【3分エンタメ小説】おれが手に入れた自由【1000字】
背徳の時間は真夜中だけとは限らない。
狭いボロアパートの一角で、おれはケーキのフィルムもヨーグルトの蓋の裏側も丹念に舐める。どんなにどぎつい色をした駄菓子だって、貪るように食らう。
子どもの頃、同じことをしようものなら途端に罵声を浴びせられた。だが今は誰も俺を咎めるものはない。昔できなかったことを一つずつ叶えることができる喜びを常に噛み締める。
今住んでいるアパートも良い具合だ。実家の物置よりも狭い部屋だが、見栄とプライドをこれでもかというぐらいに詰め込んだような実家よ