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改めて資生堂「Oputuneオプチューン」のチャレンジを通販の視点で振り返る

皆さんこんにちは。通販エキスパート協会事務局です。

当協会は文字通り「通販のエキスパート」を目指す方々に向けた資格「通販エキスパート検定」を実施しています。

今回は資生堂「Oputuneオプチューン」についてお話したいと思います。
以前、マーケティング関連のセミナーでよく見かけたのでご存知の方も多いでしょうし、実際にユーザー体験をされた方もいるのではないかと思いますが、資生堂「「Oputuneオプチューン(以下オプチューン)」の取組みは、通販業界に長くいる者にとっても、非常に示唆に富むプロジェクトでした。

まだ、ブランドサイトがクローズされていないので、見たことが無い方はぜひ一度チェックしておくことをオススメします。

このサービスの最大のポイントは、今後のマーケティング全体のキーワードとなるであろう、「Direct」「Digital」「Data」という3つのDを柱にビジネスが構成されていた点です。
この3つは通販ビジネスの進化の方向性と完全に合致しています。

具体的には、
◯店舗を介さない、ダイレクトマーケティングモデル
◯アプリを活用した肌診断との連動
◯クラウドのデータベースと連携した専用マシンでパーソナライズされた体験を提供
という、従来の美容部員による接客が前提の化粧品販売の常識とは対極に位置する取組みでした。

規格化された製品をいかに大量販売するかではなく、個々の顧客の肌特性、コンディションに応じて、パーソナライズされたスキンケア体験を提供をするアプローチは、まさに「製品中心」と「顧客中心」のアプローチの違いを明確に現しています。

大きなトレンドしては「この商品をどれだけ販売するか?」ではなく「この顧客にどれだけ購入してもらえるか?」というLTV重視の流れにマーケティング全体が移行しているとはいえ、資生堂内部や既存の取扱店からの反発もそれなりにあったであろうに、よくローンチにこぎ着けたものだと思います。

サービスが停止した理由については、顧客にとって使用方法が複雑だった、値段が割高だった、既存商品と比較したときの優位性が明確でなかった、実験的なサービスなので大規模な広告宣伝費を投下できなかった、など様々考えられますが、是非再チャレンジして欲しいと思います。

同時に、こういったチャレンジは通販化粧品会社こそトライして欲しいものです。通販化粧品会社では、スキンケアに関しては自社製造している会社も多いハズです。そして何より、もともとダイレクトマーケティングなので、顧客への提案や説明もハードルが低いと思われます。

かつて通販化粧品は、ブランディングに大きな資金が投下できない会社が運営する事業で、数ある化粧品ブランドの格付けの中でも文字通り格下の位置づけでした。しかしECの浸透やスマホの普及で、通販=安いもの、ではなく、自分に合った価値や体験を提供してくれるのであれば、高価格帯の商品やサービスでも消費者が受入れてくれる機運が高まってきています。

化粧品業界でのイノベーションはマーケティング全体に大きな影響を与えます。それは自動車業界やビール業界の影響力にも匹敵するのではないでしょうか。かつて「道を開くのはいつもアウディ」というドイツ車のコマーシャルが有りましたが、通販化粧品会社もマーケティングの新世界を切り開いて欲しいものです。



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