
     法律研究者 田村 司

過失相殺からの考察

 ヘルメット無しで事故に遭遇しで、負傷や死亡した場合の不利益について考察した。ヘルメットを着用していなくても罰則はないが、事故の際命の危険が大きいことと損害賠償の請求で不利になりやすいことは理解する必要がある。

そもそも、今回の改正の目的は単純にヘルメットを着用してもらうためではなく、自転車での事故から運転者の命を守るためであるといった背景である。

事故が起きた時にお互い(加害者・被害者)の責任度合いを考え必要がある(過失割合)。
それが、それに応じて賠償金を減額するのが過失相殺と言われるものである。
ヘルメットを着用すればけがが軽傷ですむところ不着用のために、重症または死亡したとしても、ヘルメットを着用すれば重症化または死亡しないと判断されると損害賠償の請求において、減額または請求できない事も起こり得る。努力義務違反と言うことによる因果関係で不利になると思われる。
このようなことが今回の改正の「努力義務」における違反・怠慢として賠償金の減額(過失相殺)となり得るのであると考えられる。
 過去に自転車ヘルメット不着用の過失を認めた裁判例は多くありません(示談折衝段階や裁判和解などではよくテーマに上がります)。
 裁判例としては、自転車のヘルメット不着用の過失を否認した裁判例もある。
 しかし、今回の改正で、行政罰や刑事罰はないけれども、「努力義務」違反として、今後は過失相殺の対象になり得ると考えられる。
ヘルメット不着用による被害(負傷・死亡)は因果関係では自己責任となり、今後は過失相殺の対象になり得ると考える。

過失相殺とは

交通事故では、事故の責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるのか示した「過失割合」が決められます。そして、自身についた過失割合分、受け取れる損害賠償金が減額されます。これが過失相殺です。

被害者側の過失割合が2割なら2割、3割なら3割、被害者が受け取れる損害賠償金が減らされるのです。

過失割合は事故発生時の状況をもとに、示談交渉において加害者側と被害者側で話し合って決められます。

追突事故のようないわゆるもらい事故では被害者側に過失がつかないことも多いです。しかし、一般的には交通事故において被害者側にも過失がつくことは、そう珍しくありません。

過失相殺とともに加害者への賠償責任も生じる

交通事故で被害者側にも過失割合がついた場合、過失相殺によって受け取れる賠償金が減らされるだけでなく、加害者へ賠償金を支払うことになるケースもあります。

交通事故では、加害者が被害者に対して車の修理費や治療費を請求することも珍しくありません。
この場合、被害者は請求された金額のうち、自身についた過失割合分を支払わなければならないのです。

たとえば被害者側の過失割合が1割だったら、過失相殺によって受け取れる賠償金が1割減額されるとともに、加害者から請求された金額のうち1割を支払うことになります。

なお、加害者に支払う損害賠償金は被害者自身が加入する「対人賠償保険」や「対物賠償保険」の保険金で支払うことも可能です。

ただし、対人賠償保険や対物賠償保険を使うと保険の等級が下がり翌年の契約時から保険料が上がってしまいます。保険を使うか、自ら賠償金を支払うかは慎重に検討しましょう。

過失相殺の目的は損害の公平な分担

交通事故の被害者であるにも関わらず、過失割合がつくと過失相殺が適用され、さらには加害者への賠償金支払いも生じるという点に、不満を感じる方もいるでしょう。

交通事故においてこうした過失相殺などが適用されるのは、「損害の公平な分担」のためです。

交通事故の中には、100%加害者が悪いとは言い切れないものもあります。
たとえば被害者の飛び出しや信号無視が原因で交通事故が起きた場合、被害者側の不注意による責任が全く考慮されず、加害者が損害賠償金を全額支払うのは不公平です。

過失相殺は、そうした不公平を解消し、事故の当事者双方に生じた損害を公平に分担させるためのものなのです。

交通事故のような不法行為による損害賠償責任や過失相殺については、民法第709条・第722条2項に記載されています。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法第709条

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

民法第722条2項




自転車ヘルメット努力義務化 警察官は? 警視庁1万4800個を準備

  • 2022年12月30日

警視庁は自転車を利用する地域の交番の警察官などが着用するヘルメットを新たに導入することになりました。2023年4月から自転車に乗るすべての人にヘルメットの着用が努力義務化されることを受けての対応です。自転車のヘルメット着用をめぐる国内外の動きをまとめました。

自転車でのヘルメット着用が努力義務に

警視庁によりますと、都内では2021年までの5年間に自転車に乗っていた136人が交通事故で死亡していて、このうち132人がヘルメットを着用しておらず、その7割以上が頭に強い衝撃を受けたために死亡しているということです。

