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ブロックチェーンゲームの未来

Web3業界に飛び込んでみて数ヶ月。過去のnoteで書いた通り、Web3的な未来が現実味を帯びてくるのはもう少しだけ時間がかかる様に思います。

色々な業界の方が色々な観点からアプローチをしていますが、絶対的な仮想通貨保有者数(ウォレットの所持数)が広がらないと、サービスが広がらないからです。いわゆるマスアダプション問題です。

インターネットもそうですが、ユーザーが増えるとtoCサービスが生まれ、そのサービスを提供するB(企業)に対してのtoBサービスが生まれ、Bが育つことで国なども対応せざるを得ない、という流れです。

Web3業界の方はマスアダプションが行われる先の未来を見越して、サービスを作ったりインフラ的なものを作ったりしているのです。

では、マスアダプションを進めるものは何か?

それこそが「ブロックチェーンゲーム」です。

ブロックチェーンゲームがマスアダプションを進める

ブロックチェーンゲームがなぜマスアダプションを進めるのか?

Web3的なサービスがユーザーに提供する価値は計り知れなく、既存のWeb2サービスの地位を脅かすというのはまさに今後起き得る未来だと思います。

色々な人が色々な観点からユーザーメリットのあるサービスを作っていますが、「ゲームが最もユーザーに仮想通貨ウォレットを作るモチベーションを与えやすい」、というのが今の業界の意見だと思います。

多くの会社がブロックチェーンゲームを作ったり、それをサポートする様なサービスを作っています。今年開かれた「東京ゲームショウ2022」でも、多くのブースでブロックチェーンゲーム関連企業が出展していました。

なぜブロックチェーンゲームが注目されているのか?
その最も大きな要素は「Play to Earn」と呼ばれる考え方です。

遊んでお金を稼ぐ

Play to Earnとは?

Play to Earnとは、ゲーム内で使われているポイントやアイテムが仮想通貨と交換でき(もしくは仮想通貨そのもので)、しいては現実の通貨と交換できるという仕組みです。

2021年にベトナムで大流行したAxie InfinityというゲームでPlay to Earnという言葉が流行しましました。

ゲーム内で得られるポイントが仮想通貨で、それが売り買いできるということで、ゲームで遊んで稼げるということでユーザーが殺到。Axie Infinityは2021年8月に、月商400億円というとんでもない数字を作りました。
※400億のからくりについてはこちらで少し触れてます。

ただしそれは一種のバブルでした。ギルドと呼ばれる投資家たちが大量にNFTを保有して、人件費の安いユーザーにプレイさせていたのです。

通貨やNFTの価値が暴騰して月商400億という数字が作られましたが、結果的にエコノミクスが崩壊。短期で値段の上がったコインの価値は短期で暴落してしまいました。

また2022年初めには「STEPN」というアプリが日本でも流行しました。これはMove to Earnという新しい価値観で数十万人ものユーザーを巻き込みました。

STEPNではAxie Infinityからの改善から、ギルドを入れずにスタートしていましたが、エコノミクスの設計はまだ未完成で、一時的には大きな盛り上がりを得ましたが、短期にブームは終わりました。

2022年9月現在、色々な会社が色々な角度からブロックチェーンゲームにチャレンジしていて、今後もゲームを中心にマスアダプションが進むのではいか、と多くの方が考えています。

Move to Earn=動いて稼ぐ。という新しい価値による革命。

全員が儲かるなんてありえないという、当たり前の前提。

先ほど挙げた2タイトルは、間違いなく大ヒットタイトルです(ギルドも本当にすごいです)が、短期的な盛り上がりになってしまったことの問題点は、誰もが儲かるという幻想を持たれてしまった(持たせてしまった)ことです。

もし仮に全員が儲かるということは、そこにゲームプレイヤー以外のお金が入らないといけません。

例えば広告。
ですが広告費をユーザーに還元したとしても、一人当たりの取り分は少なく、ユーザー数を獲得するのが難しい今のブロックチェーンゲームで、広告収益をベースにエコノミクスを設計するのは難しいと感じてます。

