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デザインのひきだし創刊50号記念号!色の重なりが生む驚き!河内屋活版多色刷り×ツジカワ活版印刷用版

先日販売されたデザインのひきだし創刊50号記念特別号。
「あなたの会社の一番得意な印刷加工を教えてください!」というテーマのもと、印刷を取り巻く様々な会社の印刷物が掲載されていました。

まさに創刊50号にふさわしい「現代日本の印刷加工大全」となったと思います。
今回ツジカワは数社に版を提供させていただきましたが、各社すばらしい仕上がりのページでした!
今回はツジカワが活版印刷用版を提供いたしました、「株式会社河内屋」様の作品を取り上げます!


株式会社河内屋様について

株式会社河内屋は、東京都港区新橋に本社を置く印刷会社です。活版印刷をはじめ、特殊印刷や特殊加工などの高度な表現技術を得意としています。
美しい製作物の数々は河内屋様HPの事例紹介からもご覧いただけます。

その美しいものを追い求める姿勢は紙製品にとどまらず、昨年KunisawaBrewingというクラフトビールと文具のお店を新橋にオープンされました。
私は関西住まいのためなかなか行けないのですが、東京に行った際には「行く・・・必ずや・・・!」と心に決めている場所であります。
文具とビール好きはぜひとも訪れてください

デザインのひきだし50掲載作品

さて、そんな河内屋様がデザインのひきだしに掲載された作品はこちらです!

わー!かっこいいーーー!!

4色刷っているのにトンボが全くズレてない。職人技!
広重もびっくり!!
人物の笠も
赤い輪郭線に対してズレなく印刷されています

活版多色刷りと一口に言っても・・・

今回ツジカワが活版印刷用の版を提供したのは河内屋様明晃印刷様です。
どちらも多色刷りの活版印刷作品を掲載されたのですが、色々と相違点があり、その点も非常に面白かったです。
明晃印刷様で使用されている機械はハイデルベルグ社のプラテン印刷機と呼ばれる機械です。
対して河内屋様ではハイデルベルク社のKBSと呼ばれるシリンダー印刷機を使用されています。

プラテン印刷機とシリンダー印刷機

プラテン印刷機とシリンダー印刷機では印刷方式が違います。
プラテンは紙を版に押し付けるような仕組みであるのに対して、
シリンダー印刷機はシリンダーと呼ばれる大きな円柱状の胴が紙と版の上を走ることで印刷されます。
つまり、プラテンでは「面」の圧力がかかるのに対して、シリンダー機は「線」の圧力がかかります。
「面」当たりに対して「線」当たりのほうが圧力が分散せず、強い圧力でムラなく印刷できることが大きな特徴です。

活版印刷の過程を動画でご紹介されていたのでぜひ御覧ください!

また、動画でもわかるようにシリンダー印刷機はプラテン印刷機に比べるとかなり大型です。
河内屋様のシリンダー印刷機は、最大でA3サイズの版での印刷が可能とのことです。

小さいサイズの小ロット印刷はプラテン印刷機のほうが便利なので、名刺やメッセージカードなどの活版印刷にはプラテン印刷機がよく使用されます。どちらが優れている、というわけではなくそれぞれ得意分野が違うのです。

河内屋様が使用された版。
B4ぐらいの大きさでした。
ツジカワ製マグネシウム版

活版印刷だからこその立体感・重厚感・色味

さて、今回の河内屋様の作品紹介に戻ります。
(比べるのもアレなんですが)今回の絵柄を普通のコピー機で印刷したものと今回の作品を並べてみました。

紙の違いもありますが、やはりコピー機のほうはのっぺりとした印象。

やはり活版印刷のほうは印圧からくる「立体感」や「重厚感」がありますね。
また、もうひとつ大きな相違点として「色味が違う」ということが挙げられます。
印刷一般に言えることではありますが、モニターで見ている色と実際に印刷される色は変わります。
顧客案件であれば顧客の要望に合わせて色味を調整されるのですが、今回は河内屋様自身の制作物であるため、現場で実際に印刷しながら色味を決定されていったそうです。

色の重なりが生む驚き

今回の制作物はこちらの4色で印刷されました。

金・青・緑・赤の4色刷り

完成品は金→青→緑→赤の順番で印刷されています。
活版印刷機は単色刷りなので、このように1色ずつ色を重ねていきます。

わかりやすいGIF(自画自賛)

今回、たまたま青を最後に刷ったためNGとなった印刷物も拝見しました。

寄りでみてみましょう。

(OK品とNG品ではインキの色も若干違うのですが)緑と青が重なる楕円の絵柄に注目。
左は紺色に近い青色なのに対して、右は青と緑の中間のような色味が出ています。

左は緑のアミ点が殆ど見えないのに対して、
右はアミ点がしっかり見え、きれいなグラデーションを描いています。

このように色が重なるところに関しては特に、印刷してみないと仕上がりがわからない難しさがあったとのことでした。

一番美しく仕上がるように細部まで気をくばられた 「箱根 湖水図」。
繊細な技術が光るこちらの作品が収録されたデザインのひきだし50ぜひともお買い求めください!
お手元にある方は、ぜひとも細部までじっくり眺めてください❢


取材にご協力いただきありがとうございました!
株式会社河内屋様 HP


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