自転車に乗る際のヘルメットの着用について、これまで法律では、13歳未満の子どもを対象に、保護者が着用させるよう努めなければならないとされていましたが、2023年4月1日から年齢を問わず、自転車に乗るすべての人にヘルメットの着用が努力義務化されることになりました。

自転車の警察官もヘルメット

これを受けて警視庁は、自転車を利用する地域の交番の警察官などが着用するヘルメットを新たに導入することになりました。ヘルメットは1万4800個準備され、来年4月から着用を始めるということです。
地域で活動する警察官がヘルメットを着用することで、住民などにも促したいとしています。

オーストラリア 義務化で着用率は

オーストラリアで自転車の普及活動を行う非営利団体によりますと、オーストラリアはニュージーランドとともに世界に先駆け全国規模でヘルメットの着用を義務づけた国だということです。

ニューサウスウェールズ州では、地元の大学の調査によりますと、義務化される前のヘルメット着用率は16歳未満が12%、16歳以上が26%でしたが、義務化されたあとは16歳未満が81%、16歳以上が85%まで高まったということです。

日本は罰則なし オーストラリアでは罰金

違反した場合には州ごとに定めた罰金が科され、このうちニューサウスウェールズ州では日本円で3万円あまりの支払いが求められます。
日本国内の場合は、ヘルメットの着用は努力義務のため罰則などはありませんが、警察庁は、大人も含めて着用を習慣化することで事故による被害を最小限におさえていきたいとしています。

自転車用ヘルメットの着用が努力義務化 あなたはどうする?

2023年3月27日 17時52分
ことし4月1日から自転車に乗る際のヘルメットの着用がすべての人を対象に努力義務化されます。
まだ周りを見渡してもヘルメットをかぶって自転車に乗っている人は少ないように感じます。
あくまでも努力義務なので、かぶらなくても罰則などはありませんが、皆さんはどう考えますか?
(松山放送局 カメラマン 岡部馨)

あの時、ヘルメットをかぶっていたら…

渡邉大地さんです。
愛媛県伊予市の高校に通う1年生でした。
9年前、交通事故で亡くなりました。

優しい性格で写真部に所属し、日常の何気ない一瞬を切り取ることが得意だったといいます。
大地さんが事故に遭ったのは平成26年12月。
期末試験の勉強を終えて、学校から自転車で帰宅する途中、横断歩道をわたっていたところをトラックにはねられたのです。
頭などを強く打ち病院に運ばれましたが亡くなりました。
へルメットはかぶっていませんでした。

相次ぐ自転車の重大事故 ヘルメット着用が努力義務化に

自転車が関係する重大事故は全国各地で相次いでいます。
警察庁によりますと、おととし1年間に自転車が関係する事故は全国で6万9694件、交通事故全体に占める割合は年々、増加傾向にあります。

また亡くなった人は、おととしまでの5年間に2145人で、このうち6割が頭部の致命傷が原因だったということです。

自転車に乗る際のヘルメットの着用について、これまで法律では13歳未満の子どもを対象に保護者が着用させるよう努めなければならないとされていました。

しかし、大人を含めて着用を習慣づけてもらうことで事故による被害を最小限に抑えようと、法律が改正され、4月1日からすべての人に着用が努力義務化されることになったのです。

へルメット着用しないと致死率が2.2倍に

実際の事故で頭部にどれくらいの衝撃がかかるのか。
JAF=日本自動車連盟が自転車どうしの衝突事故を再現して、人形を使って実験しました。

ぶつかった衝撃で自転車は転倒し人形の頭は地面に打ちつけられます。

ヘルメットを着用した状態と着用していない状態で頭部の衝撃を比較すると、着用していない場合の衝撃はおよそ17倍に上ることが分かりました。

また警察庁によりますと、おととしまでの5年間の自転車事故で、ヘルメットを着用していなかったケースの致死率は、着用していたケースの2.2倍以上だったということです。

着用していないと頭蓋骨を折るなどの大けがにつながり、死亡のリスクが大幅に高まります。

着用率全国1位 “サイクリング先進県”の愛媛県

愛媛県と広島県を結ぶ「しまなみ海道」。

瀬戸内海の景色を楽しみながら橋の上を自転車で走ることができ、「サイクリストの聖地」として知られています。

また愛媛県は11月の第2日曜日を「愛媛サイクリングの日」に定め、各地で自転車に関連するイベントを開催するなど自転車文化の普及に力を入れています。

いわばサイクリング先進県とも言える愛媛県。

民間団体が3年前に行った自転車用ヘルメットの着用率の調査では、全国平均が11.2%だったのに対して、愛媛県は29%と全国1位でした。

朝の通学時間帯には、ほとんどの高校生がヘルメットをかぶって通学していて、実際に中高生に限って着用率を見ると、県警が去年10月に行った調査では、ほぼ100%という結果でした。

