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道しるべという本を作った話②

前回のnoteで「道しるべ」というツジカワの行動指針ができるまでのお話を書きました。

今回は「道しるべ本」の制作工程を追って行きたいと思います!!
製作の模様は動画でもご覧いただけますのでこちらもぜひ御覧ください!
機械の音や作業音が(好きな人には)たまらんです。

ちなみに今回作る海外版の「道しるべ本」は言語によって表紙の色が違います。
※表紙以外は同じ紙を使用

英語版表紙: 平和紙業 ディープマット ストロー 450kg

あえて英単語ではなく「MICHI SHIRUBE」

中国語版表紙: 平和紙業 ディープマット ルージュ 450kg

となっております。
どちらも渋い色味でカッチェ-です。


工程① 表紙の活版印刷

写真からわかるように表紙にはストライプの模様が入っています。
明晃印刷株式会社様にてメディウムインクと呼ばれる透明のインクでこのストライプの模様を刷っていきます。


明晃印刷 高崎社長

こちら、実はタイトルの白箔を押す部分にはインクがつかないように柄が抜いてあります。

表紙のストライプを刷る版。「道しるべ」の文字はインクがつかないようになっている。


メディウムインク印刷後のもの(中国語版)。この「路標」のところに白箔を箔押しする。

工程② 表紙のタイトル箔押し

刷り上がった工程①の紙に箔押しを施していきます!
これはツジカワの箔押し機で加工しました。
ずれると目立つので位置合わせ大事!

タイトルの白箔が押されました!


箔の抜け殻(大ロットではないのでロール状の箔をカッターで切ってちょっとずつ使っている)

工程③ 本文の印刷

続いて本文(中身)の印刷にかかっていきます。
本文の印刷は全て明晃印刷様による活版印刷です

活版印刷に用いられるハイデルベルグ社製の活版印刷機


道しるべは8項目のタイトルと説明文で構成されています。
見開きの左側はタイトルとモノクロの写真、右側には説明文が入ります。
加工内容は下記のとおり。

使用紙:       クッション 0.6
タイトル&説明文:   スミ 2回押し
モノクロ写真:    シルバー3回押し

つまり見開き左ページだけで合計5回(タイトル2回+モノクロ写真3回)押されてることになります
仕事量ヤヴァイ。
なぜ同じインクを何度も押すかというと、そのほうが鮮明に濃く印刷されるからだそうです。
インクを盛れば濃く印刷されるってもんでもないんだな・・・

英語かっこいい・・・


中国語もかっこいい・・・

何度も刷るというのは、それだけ位置合わせの精度が求められる、ということでもあります。
ズレがあれば調整して、確認して、調整して・・・を繰り返します。

次々に印刷機に吸い込まれていく紙たち
左:調整前 右:調整後 ほぼズレがありません!!

明晃印刷様のご尽力のおかげで無事に全て刷り上がりました!

ちなみに明晃印刷様のインスタグラム(@letterpress_meiko)では「超大作」と評していただきました。
(実は海外版に加えて日本語版の増刷もお願いしてました。仕事量・・・!!)

工程④ 製本

印刷の次は製本工程に移ります。
今回製本は有限会社若林製本所様にお願いしました。

「道しるべ」はオール活版印刷という性格上、非常に分厚い紙に印刷されていますので、全て手作業による製本となりました(すみません)。
今回の本に見合う一番よい製本方法を考えていただいたと思います。

 若林製本 若林社長

まずは表紙に罫線(折り曲げる用の線)をつけていきます。
足踏み式の専用機で罫線をつけていきます。

谷型(上)と山型(下)の間に紙を挟んで罫線をつける
足元のペダルを踏むと型が上下する仕組み
罫線がついた!

