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新刊『日韓の交流と共生:多様性の過去・現在・未来』

本日,『日韓の交流と共生:多様性の過去・現在・未来』(森平雅彦・辻野裕紀・波潟剛・元兼正浩編,九州大学出版会)が発売される.

中世の日韓海域交流から現代映画,ヘイトスピーチまで,日韓関係の中でも「現場」レベルの活きた交流の多様性に注目した,15名の豪華執筆者の手になる,最新の綜合的論輯である.研究者のみならず,弁護士や作家などの論攷も含まれる.交わればこそ直面するシビアな現実の中でも歩みをとめない人々の姿に光をあてた書.〈歴史〉〈教育〉〈言論・文学〉という3つの学術的パースペクティブから日韓の交叉の姿態を一望俯瞰的に見霽かすと同時に,日/韓の二項的視座を超え,在日コリアンや中国朝鮮族への眼差しも鮮明に刻印.韓国から渡ったフランスで鮮烈なデビューを飾った作家グカ・ハン氏の講演録と辻野裕紀との対談も収録.相克と角逐から脱し,希望に満ちた未来を思念するためのひとつの潜り戸となろう.

【目次】

・第1部 つながる,交わる:対馬海峡沿岸社会における中近世の現場
第1章 中世対馬の海民と日朝交流
第2章 朝鮮三浦の倭人町形成と管理体制
第3章 朝鮮王朝の二つの対馬認識:15 世紀後半を中心として
第4章 美濃土岐氏による大蔵経請来と朝鮮:西日本以外の地域権力と朝鮮
第5章 航海からみた中世日朝交流:日本船の往来を事例として
第6章 通信使船が対馬海峡を渡るとき
附論1 近代釜山における在朝日本人の水産業経営:日本の朝鮮移住政策との関連から

・第2部 出会う,伝え合う:学びの現場
第7章 日本における韓国教育院の役割変容
第8章 対外言語普及と「現地主義」アプローチ
第9章 アジア太平洋カレッジの挑戦:PBL/TBL で学び合う国際共同教育プログラムの構築

・第3部 ことばを超える,国を越える:相互理解の現場     
第10章 日本のヘイトと在日コリアンとしての生:ヘイトクライム,ヘイトスピーチのない社会をめざして
第11章 在日コリアン文学の現在
第12章 ディアスポラと労働・工作の表象:2014 年以後のチャン・リュル映画についての一考察
第13章 母語でない言語で書くということ:言語の重さと速度,そして距離
附論2 《対談》フランス語のほうへ/から:母語として存在しない〈 物語〉 をめぐるダイアローグーーーグカ・ハン×辻󠄀野裕紀

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