愛媛県でのヘルメット普及 背景に息子を亡くした父親の思い

愛媛県の中高生の間で、自転車用ヘルメットが定着した理由は渡邉大地さんの事故など、かつて通学中の高校生が巻き込まれる悲しい死亡事故が相次いだことがありました。

大地さんの父親、渡邉明弘さんです。

自分のように子どもを交通事故で失って悲しむ人を二度と出したくないと、渡邉さんは事故の後から交通安全と命の大切さを訴える講演活動を続けています。
渡邉明弘さん
「私たちが15年間大切に育ててきた命が、事故が起きてたった5時間で終わってしまいました。万が一、交通事故に遭って頭を打ったときには、ヘルメットが割れて犠牲になり、大切な命を守ってくれます。交通事故は一瞬にして家族の平和を奪っていきます。そのことを忘れないでください」
渡邉さんの思いは行政を動かします。

県教育委員会は事故の翌年の平成27年、県立高校の生徒などに対して自転車に乗るときのへルメットの着用を義務化しました。

さらに県も県立高校の生徒に自転車用ヘルメットを無償で配布するなど、予算の面でも支援を行いました。

大地さんが通っていた高校でも、自転車通学を希望する生徒に対してへルメットの着用と保険の加入を義務づけるようになり、今では自転車に乗る時のヘルメットの着用は当たり前になっています。

「ヘルメットで助かった命」

「へルメットのおかげで今も生きている」と話す人がいます。

高校3年生の兵頭穂乃花さんです。

9年前の事故で亡くなった渡邉大地さんと同じ高校に通っています。

兵頭さんは、おととし交差点を自転車で横断中に大型トラックにはねられる事故に遭いました。

衝撃で体はアスファルトの道路に強くたたきつけられて、左ひじの骨を折る大けがを負いました。

一方、頭部も強く打ちましたが、へルメットをかぶっていたこともあって命に別状はなかったということです。

兵頭穂乃花さん
「左ひじの骨折と左側頭部を強く打ちました。事故の衝撃でかぶっていたヘルメットは割れました。かぶっていなかったら死んでいたと思います。病院の先生にも『ヘルメットがなかったら死んでた』と言われてドキっとしました」

助かった高校生「夢や人生守るため着用して」

ヘルメットのおかげで九死に一生を得たと話す兵頭穂乃花さん。

この春「家庭科の教師」を目指して県外の大学に進学します。

一度きりの人生を大切にするために、1人でも多くの人にヘルメットを着用してほしいと話しています。

兵頭穂乃花さん
「あのとき、もしヘルメットをかぶっていなかったら、今自分がやりたいと思っていることができなくなっていたと、すごく感じています。ヘルメットを着用しているかしていないかで自分の人生が続くか終わるか変わってくると思います。将来やりたいことがある人や人生を終わらせたくない人は絶対にヘルメットを着用してほしいです」

息子亡くした父「まずは大人が模範示して」

かけがえのない息子を事故で失った渡邉明弘さん。

大切な子どもの命を交通事故から守るため、自転車に乗る時には大人が率先してヘルメットをかぶり、子どもたちに模範を示すことが大切だと訴えます。

渡邉明弘さん
「子どもの見本になるという意識があれば、ヘルメットをかぶることができると思います。子どもは大人を見て育ちます。周りの大人が当たり前にかぶっていれば、子どもたちも同じように自然とかぶるようになり、いい連鎖が続いていくと思うんです。そうやって少しずつみんなの意識が変わっていけばいいです。今はまだ『ヘルメットかぶったら暑い』とか『髪型が崩れる』とかいう人もいるかもしれませんが、いずれは『かぶるのが当たり前』とみんなが言うような時代になればいいなと思います」

松山放送局 カメラマン
岡部 馨
2007年入局
専門は山岳取材
登山も自転車も安全第一
かぶろう自転車ヘルメット
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参考文献・参考資料

4月1日から自転車用ヘルメット着用が努力義務化 あなたはどうする? | NHK | WEB特集 | 事故

自転車ヘルメット努力義務化 警察官は? 警視庁1万4800個を準備 | NHK

民法第722条 - Wikibooks

民法第418条 - Wikibooks

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