(自社案件なので)私もやらせてもらいました!力のいる作業ではないですが枚数が多いと地味に腰に来るな・・・!と感じました。

続いて中身をページ番号順に並べて製本用のワイヤーホッチキスで留めていきます。

ページ番号順に重ねていく
端っこをマーキングして落丁がないか確認できるようになってました!
積み上がる「道しるべ」
足踏み式のホチキスでガチョン!

これも体験させてもらいました。
ペダルを踏み続けると連続で可動するので「ガチョン!ガチョン!!」と同じところに2回針をうってしまいました。

中身の綴じが完成(私がやった分。真ん中のホチキスが重複してます・・・)

続いてこちらに見返しをつけていきます。
見返しとは表紙と本文を連結するために表紙の内側と本文に貼り付ける紙です。
まずは本文に見返しをつけていきます。

本文に見返しを貼り付ける(写真で上になっている面が表紙との接着面になる)
両面に見返しをつけた本文

糊が乾いたらいよいよ本文と表紙を接着します!

見返しに糊を塗る
片面を接着
もう片面にも糊を塗って・・・
接着!

これも体験させてもらいました。
ズレるのが怖くてバチバチにビビってたら「そんなに大きなズレじゃなければ端っこは断裁するので大丈夫ですよ!」と言われて安心。

それはともかく1回この作業しただけで指先が糊だらけになったので若林社長の手が全く汚れてないのはすごいなぁと思いました。(尊敬のレベルが低い)

糊をつけすぎると紙がへにゃるのでむずい。
やってみるもう一人の中の人
この状態で糊が乾くまで置いておく

最後は断裁でトンボ(※)の外の部分を切り落とします。
※トンボ:写真の本の角にあるLが2つ重なったようなマーク。印刷・断裁の目印になる。

断裁機にサイズ等の設定をして本をセット
位置合わせ
刃が降りて不要部が断裁されました(断裁時は写真のように手を出したりされてません)。

断裁機の刃が降りて断裁される瞬間は「バチバチバチッッ!!!」と結構激しい音がします。
ちなみにこの作業は「やらせてください」と言ってみましたが「危ないのでダメです」と言われました。確かに。

若林製本所様のインスタグラム@gibson.goo)では「最近では滅多にやらない完全手作業の製本。味がある」と評していただきました。

工程⑤ 銅版の貼り付け

さて、きれいに製本してもらった本がツジカワにやってきました。
最後の仕上げとして右下にツジカワのロゴを腐食した銅版を貼り付けます。

写真右下 四角い余白に銅版を貼り付ける。

この作業はツジカワ社員を十数名動員して手作業で行いました。

貼り付ける小さな銅版ですが、腐食して機械でカットしたあと弊社仕上げ課にて手作業で一つ一つカエリやバリ(※)を取ってもらっています。
数百個あるプレートを一つ一つきれいにしてもらったので地~味~に時間と手間がかかりました。
※カエリ・バリ:金属などを断裁した際に断面に発生する金属の出っ張り。残っていると仕上がりが汚くなったり、作業者が怪我したり、その後の加工に影響する。

そんな銅版を手分けして

貼り付けて・・・
貼り付けて・・・
貼り付けて・・・
貼り付ける!!!

以上ざっくり5つの工程を経てとうとう「道しるべ本」が完成しました!!

3色並べてもきれい。

今回社内案件にかこつけて活版印刷・製本の様子を取材できたのは非常に貴重な体験でした。

振り返れば内容の制定も難しかったですが、印刷物のデザイン決定も本当に難しかったです。
しかし今回こうやって製作過程を追えたことでたくさんの人の丁寧な仕事によって出来上がっているのをひしひしと感じましたし、この形で配布できてよかったなと改めて思いました。
そして国内外問わず、手にした人にこの本にこめた意思や熱意が伝わればいいな、と思います。
海を超えてツジカワグループをつなぐ、木の根っこのような存在になって欲しいです。


製作にあたってご協力いただいた明晃印刷株式会社様、有限会社若林製本様、ツジカワ株式会社の社員の皆様本当にありがとうございました!!

instagramがんばってます
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