仮にポイントサイトやアフィリエイト的な仕組みをゲーム内に取り入れると、ユーザー体験を大いに損なってしまいますし、わざわざブロックチェーンゲームにしなくてもポイントサイトにしてしまえばいい、と言えます。

また逆に、ゲーム内通貨を他で使える様にすればいい(いわゆる経済圏の拡大)という議論もされています。まだそれを完全に実現しているゲームはありませんが、これについてはまさに色々な会社がチャレンジしています。

プラットフォーム構想を掲げている会社もあり、日本人が経営するシンガポール法人、DEA社はまさにブロックチェーンゲームの先駆者として複数タイトルを遊べることで経済圏を広げるということにチャレンジされています。

DEA社の代表作「JobTribes

ソーシャルゲームでは、ユーザー様は全員喜んでお金を払うという当たり前の前提。

僕は過去10年間、50タイトル以上のソーシャルゲームの開発に0から関わってきて、累計でいうと何百億円もの課金をユーザー様から頂いてきました。

当たり前ですが、ソーシャルゲームのユーザーの皆様へは、1円の還元もありません。ゲーム体験に価値を感じてお金を払って頂いているので当然のことです。

仮にユーザー様からの課金の一部を、ブロックチェーンゲームという仕組みを通じてユーザー様へ価値還元ができたら新しい体験が作れるのでは?
それがPlay to Earnゲームの一つの正解なのかもしれないと思いました。

ソーシャルゲームではAppleやgoogleが売上の30%を手数料として持っていきます。
売上の3割→プラットフォーム(Appleやgoogle)
売上の7割→運営

これをブロックチェーンゲームではこんな形で変えられたら面白いなと思いました。
売上の3割→運営
売上の7割→ユーザー様

つまり、仮にユーザー様が月に1万円を課金していただいているなら、そのうち3割を運営費として頂いて、平均7000円が結果的にユーザー様に循環していくイメージです。
※もちろん、絶対に賭博にならない様に法律を遵守した上での設計です。

ユーザー様が、ゲームが遊べて楽しかった、自分が好きなキャラクターがもらえてよかった、という価値体験を得て、また翌月も楽しく課金して頂く、という形になれば長期継続するゲームが作れるのではないかと考えました。

プラットフォームに依存しないのがブロックチェーンゲームの大きな価値

長期的にPlay to Earnを達成する、ブロックチェーンゲームのロールモデルを作りたい

ブロックチェーンゲームに対するハードルは沢山ありますが、Play to Earnという考え方は新しいゲーム体験であり、近い将来、多くのユーザーがブロックチェーンゲームをプレイすることになると僕は感じています。

そして僕たちを含めた多くのゲーム会社がその未来をイメージして、ブロックチェーンゲームの開発を今まさに行っています。

まだ正解がない中で試行錯誤している中ですが、ヒットするブロックチェーンゲームを作るためには、以下の3つの要素が必要なのではないかと考えています。

  1. 長期継続するトークンエコノミクスの設計

  2. シンプルなUIによるユーザー層の拡大

  3. 「ゲーム」としての面白さ

長期継続するトークンエコノミクスの設計

これはブロックチェーンゲームにおいて最も重要な議論です。非常に金融的な話になるので僕も専門家のチームメンバーから習いながら日々研究しています。

如何にコインの価値を上げていくか?
端的に言えばコインの出(発行)と入(使用)を綿密に設計をすることです。

当たり前ですが、コインを発行しすぎると値段が下がります。しかしコインの発行を渋るとユーザーは食いつかない。なので、今までのゲームはコインを大量に発行してユーザーを集めてきました。

結果、発行しすぎたコインを何とかしようとして使いどころを設計していくのですが、一度増え始めたコインは加速度的に発行され、それを補えるほどの使いどころを設けるのは不可能となり、価値が暴落しました。

トークンエコノミクスが大事。ということは僕がブロックチェーンゲームが作ろうとした際に一番初めに言われたことですが、実際に作っていてまさにそれを感じます。

コインについてはコアメンバーやパートナー、アドバイザーにもインセンティブとして付与しますし、投資家からもコインを通じて資金調達します。

そういった観点も含めてトークンエコノミクスを設計することは、今までのゲーム作りとは全く別ものです。非常にチャレンジングですが、だからこそ挑みがいがあると感じています。

