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【連続短編小説】男子高校生が女子中学生に激詰めされる話~120分の復讐②~【noteクリエイターフェス】

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俺の妹にいじめられている。

目の前の女子中学生が放った言葉を反芻したが、しっくりこない。よりにもよって、『いじめられている』。

「えーっと……」

どう反応していいか分からず、視線が彷徨う。そうなると当然、女子中学生の背格好やら持ち物やらといった情報に興味がそそられる。

黒々とした髪に、意思の強そうな眉毛。自分で整えた経験がまだ無さそうな素朴な感じは、持っているバッグにつけているキーホルダーからも伺えた。どこで買ったのか分からない、はにわのぬいぐるみのようなそれ。

言ったら怒られるに違いないが、平均よりもやや低いと見受けられる身長も相まって、小学生のような印象を受けた。

「申し訳ないけど、いきなりそんなこと言われても‥‥‥」
「ひどい」

信じられない!とでも言うように、俺の顔を忌々しそうに睨みつける。年下の女の子からこんな態度を取られたのは生まれて初めてだ。

「証拠だってあるんです。私、日記をつけています。何月何日、どんなことをされて、私がどんなに辛い気持ちになったか」

そこまで言い終わった瞬間、電車が一際大きくがたん、と揺れた。吊革につかまっていなかった、というよりも手を伸ばしても届かないだろう。案の上、女子中学生が「わ!」と声をあげながら足をもたつかせた。

「ちょっと、大丈夫か」

咄嗟に掴んだ手首の冷たさに怯む。そして、俺の目は青白いその手首に絡みつかれたように、離れなくなった。

無数の傷跡が、そこに刻まれていた。痛々しい程の赤。細く、長く——その傷は、無言の抗議のようにも、罵倒のようにも感じられた。

「これで、信じてくれますか?」

艶やかな髪が揺れた。やや伸びきった前髪の隙間から覗く瞳と、俺は真正面から向き合わざるを得なかった。

「私、警察に相談しようと思っています」

がたん、とまた一際大きく電車が揺れる。

お互いの手が震えている。ようやく気付いた俺は、先にゆっくりとその繋がりをほどいた。







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