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LTV計算で分かる「獲得しやすいが維持しにくい顧客」の存在

皆さんこんにちは。通販エキスパート協会事務局です。
当協会は文字通り「通販のエキスパート」を目指す方々に向けた資格「通販エキスパート検定」を実施しています。 

前回の投稿「アバウトなLTVの使われ方」で、書籍やサイトによってLTVの説明に違いがあって、結構アバウトな使われ方をしているのではないか?と投稿しました。

今回、その続きを書くにあたり、noteも含めていくつかLTVに関する解説記事を読んでみました。それで、LTVを計算する意味について、顧客獲得コストの上限の目安を立てるため、という記載が多いことを知りました。

確かに、獲得した顧客がもたらしてくれる利益をある程度把握出来ていれば、その◯◯%を上限に顧客獲得コストを設定する、という意思決定が出来そうです。

この時、初年度のLTV,2年目のLTV、3年目のLTVという計算も出来ていれば、この◯◯%を上限に、という意思決定は「いつの時点で顧客獲得コストを回収したいか?」という問題になります。

もう一つ、これと関連していわゆるCAC、CPA、CPOといった新規顧客獲得関連指標についての落とし穴として、「獲得しやすいが維持しにくい顧客」の存在が有ります。もし、予想LTVの計算や実績値のレビューをせずに、単にこれらの指標が安くハマる媒体や獲得手法にのみ新規顧客獲得予算を投入すると、収益性の低い(儲けさせてくれない)顧客を大量に獲得してしまいかねません。

この点について、じつは私には苦い思い出があります。
当時在籍していたとある企業の新規顧客獲得チームにいた私は、ある獲得手法でそれまでの獲得コストよりも約40%低いコストで数万人の顧客を獲得したことが有りました。新規顧客獲得チームからすれば大成功です。

しかし、それからしばらく経った後、とんでもない事実を知ります。当時契約していたデータ分析の専門会社に「◯◯さんが仕掛けたキャンペーンで獲得した例の数万人ですが、いまだに集団全体では損益分岐点を超えていません。今後もいつ超えるかわからないくらいパフォーマンスが低いです。」と言われたのです。

近年、とかく評判の悪い定期購入縛り(これについてはまた別途投稿します)ですが、当時はそのような手法も使わず、数回の継続購入で黒字化するビジネスモデルでした。もちろん、獲得方法によって継続率に差がある事自体は知っていましたが、新規獲得チームの評価指標には「継続率」が入っていなかったため、ひたすら獲得コストと獲得人数で最適化を図っていたのです。

LTVという概念は私や周囲のスタッフもみんな知っていましたが、その計算方法や利用方法まで共有していれば、こんな皮肉な事は起きなかったでしょう。
私がまずは大雑把でも良いのでLTVを実際に計算してみましょう、といつもお伝えしているのは、一つにはこういった苦い思い出が背景に有ります。

「獲得後のパフォーマンスが高い顧客セグメントを見つけ出し、そこに重点的に投資をする」これがLTV活用の大きな目的の一つです。


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