トークンエコノミクスはブロックチェーンゲームの最大の難関

シンプルなUIによるユーザー層の拡大

長期継続するゲームには、多くのユーザーが必要です。何故なら、仮に月に10万円とか、それ以上を払ってくれるユーザーがいたとしても、なかなか毎月は継続して払ってくれないからです。

長期継続するゲームを作るなら、少額でも、毎月課金してくれるユーザーをたくさん囲うのかが重要です。

今ブロックチェーンゲームを遊んでいるユーザーの中には、何十万円も使っているユーザーもいますが、彼らの多くはそのお金を投資と捉えており、それ以上のリターンを得ようとしています。

そういったユーザーにはむしろ運営側になってもらいます。トークンをインセンティブとして広告やゲームのデバックをしもらったり、ブロックチェーンゲーム初心者の方へのガイダンスを行ってもらうべきです。

ユーザーを巻き込んでゲーム運営するのも、ブロックチェーンゲームの大きな面白さであり、そういった取り組みを駆使して、毎月数千円を喜んで使ってくれるユーザー層をいかに集めていくかが重要と考えてます。

新しい層のユーザーを獲得していかないといけないため、今のソーシャルゲームと比べると、非常にシンプルなものであるべきと思っています。

ソーシャルゲームが初めて登場した時に、コンシューマーゲームの開発者の方々は、「こんなのゲームじゃない」と言ったそうです。

10年後、ソーシャルゲームは今までの「ゲームユーザー」とは別のユーザー層を獲得し、その市場規模はコンシューマーゲームの何倍にもなりました。きっとまた同じことが起こると私は思っています。

スマートフォンで気軽にできるシンプルなUIUXにこだわる

ブロックチェーンゲームとしての面白さ

これは一番難しい観点です。今まで多くのゲームを開発してきましたが、ユーザー様を喜ばせるということの難しさは身をもって体感しています。

特に今の時代、多くのゲームが無限に氾濫してますし、youtubeやTikTokなどの無料動画、 NetflixやAmazonのPrime Videoなど、安くて優良なコンテンツが溢れている世の中です。

そんな中でユーザー様に選ばれるサービスになるためには、ブロックチェーンゲームならではの良さに特化するべきです。

リッチすぎるコンテンツを作ってはいけないと思っています。それは今まで多くのゲームやコンテンツが既に提供したものです。また、製作費をかけすぎると、その費用を捻出しないといけなくエコノミクスが壊れます。

シンプルだけど面白い
一見難しそうですが、それを可能にするのがPlay to Earnという遊び方であり、それは今までにないユーザー体験で、新しいスタンダードの一つになっていくと僕は思っています。

ソーシャルゲームが10年前、リッチさではなくソーシャル要素で新しい体験を提供したのと同じです。

怪盗ロワイヤルは、リッチさではなく、ソーシャル要素で大ヒットとなった。

ブロックチェーンゲームは可能性に満ちている

先日、とある関係者の方に、「今ゲームを出してもプレイするユーザーがいない」、と言われました。

確かに、現在ブロックチェーンゲームをプレイするユーザーは非常に少ないし、市場規模は今はとても小さいです。
ですが、ブルーオーシャンと見ることもできます。

世界中の大手企業がブロックチェーンゲームに参入してきていて、その中でヒットタイトルを作るのは簡単ではないと思っていますが、僕はこういった市場で勝つのはベンチャーだと思っています。

スマートフォンゲームの時も、大手がNo1になれなかったのはイノベーションのジレンマが働いたからですし、今回も同じことが起こると感じています。

「長期的にPlay to Earnを達成する、ブロックチェーンゲームのロールモデルを作りたい。」

ブロックチェーンゲームの時代は必ずくる、この流れは絶対に止められないと思っています。

これ以上、日本人がコンテンツビジネスの分野で置いていかれないために、必死になって爪痕を残すべく、日々もがいています。

ゲーム内容を発表するする詐欺になっていますが、内容は決まってるのと、開発は始まっているので、ちゃんと広報戦略を練って発表していきたいと思ってます。

ブロックチェーンゲームに興味がある、関わってみたい、という方はぜひ気軽い連絡ください!

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